創造主様とお友達になりました【8】
いよいよ完結!
第三部 第六話 魔王誕生の兆し
産業革命が一通り落ち着き…鉄道や船舶の活躍により輸送手段も充実した。その頃になるとそれまで国営でやっていた商会を全て解体した。その代わりギルドを国営化し冒険者ギルド、商業ギルド、職人ギルド、鍛治ギルド、農業ギルド、畜産ギルド、輸送ギルド、制作工房ギルドと言ったように管理体制を細分化し、鉱物、農作物、畜産物、魔物素材など全ての資源を国が一旦、買い取った。職業訓練も希望者には行うようになり、職業選択の自由が進んだ。その上でどこかのギルドに登録すれば、国が個人に対して必要な材料を少量でも販売するようになった為…主要都市での個人商店が増え、地方の村や町でも住人に抜けた才能とアイデアがあれば独自の産業を立ち上げる事も可能となった。その事で、町おこしや村おこしを積極的に挑戦する地域も多くなった。旧体制との摩擦はあったものの。各国が足並みを揃えて取り組んだ為…民衆の声にかき消された。また中央の役人など家柄で路線が決まっていたような地位も、管理体制がギルドに集中した為、一般家庭出身の公務員が大量投入され…特権階級は姿をけした。
そのような国家運営の体制と産業革命により未曾有の世界好景気へと加速していった。
最下層 父上の住処
いつものようにレントの神殿に遊びに行った時、帰りにこいと呼び出されて居た
「どうしたの?父上!ここに呼び出すなんて珍しい」
「松か!どうじゃ地上の様子は」
「心配している事はあるんだけど…魔族を除いた中央北部から最南端までの大陸は目覚しい発展を遂げているよ!」
「心配とはなんじゃ?」
「それなぁ…まあ懸念に過ぎないんだけど…こちら側が便利になって景気もよく、犯罪も少なくなって幸せな人が多いって事はさ…げがれや汚染された魔力を減らせたと思うけど…消した訳では無いと思うから…魔族側にそのしわ寄せが行ってんじゃないかなぁって」
「なるほどの…多くの民が幸福感を持つという事はとても良い事じゃ…我にも地上の発展は伝わってくる。魔族側にしわ寄せが行ったわけではないがの…周期のようなもんで…魔王誕生の兆しがある」
「魔王は強いの…俺では勝てない?」
「魔王と1体1で戦えば楽ではないが勝てると思うぞ。だがな問題は魔王が誕生した時、魔族や魔族領内の魔物が強くなるんじゃよ。流石に何万を一気に蹴散らすのは松でも難しかろう」
「そっか…街と人を守る事を最優先に作戦を考えるか…」
「そうじゃな…それが良いかもな」
「例えばさぁ…俺が魔王城に踏み込んで和平を図るってのは無理なの?」
「そうじゃのう…交渉できたとしても…その和平に応じれば魔族の中で魔王と認められなくなるんじゃよ」
「結局…その魔王が撃たれて次の魔王が生まれるって事か…魔族はどれくらい強いの?」
「そうじゃのう…部隊を率いている物がいつかお前が相手した皇帝くらいかのう。あと松が相手をするしかない種族も居てな…デーモンクラスがいるんじゃよ。魔法力が強く強力な攻撃魔法を放って来る」
「俺が直接食らってもヤバいの?」
「死ぬ事はないが無傷でも無いだろうな。発動前に我の刀で斬り伏せるのが良いのだが…特殊な魔法を使う者も多く本体を離れた場所に置くやつもいるんじゃよ」
「そういう時はどうするの?攻撃はその幻影がしてくるんだよね…」
「核じゃな…核を感じるんじゃ…必ず擬態の見える所に本体もいるからの…」
「そういうのが何100も居るの?」
「魔王を含んで松が相手にするのは50くらいかの」
「魔族は全滅させてもいいの?」
「今回はやむを得ないかもな。全滅させてから移住して平和な国を作ってしまえば…あとは魔王誕生の代わりに魔物が暴れる程度になるんじゃないかの?」
「なかなか大変だなぁ…」
「ここまで良く頑張ってくれたからな…魔王誕生の兆しを話したのは褒美のようなもんじゃ」
「そうなんだよなぁ父上は生態系に関与しないのが立ち位置なんだもんな…ありがとう」
「松や…これは創造主としての言葉では無い…万が一が無いように頼む」
「わかったよ!父上」
次の日クレセント、マイスター、マリア、フランベル首相、プリシア、ティファ、バーディ、メルを集めた。
フォレスト研究所地下談話室
「緊急な招集すみません。それに私の家族も同席しておりますが、これから話をする事に関して戦力として重要な人物ですので…各国代表の皆様にはご理解を頂きたく」
「そんな事は気にしなくていい!産業革命と国家改革によって恐ろしい程の発展を遂げたのもみんなお前のおかげだ。そんなお前が緊急で招集をかけるんだから…それ程の大事と言う事だろう」
「そうですよ、パインズ殿のおかげで我が共和国も発展しました。どうかお気遣いなく」
「まず…全員に信じて貰えるか?という問題もあるのですが…魔王誕生の兆しがあるようなのです」
「この点はどうですか?」
「疑う余地はないぞ」「みな同じです」
「では、続けますね。私の持つ情報では」
「魔族と和平交渉は出来ないらしいです。魔王はそれを受け入れると魔王でなくなるという代物らしいです」
