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創造主様とお友達になりました【4】

エルフ族編 最終章

第二十一話 食べ歩きツアー開催


※プリシア!聞こえるか?


※パインズ様!


※今日訓練が終わったら来てくれないか?


※わかりました!もう少しで解散するので伺います


※頼んだ


「んでメルは最近ずーっとうちにいるけど何をしてるのかな。パインズが作った本が面白くて」


「俺が前世の記憶で作った漫画よんでんか?」


「そうそう面白いよねー。それにここに居たらお茶飲みたいなぁと思ったらメイドさんが持ってきてくれるし、甘い物が食べたいなぁと思ったら出してくれるし至れり尽くせりなんだもん」


「なんだもん!じゃねぇよ!まあティファも楽しそうだから良いけどさ、毎日遊びに来てた住人も若手の大半はヘトヘトになるまで訓練してるしな」


「メルはほんとに子供みたいだよ」


「俺の事も松様って言ってたのに最近はパインズって呼び捨てだもんな」


「それさぁ私も松って言うかパインズって言うか…迷うんだけど」


「呼び方なんてどっちでもいいよ。その時の気分で呼んでくれたらさ。近頃はクールもパインズって言う事が多くなったし、俺もクールの事をおじいちゃんって言う事が多くなったし。そんなにこだわることでも無いよ」


「それで2人は、昨日行ったスイーツ店は気に入ったの?」


「私は断然推し!」


「私もー!」


「それならはじめはスイーツ店巡りでいいか」


「だけどデザートだけ3件ハシゴするツアーってどうなん?」


「自由時間を作って集合場所を決めて周りの店を自由に見て回ればいいんじゃないかな」


「そっか…んじゃ地図が必要だな。それは俺がギルドで取り寄せてもらって原本買っとくよ」


「パインズ…地図は世界図書にあるから作ればいいよ。その方が集合場所を入れたり、周りのお店で何を売っているかも案内できるから」


「あ!そっか…ティファかしこいねぇ」


ドヤ顔!


「それなら案内役も参加者も街に慣れてないから半日ツアーにして王都コース、帝都コース、首都コースとして1回の開催で1箇所にしよう」


「私達もそれが良いと思うよ」


「それならプリシアの部隊から15人選抜して…王都、帝都、首都の担当を5人づつつける。参加者はどこを希望するか投票制にして開催しよう!結局は違う日に他のコースに応募するだろうけど、世話役5人に対して参加者25人程度なら危なげなく面倒を見る事が出来るだろうし…集合場所は少し静かな場所にしておいてティファがゲートで移動させる」


「そうだね。それで問題ないよ?」


「2000人希望したらどうしようか?と少しビビったんだけど…その体制なら住人全員が全部のコースを希望しても物理的に可能だな。ティファもメルも便乗して良いからな。あとは持たせるお小遣いか…1人金貨1枚って所か」


「スイーツ食べて買い物して…充分でしょ」


「各地の通貨が必要だな。両替しとかなきゃ」


「そうだね!」


「莫大なお小遣いが必要だからツアーはティファとメルにお願いして、俺は魔石をたくさん集めるわ」


「無理しないでね」


「こんにちはー!プリシアです!」


「おぉちょうど良かった入れ!入れ!」


「プリシアなにのむ?お酒?」


「戦士長になったとはいえ、流石にこの時間からお酒を飲むのはオヤジ化が激しいのでぶどうのジュースを氷入りで」


メルがメイドに頼みに行く。自分で持って来た


「プリシア!はいぶどうジュースの氷入りとこれはロールケーキ!王都で流行ってるんだよ!」


なるほど…それを自慢したかったのね


「訓練が終わってすぐ来たんだろ?それを飲んで落ち着いたら風呂に入れば良いよ。一息ついて、それから打ち合わせしよ」


「ありがとうございます!日に日に訓練が激しくなるので汗が酷くて」


「そうだろうなぁ。俺はその間に少しギルドに行ってくるよ。30分で戻る」


ギルドに来た


「ステファニーさんこんにちはー!」


「はい!パインズ様」


「マスターは奥にいますか?」


「どうぞ!どうぞ!」


「こんにちはー!ブロイさーん!」


「どうされました!パインズ様ご機嫌ですね」


「はい…ブロイさんにとてもめんどくさいお願いが」


「怖いですね…な、なんでしょう」


「まずひとつ目!明日、大人数で冒険者登録するので準備をお願いします。2点目!孤児院の調査依頼を打ち切って、そのかわり教会本部から末端教会までの組織図とその名簿を作成し人事権の掌握をお願いします。最後に魔石を渡すのでその換金額の全部を共和国、帝国、王国と3分割にして現物で用意して下さい。あとは軽い相談が」