「あと魔物も引き連れて何万という軍勢で総攻撃を仕掛けて来るそうですが…最前線の部隊長クラスがルーバイン皇帝に匹敵する強さがあるそうです。もちろん後続が強くなっていきます」
「あと…さらに強さの基準を言うと私が無傷では相手出来ないようなデーモンクラスと言うのが魔王を含んで50は居るらしいです」
「魔王誕生はこの星の持つ周期のようなもので、魔物の1匹に至るまで殲滅したあと、ボデッド魔国領にこちら側の国家を築く事でしか今後の魔王誕生を阻止する事は出来ないそうです」
「ここまでで質問のある方は居ますか?」
「パインズ様的にはどのようにお考えですか?」
「私の考えを話す前に状況説明はよろしいですか」
「パインズ!結局お前一人で突っ込む気か…」
「さすがにそれは無防かと…」
「だが今の話を総合すると結局そうなるよなぁ」
「はい!申し訳ありませんがある程度の所からは単騎がけになると思います」
「我らが国の代表と顔を付き合わせてもそのような対応しか出来ないのですか?パインズ殿」
「共和国も何か協力させて頂きたい」
「では具体的な作戦に移ってよろしいでしょうか」
「聞こう!」「伺います!」「どうぞ!」
「まず…こちら側の民衆を守るのが最優先です。幸い、魔族領と我らの地を繋ぐ平野は大陸中央にある1万kmほどの平野のみです。それ以外は東西を絶壁で囲われていて山越えもできなければそれ以外の侵攻ルートはありません」
「まずこの1万kmに50mくらいの高さの城壁を築きたいのです。建築に当たっては各国より労働力をお願いしたく思います」
「次に魔物部隊の殲滅に城壁の上から魔法士隊、弓隊等の遠距離攻撃部隊を配置します」
「それらの攻撃をかいくぐって城壁付近までたどり着いた魔物や魔族はルーバイン皇帝とシュテルン将軍、そして共和国の最強冒険者から将軍になったギブソン将軍とプリシア戦士長の4人にお願いしたいのです。城壁の外側には5mくらいの高さにステージを作り、そこにメルを配置します。みなさんを回復しコンディションを保ちます。ティファは戦況を判断しサポートに入ります」
「バーディは城壁の上から広範囲魔法を撃ちつつ城壁の外に出るティファ以外の4人が限界を迎えた時、1時退却の手助けをゲートで行います」
「各国の徴兵は城壁からの遠距離攻撃部隊と補給にあたる兵士のみとします。城壁付近まで鉄道を通すので補給物資や兵士の撤退、増援は比較的、楽に行えると思います」
「私の考えは以上です」
「やっぱり…魔王城まで、何キロあるのかわからない道のりをお前一人で戦いながら進む事になるじゃないか」
「俺の場合…敵の最前線を押し戻して、こちらの城壁との間に距離を稼げれば…一旦ゲートで戻って休む事も出来ます。それに一人でキツくなれば…ティファやバーディやメルを呼びます。結局は各国、各軍が極力安全にできる事をやるだけだと思います。魔族という普通の軍隊の強さでは勝てない敵に対してこちらも総攻撃でぶつかる。というのは愚策中の愚策と私は思っています」
「城壁建設からはじまる世界連合軍です」
「ティファ、バーディ、メルの能力が心配ならいつでもお見せしますが…みなさんを納得させる為に披露する気はありませんし…私の言葉はそれ程軽くないと自負しています」
「ティファの剣技や魔法は私に遜色ないですし、バーディの魔法はイカズチを同時に数十本落とすでしょう。メルに世界随一の回復使いです」
「突然の発案でしたので2日だけみなさんでお考えください」
「明後日また集まりましょう」
首脳陣には戸惑いもあった。城壁建設だけでも莫大な費用がかかり、いつ誕生するかわからない魔王に対して相当数の人員を割く必要がある。即答出来ないのは仕方の無い事だった
王都フォレスト邸
「なんかみんな突然連れてって突然作戦に組み込んでごめんね」
「いいよ!気にしないで」
「メルは頼りにされてると思うと嬉しかったよ」
「最後かっこよかったね…納得させる為に披露する気もないですし…私の言葉はそんなに軽くないと自負して居ます!って…しびれた!」
「茶化すなよぉ…ははは!」
「断って来たらどうするの?」
「その時は別に準備もしないで4人で全軍相手するだけだよ。潰して下がり…潰して下がりの繰り返し」
「父上に聞いた話だと強いらしいけど…俺達で勝てないならどうする事もできないじゃん」
「そらそうだよね」
「不思議だねー!パインズと話してると旅行にでも行くような気分になるよ」
「潰して下がるを繰り返す。って言う地味な作戦でも…世界樹の滴もあればメルもいるから、充分やれるとは思うんだけど…世界各国が作戦に参加する事に意義があるし…ここまで、フォレスト研究所の開発と発案で発展しておいて…知りません!出来ません!は無いだろ」
「そんな事を言われたら、魔王誕生を俺達は放置してニューリゾートにのんびり暮らして、焼け野原になった後で魔族の掃除をしたくなるよ」
「ほんとにそうだよね」
「やべ!魔力が濁ったかな?」
みんなで爆笑した!