「現物の用意は大至急ですよね」


「もちろーん!」


「わかりました極力頑張ります。軽い相談というのは?」


「冒険者はさぁギルドカードがあるから他国を行き来出来るじゃん、行商人は商人ギルドのカードがあるでしょ?民間人が旅行や観光をする場合はどうするの」


「その場合は国民である証を王宮が発行します」


「自分で行かなきゃダメなの?」


「何人くらいですか?」


「約2000人」


「それならパインズ様を代表として全住民の名簿を提出して下さい。それで国家が村や街を承認するのと同じ手続きができます。あとはギルドが保証すれば市民権を得られるでしょう」


「税金は?」


「多少は支払う必要がありますが王国の土地に街を作っている訳ではありませんので微々たるものです」


「んじゃそれで!明日冒険者登録しに来た時に名簿も持ってくるよ。んじゃこれ魔石な」


「お預かりします」


「3カ国の通貨は違うけどレートは同じだよな?」


「はい!こういう取引にレートは存在しません。穀物や農産物を取引する場合、取引価格が各国によって異なるので商人達はレートと言いますが…魔石取引は全てギルドで一括管理しておりますので問題ありません」


「んしゃ以上3点よろしくね!今日は時間が無いからもう行きますね!」


「はい…またお待ちしております」「ゲート!」


「ただいまー!お!プリシアさっぱりしたな」


「はい!ここのお風呂は最高です!」


「どうだパーティの方は?もう実践に出れそうか?」


「はい!どこを切り取っても4人居れば30層までなら危険は無いかと…後衛も頂いたローブを着るだけで防御力は高く魔法使いだけの編成も可能です!盾隊も全員が剣か槍が使えるので攻撃も出来るようになりました。個人差はありますがみな単騎でもそこそこやれます!」


「そうか。レベルと連携はどうだ」


「レベルは平均40ですね。連携は誰が誰と組んでも連携を取れるように連日、色んな相手と組ませ2人組手や3人組手、4人組手と訓練していますが模擬戦闘では既に限界かと…」


「人数は何人くらい残った?」


「それが…戦闘力も付き、やる気も全員維持して来たのですが…パインズ様がふっと思いついた!ふっと思いついた!銭湯なるものの効果でしょうか」


「なぜ2回いった?」


「ティファ様から銭湯について聞いた住人はパインズ様がふっと思いついたと聞いたのがなんとなく面白くてみんなで使ってるのですよ。私は特に推してます」


「あ!大事な事は2回言うスタイルね」


「脱線しましたがその銭湯の効果からでしょうか…部隊内で恋愛関係になったものが5組居まして…その5組共が妊娠しちゃったのですよ。申し訳ありません」


「はははは♪めでたいじゃないか…俺も長としてもふっと思いついた者としても嬉しいよ!」


「そういう事が続くようならお祝いの仕方を考えなきゃな。ティファの出番だな」


「お祝いの品かぁ♪良いねぇ」


「もれなく巫女の祝福も神殿でしてあげよう」


「メルもそれは喜んでやるよー♪」


「では今後の日程を…まず明日、50人全員で冒険者登録をします。そして華麗なる森の住人としてパーティ登録もします。」


「パーティに俺からの依頼で、いつかプリシアにも話したツアーをいよいよ開催するから、1回の案内役を15人出して欲しい。ツアー自体は週に3回か4回。ダンジョン攻略と案内役をローテーションして公平に考えて欲しい…はじめの15人は俺達で案内するからその15人を軸に他のメンバーには講習して欲しい。場所は王都、帝都、共和国首都の3箇所でティファがゲートで連れて行くから移動は心配しなくていい。俺達の案内を明後日の午後にするから15人を連れて来て欲しい。とそんな所だな。」


「必要な物はこちらで用意するから人選を頼む」


「わかりました!」


「ロールケーキ美味しかっただろ?」


「最高です!」


「それツアーの王都コースの店のだよ」


「楽しみです!」


「一応念の為言うけどプリシアは案内役に入っちゃダメだよ。休みの日にツアーに参加するのは良いけど」


「えっ!」


「ダメだよ!あなたは戦士長だから」


「えっ!」


「明後日は連れていくよ。明日も明後日も集合は午後だからな!楽しみにし過ぎて間違えるな!」


「やったー!!!」


戦士長の雄叫びに似た喜びの叫びはニューリゾートに鳴り響いた…おいおい!




第二十二話 食べ歩きツアー開催2


※代表どこですか?


※今はまだ家です


※長老会議室に集合をお願いします


長老会議室にトリフを抜いた長老が集まった


「急な呼びかけに対応して頂きありがとう!我らエルフ族もいよいよ王国の市民として市民権を得る運びとなりました。ついてはここの全員が協力の元、お昼までに全住民の名簿化をお願いします」


枠で仕切られた名簿の紙とペンを渡しくれぐれもよろしくと伝え会議室を後にした


久しぶりに魔石を取りに行くか…あんまり大きいのは渡しづらいからな60層辺りを狩るか


60層オークロードの集落


オークロードも群れで居るとなかなかの脅威だな


気付かれる前に中央を分断する。多くのオークロードはまだ気がつけないで居るが中央突破は成功し、群れの中付近は首が飛び腹を切られて倒れ込む。


敏感なオークロードは危険を察知しオノを投げてくるが刀で軽く弾く!弾いた刀を返し斬る!神速の連撃も加護により速くなり連撃数も増えている。残党を追いかけ斬る!久しぶりに魔法も打ったウィンドソード!プリシアの見よう見まねだが全オークロードが上下真っ二つに切り飛んだ!


みんなのお小遣いを稼がなきゃな


「ただいまー!」


「おかえりー!」


「鍛錬とお酒調達のゴーレム以外の所に久しぶりに魔石拾いに行ったから風呂入るわ。たまたまオークロードの集落だったけど埃っぽかったよ」


「んじゃ風呂入ってるからティファがチョイスして冷たい飲み物でも持って来て♪」


「お待たせ♪」


「ビールか?良いねぇ!」


「お風呂入らないのにそこで座って相手してくれるの?ありがとう」


「最近なかなか二人っきりが無いからさぁ」


「そうだなー、一緒に居ても他にも誰かが居る事が多くなったね。つらいか?」


「そんな事ないよ」


「そっか…それならいいけど我慢するのは多分母体にも良くないし…つらい時はわがまま言っても良いんだからな」


「わかってるって!ありがとう」


こうやってティファと2人でゆっくり話す時間もなかなか取れなくなって来たから頑張りながらももう少し時間作らなきゃなぁ


「ビール!美味しい!ありがとうなティファ!」


さて昼過ぎに長老会議から名簿をもらってプリシア達が来たらギルドに行って…人数が多いから先に通信した方が良いだろうな。ぼちぼち用意するか


「はー!気持ちよかった!」


「ティファ!地図は上手くできそう?」


「うん!完璧!」


「そういえばティファはオートマタだったのが意思を持ち愛を知って人の心を得て進化したけど…メルはどうなんだろ。オートマタの身体を依り代にしただけではじめから中身は人間だもんな」


「メルはわかんない!」


「メルの身体はオートマタに間違いないよね?傷ついたりしないよね?」


「う~んどうかなぁ…この前転んだ時は痛かったよ」


「えっ!怪我は?」


「怪我はしなかったけど…」


「ティファ…メルとここにいる間に使える魔法とか防御力とか色々見といてくれる?」


「わかったよ」


「私、魔法は光魔法が得意だよ。ヒールもエリアヒールもキュアもエリアキュアも回復系は全部使えるよ」


「光魔法にはホーリーライトみたく攻撃系もあるし、魔法反射する障壁もあったよね」


「あるよ。マジックライト、魔法反射…そういうのも含んで光系統はほぼ使えるよ」


「そうなのかその身体でも使えるか?今度、人の居ない所で試して見てよ」


「使えるよ。トリフの神殿に遊びに行くと妖精がお菓子と同じくらい光の魔力が好きだからあげてるもん」


「えっ!そうなのか!リカバリーは?」


「リカバリーはねぇ使えるんだけどみんな勘違いしてるんだよね。リカバリーは私がきっかけを渡すだけで本人の魔力で病気の部位を治すからその人があんまり弱ってたら難しいよ」