いついかなる時もお気楽なフォレスト一家であった
第七話 世界連合軍
第一回の会議の後、俺はフライに乗って魔族領を探索していた。ワイバーンのような飛行モンスターを潰す事と魔族の暮らしを見ておきたかったからだ。調査の結果…脅威に成程の飛行モンスターは無かったが、念の為間引きした。暮らしに関しては北の海に繋がる土地は東西同様断崖絶壁で魔族領その物が広大な谷にあるような感じだった。最北部に魔王城と思われる城があり、それから南下するように魔族の街が数kmに渡って作られていた。人口の増加に伴って順に広がって来たような…広大な都市がひとつだけあるような感じだった。街に並行して細長く広がる大きな畑のような農地と食肉用の畜産施設も所々作ってあった。魔物の森は更に大きく南下した所にあり魔物の生態系も弱肉強食ではある物の魔物としての暮らしをしていた。
「フライは魔族の暮らし方をしらないの?」
「詳しくはわかりませんが…食物連鎖的な話なら主様達とそんなに違わないと記憶しております」
「なるほど…あとこの環境なら開戦したら魔法を放つより上空から火薬を落とした方が楽に数を減らせそうだが…フライは空の覇者として、そういう命令は聞けるの?」
「我は主様に心底惚れてています。創造主様の眷属としての立場とか、グリフォンフェアリーとしての立場などお気になさらずご命令ください」
「わかった…ほんとに申し訳ないが…両軍の被害を最小限にする為には開幕速攻で戦意を奪う事が一番だからな」
「ですが…主…創造主様の話では殲滅しないと、周期的に魔王が復活すると言っておったのでは…」
「そうなんだけど…見てみろよ。魔族であっても街には親子連れで遊んでいる家族もいる。暮らしは貧しいが…やっぱり家族愛や思いやりみたいなものはあるんじゃないか?」
「はい…私も先程から思っておりました。普通に暮らしているな…と。それに魔物もそれなりに平和そうに生存している」
「総攻撃の時はあの広大な森に入って、魔物を使役しながら行進してくるって事か…こちら側は備えをしておけば、総攻撃が始まっても慌てる事はなさそうだな…帰るか…」
王都フォレスト邸
「あなた…明日はどうするの?」
「ん?会議か?」
「そうそう…」
「相手がある事だから…なるようになるよ」
「ふふふっ…いつも通りだね」
「父上から助言は貰ったし…父上の言葉を疑う事は無いけど…俺は俺だもん…時間をかけて成長はしても…今の段階で俺以上にも俺以下にもなれないよ」
「すんごい当たり前の事しか言ってないけど…なんか説得力あるよね」
また笑いがこだました
世界連合軍設立会議
前回の参加者に加えて各国は指示系統において重要な役割を果たすであろう面々が同行していた。会議に向かおうとしてる所を呼びとめられた
「俺はイースト共和国将軍ギブソンだ!」
「それで?」
「フランベル首相から作戦も聞いた!」
「ほう…それで」
やり取りを見ていたルーバイン皇帝が割って入った
「小僧!お前は誰に物を言っている」
「俺は将軍ギブソンだ!魔王だか魔族だか知らんが我が軍は弱いやつと組む気もなければ…風下に立つつもりも無い!」
「小僧…それは共和国の総意と捉えて良いのじゃな。それなら…これより先に共和国を焼け野原にしてやっても良いのだぞ!」
久しぶりに魅せる皇帝陛下の貫禄だった。フランベル首相以下共和国執行部は事態をどう収集しようかとおろおろしている。そこへマリア達王国騎士団が取り囲んだ
「俺は国の事をどうこう言ってるんじゃねぇ…そこにいるパインズって若造が全体の作戦を指揮しているのが気に入らねぇっていってんだ!」
「まあまあ…クレセント!マリア!引いてくれ。このバカとはなすよ」
包囲を解き…クレセントとマリアの後ろに整列した
「んで…ギブソン将軍とやらは何がしたいんだ」
「俺のプライドを掛け、手合わせ頂きたい」
「んじゃ…みなさーん!少し危険なので離れてくださーい!」
「お前!魔法は使うのか…」
「強化魔法だけだ…全力でいく!」
「そっか…あともうひとつ聞かせてくれ!その剣は恋人から貰った!とか…家族からの贈り物!とか剣としての役割以外の付加価値はあるのか?」
「これは国から与えられた物だ…そういった事は特にない」
「よし!わかった!いつでも全力で来ていいぞ」
「舐めやがって!」
ブーストによって飛んで来た同時に上段から大剣が降ってくる。軽く避けると勢いあまって前のめりになった。それを右膝に軽くのせ後方深くに飛ばした…着地も取れず地面を滑る…
「まだやるのか?」
「まだ終わってねー!」
今度は全力前進したあとフェイントを入れ俺の右側に回り込みながら胴体を切りに来る。剣技スキルのようだ。その鋭く薙ぎ払うそれを親指と他の指でつまんで止める。少し大剣を持ち上げ左回し蹴りで蹴り飛ばす。大剣を持ったまま共和国首脳陣の辺りまで転がって行く
「くそーー!」
全力を振り絞る上段からの剣技スキル岩斬剣…ため息を付きながら居合の一閃で大剣と鎧を切った。たまらず尻もちを付き、恐怖に震えた。クレセントが来た
「坊主!お前には1000年はえーよ!」
「ま、待ってくれ…今、何をした!」
「見ていろ」
切った剣の先を軽く放りあげ地面に刺さってから神速連撃を腰の高さで入れる…落ちたはずの剣が粉々に切れる。
「土産だ…今の技は俺しか会得できなかった神速連撃だ。俺の刀は光の速さを超え時を超え過去を斬る」
「毎日30mを超える魔物と素手で戦い…おおよそ人では想像も出来ないような鍛錬の先にあるものだ。たかが国で一番の冒険者になったくらいで天狗になるな」
「あと…共和国さんは不参加と言う事でいいですね」
共和国首脳陣は土下座した…端っこでギブソンがしおれている
「パインズ様お許しください。何卒共和国も末席に加えて頂きたく」
「心配しなくても参加しなくても鉄道を止めたり、他国との国交の邪魔はしないぞ」
「いえ…そのような計算があっての参加ではありません!何卒!何卒ー!」
「ギブソンと言ったか…良く聞け!お前の取った行動で国のお偉い人達は俺に許しをこう事になった。お前のチンケなプライドなど要らねぇんだよ。武で生きると決めたなら強さを自慢するのでなく自らの剣で何を守るかという事にブランドをかけろ!反省しろ!」
「はい!ありがとうごさました!」
ギブソンは泣いていた…
「んじゃ共和国さんよろしくお願いしますね。それに俺は外交云々のパワーゲームは好きじゃない。世辞も嫌うし人に媚びるやつを信用しない…俺のような若造に下げてくれる頭があるのなら事前に全力を尽くして頂きたい!お願いしますね。頭を上げてください」
「寛大な処置に感謝いたします」
「あぁギブソン!お前がさっき絡んでた大きいおっさんな…あれルーバイン皇帝だぞ…俺が相手しなければ初手で首が飛んだぞ!気をつけろ…」
地下談話室に向かおうと振り返るとマリアがジャンプして抱きつき足を腰に回してきた
「パインズ様!カッコよすぎますー!」
「マリア…お前何をしているんだよ…」
「マリアはもう離れません!」
「いや、離れろよ」
騎士団の面々は一斉に右下を向いて手を額に当てた
フォレスト研究所地下談話室
「時間もないので結を取ります。各国の皆様の意思をお伝えください!」
「ルーバイン帝国は当然参加する!パインズの提案をわしが断る訳は無いからの」
「シュテルン王国も同じく全面協力させて頂きます」
「先程はお見苦しい姿をお見せしました。共和国も国力の全てを持って参加いたします」
「では!世界連合軍の体制を発表します」
「軍総司令にルーバイン皇帝、総司令付き作戦参謀及び副官としてシュテルン国王、フランベル首相!」
「その元にシュテルン王国第1王女マリア将軍!」
「はい!」
「イースト共和国ギブソン将軍!」
「はい!」
「ギブソン将軍には、将軍の証となるようにこの大剣を贈ります。ミスリルとオリハルコンで作った大剣だ!さっきのやつより身長と腕力を考えたらあってると思うぞ!」
「ありがたく!」
「フォレスト公国プリシア戦士長!なおフォレスト公国軍は昨日より既に他の任務に当たらせています。本日の欠席は勘弁頂きたく…」
「以上の体制で行きます。城壁からの遠距離攻撃部隊、補給部隊の人員配備やローテーション等は司令部におまかせしますのでよろしくお願いします」
「なお鉄道は本日中に通します。フォレスト公国のセンターシティより支線を伸ばし専用列車を配置して随時運行しますので城壁建設に早急に取り掛かってください」
「魔王誕生は6ヶ月先くらいが目安です。他に現在掴んでいる情報では、魔王城及びボデッド魔国の都市からこちらに南下した場所に巨大な森があります。その森から魔物の大軍が押し寄せてくるのが敵の先発隊になるだろうと予想しています」
「質問がなければ解散します。急ぎ準備をお願いします」
次の日から総司令部との早急な取り決めが始まった。城壁を高さ50m、巾20m、長さ1万km、城門は作らず中央の1部を空洞にして司令部や前線部隊の補給基地にする事…城壁内側に遠距離攻撃部隊の基地を建設する事…基地を効率よく固められるように…横断列車を運行する事など決まった。クレセントからは総司令はお前が良かったんじゃないか?との申し出もあったのだが段取りは3人の国のトップにお願いして、情報収集と兵器の製造に専念させて欲しいと断った
第八話 開戦準備・魔王誕生
連日、土魔法士団と建設従事者による城壁の建設が行われていた、大陸全土より適正があれば用いられ、ルーバイン総司令が自分で全員の能力を掌握してから均等に振り分けて行き、2500の小隊が誕生した。小隊20名編成で述べ50000人が投入された。マジックポーションや回復薬は世界中から集められた。小隊長は初めから人格を重視して選出されておりルーバイン総司令には密に進捗状況が入って来ていた。
当然、各国の建設も出来なくなり、薬や食料が買い占められた為…平穏に暮らす民衆もなにか大きな事が水面下で起きているのではないか?との不安や疑念が高まって来ていた。
一方で日頃から戦闘に慣れている冒険者達は危機察知能力で世界中の冒険者ギルドに手伝える事があればなんでもさせて欲しいとこぞって志願して来ていた。
「総司令!副司令!どうですか?」
「パインズはいない事も多いのぉ!」
「城壁の建設にも参加していますよ。忙し過ぎて、ここに寄る…と言う行為を少し疎かにしているだけです」
「それは小隊長から聞いておるが…」
「この一連の準備ももう少しで半年になります。進捗状況も9割方終わり最後のひと踏ん張りですが…いよいよ民衆に正式に発表しなければ…下手をするとパニックになります。正確な情報を伝えた上で少しの間静かに見守るように戒厳令を出す時期に来たのでは無いでしょうか?」
「そうじゃの…冒険者ギルドは志願兵で溢れかえり…センターシティからの列車に勝手に乗り込む冒険者も増えて来た」
「魔族軍はどうじゃ」
「恐らく既に魔王は誕生し覚醒を待つばかりのようです。まだ少数ですが魔族の団体が森に入りました。前線基地を森に構えるようです。追記で先発隊の魔物部隊は数万だろうと思っていましたが…恐らく数十万になると思われます。想像したよりも森は広く総動員となれば数は膨れ上がり…その上、ゴブリンはボブゴブリンと言うように魔物の進化した姿になるようです。最後の状況報告としてフォレストの特殊部隊を潜入させていたので、その者から報告させます。ダーク!」