「例えばお腹の中の血管が傷付いていたりする時はどうなの?治せるの」


「それはセンターヒールとかアンダーヒールとか数種類、使って修復できるよ」


「凄いじゃん!メル!巫女だなぁ!」


「巫女だよ(汗)」


「それなら華麗なる森の住人の戦士がダンジョンで傷付いたら治してあげてくれる?」


「もちろんいいよ。街の住人もティファもみんな!誰でも!」


「それならそういう時はティファにすぐ連絡するように戦士長や隊長に伝えて通信機を渡しとくよ」


「わかったー!」


ダンジョン攻略を進めるに辺り必ず気合いが空回りをするメンバーが出てくるだろうと心配していたがメルにそんな能力があるなら死者を出す事は無いだろう。イレギュラーに遭遇しても逃げる事を優先させれば問題なさそうだな


「そういえばパインズ…この前ギルドに行った時に受付の子が居たけど好みなの?」


「ん?何とも思ってないよ」


「ふ~~~~~~~ん…」ながいながい(汗)


いつかご飯食べて帰ってきた時の匂いだった


「そうそう…それは正解!」


「やたらくっついて来る子でさぁ…隣で飲んだもんだからさ」


「メルわかるよ!あの娘はパインズをお気に入り」


「そうなのか…やたらくっついて来るけど勘違いしないように心がけてたんだけど…」


「まあパインズを気に入ってる人は別にあの娘じゃなくてもたくさん居るよ。ここの住人にも」


「まあ…光栄な事だけど知らないフリするよ」


「パインズを思う気持ちはティファが1番だけどね」


昼間から照れる


「長老会議から名簿貰ってくるよ。税金払えば王国に市民権を認められて住民カードが貰えるんだってさ」


「ツアーの開催っても色々大変なんだねー」


「まあ…それで誰かが笑顔になるならいいじゃん」


長老会議室へ向かった


「こんにちはー!長老会議の皆さん元気ですか?」


「はぁー!」「ふぅー!」「疲れたのー!」


「やっとこさ終わったわい!」


「お疲れ様でした。おかげで観光という一時的な旅にはなりますがこれで皆さんも地上にも戻れます」


「そうですか!パインズ様…スイフが皆を代表して感謝申し上げます」


「水臭いですよ!今は俺が長であるし…長老会議が無いと街は回りません!縁の下の力持ちとして頑張ってくれて俺の方が感謝してますよ」


「わしらならなんでも協力するからの!」


「長!なんでも言ってくれ!」


胸に手を当て


「心得ました。頼りにしています」


「では解散です!」


再びお家


「戻ったよー!」


「おかえりー!」「おかえりなさい!」


「もうプリシア達も来るだろうけど50人のエルフのパーティか…どうしようかな」


「なにをどうするの?」


「みんな綺麗だからそれだけで他の冒険者が寄って来そうだし…エルフは特に珍しいし…」


「そうだねぇ…」


「ツアーの時は全員ピアスを付けるように言うんだけど…普段はどうしようかと思ってさ」


※プリシア!聞こえるか!


※訓練場所に集合して少しみんなと話もしたいから俺が行くわ


※わかりました!もう全員集まりますよ


※わかった


「どうするの?」


「メルはエルフの姿で良いと思うよ。少数で暮らしてるエルフ達がパーティの噂を聞いて訪ねて来るかもしれないから…」


「みんなの意思を尊重しようと思ったんだけど…そういう事なら堂々とさせた方が良さそうだね」


「メル!少数で暮らすエルフは色んな地域にいるの?」


「ティファ!良く聞いてくれました。まだ結構バラバラに暮らしてる。向こうの魔力が弱ってるからどこにまでは特定出来ないけど…存在はある!」


「そっか…わかった」


「んじゃ俺は行ってくるね」


華麗なる森の住人の訓練所


「おーい!みんな集まってっか?」


「はい!」全員が声を揃える。良く揃っている


「俺は戦士長じゃないから少し楽にして」


「はい!」フリからのボケみたい(笑)


「座ろっか、ほんとに楽にして」


全員座るプリシアはたっているので座るように促した。トリフは隊長の方を重きに置いているみたいだな


「これから冒険者登録に行く予定だけどみんなに聞いておきたい事があるんだよ」


みんなじっと見ている


「ツアーに出る時は混乱や危険を少しでも緩和する為に俺が作った魔道具のピアスを装着して、人族に紛れる形で観光しよう決めているんだが…パーティとしてはどうするのが良いか…」