「はい!主!」
「ダーク!変装を解け…みなさんが驚いている」
「は!街に潜入し噂を集めて参りました。今回の魔王は数代前の魔王の娘だそうです。何百年前から生きている魔族の年配者の話ですと…魔王が覚醒すれば、その恩恵が魔族や魔物にもたらされ、それにより1段階進化を遂げるようです」
「普段は連携も交流もない魔族同士なのですが…覚醒と同時に四天王が選出され小隊長までが任命されるようです。任命方法は我らと違い、魔王覚醒による進化の課程でそれぞれの使命が生命に刻まれるようです。その結果、チカラを増した魔族は一気に団結し他種族を蹂躙せんと動き出すようです」
「覚醒の合図は、数日前から徐々に空に赤みが増していき…やがて赤に染めるそうです」
「わかった!長期間に渡る潜入ご苦労だった。特殊部隊全員で少し休息を取りプリシア達に合流してくれ」
「かしこまりました!」
「と…言う事だな…総司令の考えは?」
「ともかく国に戒厳令を出して決戦間近と周知する必要はあるじゃろうな」
「わしは冒険者ギルドにも通達して志願する者には補給部隊として手伝わせて良いと思いますが」
「それをすると問題はそいつらの食い扶持なんだよなぁ…」
「そうですね…その事でこちら側に混乱を招くよりは…民衆以上にギルドから丁寧に状況報告させた上で気持ちは嬉しいが不用意に参加する事が作戦の混乱になると通達した方がよいでしょうな」
「ともかく…普段の生活をしながら我慢する事も共に戦う事である!と…認識させ遠方の指揮を上げる事もみなさんの大事な仕事です」
各国指揮官達は一度帰国し全国民へ戒厳令を放った。冒険者も含んだ全国民は時を待つしか無かった。好景気に湧いていた先日までの生活が嘘のように静まり返り、ただただ連合軍の勝利を祈るのだった。
各個別部隊も最終点検の段階に入り補給部隊も最小限に縮小され…家路についた。司令部はそわそわと落ち着かず総司令と将軍達は剣技を磨きながら時を待った
そして…数日経った頃空が赤みを増していった。背景に魔王覚醒と言う脅威がなければ一生の思い出になるような綺麗な赤がだんだんとゆっくりと色濃くなって行った
第九話 開戦
赤い空が更に赤に飲み込まれる頃俺はフライに乗り空の魔物を刈り取っていた。城壁の部隊の負担を減らすためである。それに気がついた小隊長の魔族は魔法を撃って来たり、矢を放ったりはして来たが…フライを捕捉出来る様な能力はなかった
そして魔族の大行進が始まった。クレセントに報告を入れる。
「いま、魔物の大行進が始まった…早々とオークロードやゴブリンロードも最前線に混ざっている。1万kmある平野の中央から5kmくらいの巾でそちらに向かっている…列の最後尾はまだ見えない…城壁付近の乱戦は避けられそうに無い」
「わかった!乱戦はもとより承知!少しでも減らせるように遠距離攻撃部隊に伝える!」
「俺は指揮官クラスを減らせるだけ減らす…よろしく頼む」
パインズは空から爆薬の雨を振らせた。横に3000体くらい魔物が並んでいる…それが既に数100mは連なっていた。数10万所ではない数100万の魔物が押し寄せている。少しでも減らそうとインフェルノやサンダーボルト、トルネードといった極大魔法を降らせ爆薬の雨を降らせて魔物部隊を殲滅していった。それでも魔物の数は余りに多く行進の勢いが落ちることはなかった。時折、ムチを持って魔物を叩いてる者や、魔法杖を持つ指揮官クラスをピンポイントに減らしていったが…その数も多く苦戦をしていた。
いよいよ城壁から魔物が見えた。城壁の上から見ていた総司令や遠距離攻撃部隊は固唾を呑んだ
俺の攻撃が始まったのは見えていた。城壁から見れば俺が相当数減らしているのはわかった。その上で撃ち漏らした魔物だけで、軽く街を飲み込むくらいの大軍勢だったからだ
「ひるむな!撃てー!」
遠距離攻撃部隊とバーディの極大魔法による先制攻撃が始まった。魔物は宙を舞い地面に叩きつけられる。無惨にも焼け焦げになる、雷の直撃を受けブスブスと焼け落ちる。岩を落とされ潰れ…身体中に穴が空く、それでも覚醒した魔物の群れの勢いは留まる事を知らない
「よし!わしは下に行く!小隊長が各隊の指揮を取り、2班に別れて入れ替わりながら回復しろ!攻撃が病む事の無いように撃ち続るんだ!」
バーディはありったけの極大魔法を撃っていた…インフェルノ、トルネード、フローズンドロップ、ロックドロップ、魔力が切れれば世界樹の滴を飲み…また撃った。それでも減らないが歯を食いしばって撃ち続けた
クレセント、マリア、プリシア、ギブソンは混戦の真っ只中に居た。
「うぉぉぉぉぉー!」
聖剣を小枝の様に振り回すクレセント
「これ以上は行かせません!」
スピードを活かし華麗に縦横無尽に駆け回るマリアとプリシア
「舐めるなー!」
大剣を振り回すギブソン
「大丈夫ですか!」
囲まれるギブソンを神速で援護するティファ
「ハイヒール!」
状況判断しながら確実に回復をいれるメル
俺は縦横無尽に駆け回った。魔物を数100万投入すれば勝負がつくとタカをくくっていたのか幹部らしき面々の姿はない。前線を押し返すべく城壁部分に戻った。
「フライ!このままこの辺りを円を描きながらしばらく飛んで居てくれ…勝手に戻る!」
「かしこまりました!主!」
「おーい!みんな生きてるかぁ!一旦ダッシュで城壁間近まで下がれ!」
城壁と魔物の間に構え両手で持った刀を180度全力で振る広範囲に広がった斬撃は巨大な弧を描きながら魔物の身体を切断していく。もう一度振る!その斬撃の巨大な弧は実に数100m後方まで走り辺り一体の魔物を殲滅した
「次が来るぞー!回復しておけよー!」
ティファとメルに軽く手をあげフライに戻る
「フライ!これではラチがあかないな…一か八か魔王城まで飛んでくれ!」
「こちらに被害を出さない為とはいえ消耗戦は分が悪い!」
城壁では
「マリアちゃんよぉ!あいつがあんなに強いのは知っていたのか?」
「今の技ははじめてみましたがパインズ様なら当然です!」
「俺とやった時はどんだけ手を抜いてやがったんだ」
「その時も手加減はしたでしょうけど…今の技は恐らく今日の為に身につけて来られた物だと思いますよ。パインズ様とはそういうお方です」
ティファに世界樹の滴を渡されたギブソンが問う
「あなたはどなた様ですか…見た事も無いような美しい容姿に舞いを披露するかのような剣技…この戦が終われば…いえせめてお名前を!」
「そのような目を向けられましても私はパインズの物ですよ。多分…今の技も私に見せる為にわざわざ来たのかと…」
「パインズ様の奥様でしたか」
「そんな生ぬるい関係ではありません…確かに嫁という立場もあれば子もいますが…ではお見せしましょう!」
ティファは戦場の真ん中に立ち先程パインズがやって見せた巨大な弧を描きながら斬撃を飛ばす技をやって見せた。少し近ずいて来てた魔物はまた最前列から数100mに渡って胴体を分断される。メルから回復が入る。
「それティファも出来るのー?」
「パインズは私に見せにきたんだよ。それよりメルこの隙に城壁の上に回復の雨を」
「わかったー!エリアハイヒール極大!」
城壁の兵士達の上空に見とれるような巨大な魔法陣が現れ大粒の光の雨を降らせた
「メルー!助かるよー!」
バーディが大声でメルに声をかける
「おぉー!疲れが引いていく」
「魔力が溢れてくる!」「凄い!」
「さぁみんなもうひと頑張りするよー!」
城壁の上でバーディが激を飛ばす
「んじゃ…パインズにばっかり良いところをやれねぇから…俺達ももうひと踏ん張りやるか!」
ルーバイン皇帝が聖剣を空に向かってかざす
城壁の中では2人の副司令が抱き合って震えながら勝利の報告をまっている。
魔王城の道すがら空から街の中を確認した。総攻撃と言えども非戦闘員は居るようだ。怯えている者もいる。空に向かって祈りを捧げる魔族もいる。子供は親に駆け寄りしがみつき…しがみつかれた親は強く抱きしめていた
それでも魔族を滅ぼさなければならないのだろうか
間もなく魔王城である。恐らく幹部と言われるデーモンクラスは魔王の間に集合しているだろう。迷ってる暇は無かったが…考えをまとめて最終決戦に望むパインズだった
第十話 平和の架け橋
魔王城に到着した城の規模から考えて父上が言ったようにデーモンクラス50人は無いと感じた。覚醒して間もないからなのかもしれない…ただ魔王城に近付くと嫌でも集合場所がわかった。並々ならぬ魔力と上がりきった戦意がみなぎる場所があったからだ
「フライ!奴らがたまっている場所は感じるか?」
「主!感じております」
「恐らく開戦間もないからいい報告をみんなまっているんだろうな」
「恐らくは…」
「あの部屋の天井から上を切って落とす!」
「少しホバリングしてくれ!多少は揺れてもいい。切ったらその部屋を中心に旋回しながら飛んでくれ。バンバン魔法が飛んで来るぞ!気をつけろ!」
「お易い御用ですよ!主!」
フライの鞍の上に立ち刀を両手に持った…右側でタメを作り一気に薙ぎ払う。飛び出した斬撃が魔王城を襲う。
「なんだ!なんだ!」
「敵襲!敵襲!」
魔族達は魔王謁見室のようなまでたまっていた、幹部勢揃いである!一発その広間にお見舞いする
「インフェルノ…」
深く発音されたインフェルノは魔王城の何倍もの大きさで襲いかかる。幹部達は一斉にその火の玉に向かって魔法を放つ魔族独自のものだろうか見た事の無いような魔法が飛ぶ…空間を切り取るような魔法もある
「フライ!あいつはやばいな!魔王から見て最前線で空間を斬ったやつ!わかるか?」
「はい!確実に!」
「あいつの横をすり抜けてくれ」「承知!」
サンダーアローを数10本撃ち込み…すり抜け間際に神速連撃を繰り出す。異変に気づき瞬間移動したが神速連撃に切れないものはない
「主!核を潰さなくて良かったのですか…」
「少し考えがあってな…」
「お心のままに!」
「フライから見てどうだ?あいつ以外は覚醒間もないせいか…大した奴らには見えないけど…」
「はい!先程から数え切れないほどの攻撃魔法が飛んで来ておりますが…少し拍子抜けです」
「まあ…もうゆうに1000発は撃たれてるけどな…少し強いのは魔王のワキを固めてるあいつくらいだな…成功するか?わからんが…少し大きめに旋回してくれ」
フライの上でパインズは祈った
父上…魔族は殲滅しなければ周期によってまた他種族の脅威になると伺いました。それでも俺は街でみた魔族の家族、祈りを捧げる非戦闘員の事を考えると魔王はおろか…幹部も殺したくありません
イレギュラーではあるでしょうが…どうかおチカラを貸してください。レント!ありったけのチカラを頼む!ウンディーネ!シルフィード!サラマンダー!ノーム!エレメンタル!頼む!わがままを聞いてくれ
「シークエンジング!!!」
魔王の間を中心に魔族軍も見とれてしまうほどの大きなそして美しく神々しい魔法陣が描かれ霧雨のように心地よい雨が降り注いだ。しばらく様子を見守っていた。
「フライ!みんなさっきまでと姿が違うよな?」
「そんな感じがします」
「魔王の横に降りる!手を上げたら着地してくれ」
「御意!」
魔王の横に瞬間移動し首筋に短剣をはわす…一番強く見えた側近らしき魔族が神速で剣に手を携え攻撃に来る。姿勢を変える事も無く足を出して剣を抜けないようにしたあとかかと落としで地面にキスをさせた!