「プリシア!どう思う?みんなの気持ちを教えて欲しいんだ」


「すみません!私はパインズ様にお任せしようと」


「俺も正直迷ってるんだよ」


「はい!いいですか!」


「剣士隊長のメープルか…良いよ」


「我ら剣士隊はエルフ族の誇りと共に剣士としてのプライドも持って参加しています。ですが我らはエルフ族の部隊と言えども長であるパインズ様の剣であるという自覚もあります」


「なるほど…俺が選択した事に従うのもプライドであり誇りという事か。わかった」


「他に意見ある?」


「はい!」


「盾隊長アーニャか…どうぞ」


「正直に申し上げて街に出た事が無いので意見しようにもなにもわかりません!」


「確かにそうだね。どうかな大半はそんな意見かな」


多くのメンバーが頷いている。俺の気持ちから話してみるか…


「エルフの姿で堂々と活動すれば、誇り、プライドそれらは満たされるだろう。逆にその事で差別意識にあてられて不愉快な思いをするだろう」


「俺の頭ではいくら考えても堂々巡りなんだよ」


「パインズ様ありがとうございます。私プリシアが皆を代表してお話します。パインズ様がそこまで心配してくれる事とても嬉しく思っています。ですが我々も今日まで何も考えずに訓練に明け暮れた訳ではありません」


「ある時はこけては擦りむき血を流しました。ある時は殴られてあざを作り顔を隠しました。もう走れないと膝をついても歯を食いしばって自らを奮い立たたせて涙しながら今日まできたんです」


「一族の繁栄と気高き誇りをかけ、全ての温情に報いる為に、この厳しい訓練を共に乗り越えて来たのです!我らは何があろうと折れる事はありません!不心得者に遭遇し心無い言葉を浴びせられれば剣で弾き返しましょう。言われなき噂で中傷されれば人気が出てきたなぁと皆で笑い飛ばしましょう」


「全て理解した上で胸を張って行かせて下さい!」


みんなを見渡した。決意に溢れ高揚している…いい顔だな…戦う顔だ


「わかった!エルフの戦士としては華麗に強くたくましくいこうか!」


「はい!」うん…良いな…


ペンダントを口に近づけギルドに連絡をするこのやり取りは聞かせた方が良いだろう。全員に近寄れと合図する。


「ブロイさーん!」


「はい!パインズ様!」


「これからエルフ50人連れてパーティを作りに行きますよー!」


「全員がエルフですか?」


「そうだよー!1人ももれなく」


「多分…世界中の噂になりますがよろしいのですか」


「いいんじゃないか!むしろ望むところでしょ」


「そういう事なら準備しますが何があっても私の責任では無いですからね」


「上等!したらこれから行きますねーぞろぞろとゲートでローカに行くからよろしくね」


そのやり取りを聞いてみんな笑をうかべた


「んじゃいこうか!」「はい!」


冒険者ギルド


「こんにちはー!ステファニーさんマスターから聞いてますか?この全員を冒険者登録してください。」


「はい!用意出来てますよ」


「あとパーティの申請用紙もプリシアに渡してください」


「それじゃみんな指示に従って登録してね。俺は住人全員の名簿を持ってマスター室に行ってくるから」


「はい!」どこに居ても50人の揃った返事は目立つけど気持ちの良い物だな。酒場の連中も圧倒されてら(笑)


「こんにちはー!ブロイさん」


「凄いですね。ロビーに居る全員が圧倒されてます」


「あとは野となれ山となれよ。爽快じゃん」


「色々心配になります(汗)」


「もう賽は投げられたんだよ!新しくできたエルフのパーティに余計なちょっかいを出すと恐ろしく強い冒険者が制圧にくる…みたいな噂は流しても良いよ。俺は仲間の悲しみを黙って見ていられる程、気が長くないしな」