「他の者も動くな!誰1人お前達は俺には勝てない」
四天王筆頭の側近があっさりやられた事により俺に恐怖を感じた魔王以下幹部連中は沈黙した。少しそのまままて…バラバラにした幹部の1人の元にあゆみ寄りながら話をした
「魔族が殲滅するまで戦争しなきゃダメなのか?」
魔王が立ち上がる
「どなたか存じませんが人族の者よ…豊かな土地を求めて人族を滅ぼすのは我らの悲願なのじゃ」
フライに降りてくるように合図した
「話の途中だが…この人を蘇生するから少し待ってね」
みんな驚いている…魔族にとっても人族は野蛮で残虐で醜く…自分達の利益の為に殺戮と強奪を繰り返す種族と認識しているようだ
「フライ!魔族でも世界樹の滴は効くのか?酷くなったりしないよなぁ?」
「はい!レント様は生命の源…効き目が無いと言う事は無いと思います」
世界樹の滴を数本かけた後回復魔法をかけ身体全体にリカバリーをかけた…さっきみたやばい感じとは異なりここにいる幹部の中では一番若そうだった
「フライ魂魄は留めているか?」
「はい!処置が早かったので大丈夫そうです!」
「良かった…この者は再生する!心配するな」
その頃になると赤い空は徐々に薄くなってきていた
「所で魔王様!俺は正直に言うと…街で恐怖に震える者を見た!開戦したあと空に手を合わせ祈りを捧げる人も見た!親に走りよる子供をみた!足にしがみついた子供を力一杯抱きしめる親をみた!」
「数100万の魔物の群れを人族に向けて送り込めばそれでカタがつくと思ったのかもしれないが俺達は強かった…報告を待っていたここにいる幹部ですら…俺一人に手玉に取られた…辞めないか?戦争…」
「魔物の数100万はバラバラに切り刻んだが…魔族は極力生かしている。いま辞めたらそんなに被害は無いさ」
「お主名は?パインズと言うものだ!」
「わらわは当代魔王アルメサイヤと申す。圧倒的な武力を見せつけられここにいる連中まで手玉に取られては勝ち目は無い…じゃがいまのまま居ても我らは滅びを待つだけなのじゃ」
「よし!アルメサイヤ!話は出来るんだな?俺が聞いた所では人族との和平交渉を受け入れた時点で魔王で無くなると聞いたのだが…」
「確かに…わらわが覚醒した事で団結するようにできておるからの…じゃが…今回はさっきそなたの放った魔法で覚醒前に戻っておるし…幹部も進化前の元の姿に戻ってしまっておる」
「それなら和平交渉に入ろうか…ゆっくりアルメサイヤの話を聞いて…俺もできる協力は仕様じゃないか」
「そなたなら信じよう。貴賓室へ招く」
「誰か?一番気が長くて魔族の中で有名な幹部はいないか?」
「それならそやつが良かろう…何をする」
「戦争を終わらせるんだよ!フライそいつを乗せて飛んでくれ魔族が全員撤退するようにふれてまわれ」
「なるほどな…止めねば無駄な犠牲が増えるな」
そして和平交渉に入った。この戦争の準備に入ってからパインズは自分の持つ財産もチカラも全てつぎ込んで作っていた。
※ティファ、バーディ…頼む…こちらは和平交渉に入った!
※了解…首脳陣の反応はすぐに報告する
魔王城貴賓室
側近が隣を固めていた。メイドさんがお茶を運んで来た
「恐ろしく強い人族の者よ。そなたは酒の方がよいか?」
「俺の事はパインズって呼び捨てでいいぞ!それに(わらわ)とか(そなた)とか…難しい話し方もしなくていいぞ」
「な、何を言うか!」
「もういいじゃないか…そんなに無理しなくても一戦交えて戦いが終われば友達じゃないか…見てみろよアルメサイヤが覚醒して赤くなった空が元に戻ってきたじゃないか…青い空は嫌いか?」
※パインズ…各国首脳陣は了承しました。パインズが責任を持つなら魔王との調印式を設けてもよいと
※ははは…それはしないでそっとしてあげるのが良いだろうけど…勝利に湧いてるって事か…
※当然だよ…私ですら…やばいと思ったもん
※わかった…とりあえずゆっくりしてくれ。また連絡する
「青い空は好きじゃぞ!わしは両手広げて寝転がって父上に膝枕してもらいながら…青い空と流れる雲をみるのが大好きだった」
「今も可愛いけど…子供の頃も可愛い娘だったんだな…んで…本題だが…なぜここままでは滅ぶんだ」
「パインズがどこまで知っているのかわからないが…魔王が周期的に誕生するのは知っているか?」
「それは聞いている…」
「結局…その周期事に一族が絶滅の危機におちいるんだよ…パインズも空から民の姿をみてわかったと思うが殺戮を望んでいるわけではない…だが我らの土地は干上がっておる…作物が育たなくなり食肉の動物は死ぬ…少しでも豊かな土地を求めて南下するんじゃよ」
「やっぱりそうか俺に付いてきてくれ!側近も来ていいぞ!」
「パインズ様…私はボデッド魔国宰相のルシフェルにございます。側近と呼ばず名前で及びください」
「よし!それならルシフェルもこい!」
「フライ!例の地へ頼む!」
「かしこまりました!主!」
「ルシフェル!一応言っておくが…後ろから俺に危害を加えようとしても俺の身体には届かんぞ」
「パインズ様…そのような事を考える訳がありませぬ…私を一蹴した上で幹部を蘇生して頂き、魔王様の言葉に耳を貸してくださいました。今や感謝しかないですよ!」
「アルメサイヤ!青い空はどうだ!気持ちいいだろ!」
「パインズ!この鳥に毎日載せてくれるのなら…嫁になってもよいぞ!」
「大丈夫!そういうの間に合ってるから…」
「なんでじゃー!」
「見えて来たぞー!」
「よしフライその辺に着地しろ」
「アルメサイヤ!ルシフェル!どうだこの土地は!」
「おぉ…緑も多く水も豊富じゃ!果樹園や畑もあるじゃないか!」
「お前達がすぐに引っ越して来れるように街も作ってあるぞ!」
「凄いじゃないか!」
「ここに世界樹を植えてあるから大事にすれば大地の恵が耐えない場所になるし…畜産動物も美味しくそだつぞう!」
「なぜ…案内したのじゃ!」
「この土地も街も…向こうに城が見えるだろ!あれが新しい魔王城だ…街の中から城まで繋がってる乗り物は列車と言ってな…人でも物でも安全にたくさん運べるんだ…ここにあるものを全部魔族にあげるよ」
「なんだって?」
「驚くのは無理もないが…この土地と引越しが終わった後の今の魔族の土地を交換してくれよ」
「そんな事をしてなんのメリットがあるんだ」
「争わなくて良くなるじゃないか…」
「そんな事の為に私財を投げ打ってここを作ったのか?」
「100回生まれ変わっても使い切れないくらい金は持ってるからな」
「どうだ…それで…」
「よい!よいぞー!パインズ…嘘じゃないよな?私は上げて落とすと言う人族の文化は知らんぞ!」
「ふふふっ!よく知ってるじゃないか」
「ちょくちょくワイバーンに乗ってお前達の街を見ていたのじゃ…誰もが幸せそうに行き交い物で溢れておった…羨ましく思ったもんだ」
「それにここはな…人族の国で言うとルーバイン帝国とイースト共和国の間にある。海の真ん中の大きな島なんだよ。だから…誰に邪魔される事なく安心して暮らせるぞ」
「ひとつ質問なのだけど…パインズ達の世界が手を取り合って暮らすようになったみたいに…私達も仲間になりたいと言えば仲間にしてくれるのか?」
「あぁ!いいぞ…少しづつ…馴染ませてやる!そうなったら海を渡る船をだそう。この大きな島も海水浴場やリゾートホテルを作って人族や獣人族、エルフやドワーフが遊びに来るようなそんな場所にしてやるぞ!」
「だけど…私達魔族は何もパインズに返してあげられないぞ…」
「お前さぁ…友達がお腹空かして困ってるのを見て食べ物半分あげるからお金払え!なんて言うやつは居ないだろ?ここが豊かになってなにか協力して貰える事ができたら…その時に返してくれよ」
「わかった!武力でも政略でもパインズに勝てないのは良くわかった!全滅降伏じゃ!」
それからゲートを開き、魔王城の幹部達を呼んだ…みな目を輝かせて豊かな土地を喜んだ…自分たちの知らない物も沢山あった…フォレストファミリー総出でゲートしまくったが10日後には…魔族は新しい土地に全員移り住み生活を始めた。兵士までもが優しい顔になり幸せに暮らしはじめた
終戦直後の城壁基地
「戻ったよー!」
司令部も将軍も家族もみんな走りよってきた
「終わったな!」
「帝国をぶっ潰した時も見事だったが…今回も凄まじい活躍だったなぁ…お前…」
「なぜ代替地を用意してるとか…1人で魔王城に突っ込むーとか…作戦の詳細を言わなんだのじゃ」
「相手のある事だからさ…この城壁までは無駄にならない自信があったけど…島に作った街や城や鉄道は無駄になる可能性があったからな」
「これだけの大戦!無傷じゃぞ!」
「ふん!パインズを舐めないでよね!」
メルが胸をはった…ティファとバーディは両手を取りくっついていた
「パインズ様ー…」
既に酔っていたアリスは泣き上戸になっていた
ギブソンは…こいつは良いか…
「それより司令部の3人は交換した魔族領をどう使うか…3人で考えて勝手にしてくださいよ…俺は頼まれ事をしたら手は貸すけど…丸投げは受け取らないよ」
「ち!読まれたか…のんびり考えるとしますか!」
「この城壁は観光地にするからね…数万年も続く観光地になるさ!大半はフォレスト領だからな…」
「それではパインズ殿、この巨大な城壁に唯一隣接しないシュテルン王国には酷じゃありませんかな」
「双方の国民が少しづつ慣れる必要があるけど…現魔王のアルメサイヤは3カ国同盟の仲間にして欲しいと言ってたぞ…幸せに行き交う人々…尽きない資源…結局…魔族も話をすればわかるんだよ!」
話をすればわかりあえるんだ!
そして今日も最下層で創造主はにこやかに気持ちよさそうに眠っている…
創造主様とお友達になりました 完
ご愛読頂いた皆様ありがとうございました