「実際に何かあれば王宮でも滅ぼしに行くだろうし」


「冗談に聞こえないから恐ろしいです」


「本気だよ、所でこれね、名簿手続きお願いします」


「あ、わかりました」


「市民権の件はあと全部任せるから住民カードの発行までギルドで責任持ってお願いしますね」


「心得て居ますよ。税はうちで徴収して構いませんか?」


「もちろん!その程度の手柄はご遠慮なく」


「あとこれね…魔石15個」


「また少し大きいじゃないですか!」


「それは今朝取ってきたから覚えてるよ。60階層にでるオークロードの魔石」


「60階層ですか?」


「そうだよ。朝ちょーっと行って狩ってきた」


「単独ですか?」


「もちろんもちろん。換金は現物で頼んますね」


「未到達領域の踏破報告はどうしますか?かなりの大金が送られますけど…」


「報告は無しで、俺とブロイさんの秘密で」


「わかりました」


「王都で一番のパーティは金色の長剣だからな。ガンツさんの耳には入れないでね」


「多分…今更驚きもしないでしょうけど」


「それはそれ…これはこれって事でよろしくです」


「教会の件はもう少しくださいね」


「了解ー!では諸々の連絡をまってますね」


ギルド受付


「終わったかー?」


「まだ半分くらいです」


「そっか終わった人で飲みたい人は着いてきてー」


「20人か…みんな好きな物、頼んで良いよ」


「注文を取りに来る」


「ビール!」「ワイン!」「あとこの唐揚げっての」


飯も食うんかい!まあ良いかw


「それと注文のお姉さん!今ここにいる人のここまでの食事代もこの後追加になるのも全部僕に請求してください!ステファニーさんに言っときます」


「おー!」「わかってるじゃねぇか!坊主!」


「いえいえ、お騒がせしてすみません。我らは誇り高きエルフ族の戦士!華麗なる森の住人です!今後お見知り置きを!」


「では注文を取るお姉さん!よろしくお願いしますね。今から来る人の分も全部こちらで構わないので」


ギルド受付


「終わった人から飲んで良いよー。お腹すいてたら食べ物も注文して」


※ティファ聞こえる?


※なぁに?


※いまさぁ登録が思いの他時間食っちゃってて、終わった順に飲んで食ってしてるんだけど、まだ半分も終わってなくて…メルとメルとマルと4人でくるか?


※いくいくー


※いつものようにローカにゲートで来たら良いからさ


※わかったー!まっててねー♪


その後みんな合流して、途中ガンツさん達も来て、知らない人もたくさん混ざって飲めや歌えやの大騒ぎ。目立ち過ぎかと懸念したが、みんな強くて酔った冒険者を軽くあしらっていた。あちらこちらで余計な態度を取って者は殴られていた。酔った戦士達がエルフ族の歌を披露した。その場のみんな聞き惚れていた。酒場は朝方まで華麗なる森の住人が占領していた



みんな好きなのよねー





第二十三話 食べ歩きツアー開催3


冒険者ギルド


昨日はバカ騒ぎしたので忘れてしまっていた


「ステファニーさんおはよう!」


「パインズ様、昨日はご馳走様でした」


「たまにはバカ騒ぎも良いもんですね」


「今日はどうされました?」


「ここのギルドに登録してるエルフの冒険者って他にも居ますか?」


「ここには居ないですけど…小さい街や他国には少人数ですが居ますね」


「それなら、全ギルド支部に通達してメンバーを募集して貰えませんか?」


「それは依頼扱いになりますが可能ですよ」


「費用はお支払いしますのでお願いします。エルフであれば条件は無しです。ジョブもレベルもなんなら戦闘経験も!」


「パーティに困ってるエルフは多いでしょうから連絡あると思いますよ」


「期待して待ってますね」


パインズの家


「全部の冒険者ギルド支部にメンバー募集のお願いしますをしてきたよ」


「エルフの冒険者って他に居るの?」


「少ないけど居るらしいよ。比較的みんな困ってる場合が多いらしいけど」


「ね!メルが言った通りでしょ!」


「今日はプリシア達を食べ歩きに連れて行く日だけど…ティファとメルはどうする?」


「行くに決まってるじゃん!」「もちろん!」


「この前と同じ所だよ」


「わかってるよ。それでも行く」


「まだ少し時間があるから鍛錬してくるよ」


「いってらっしゃーい!」


深層の番人の階層


この前数えたら110階層だったな…居たあいつだ


今日はお酒の採取じゃない。


防具に施された加護を確認したい。昨日のオークロード戦で感じた違和感。身体強化と神速と自動回復が強くなった感じ…鍛錬も兼ねて30mあるゴーレムと、素手でどこまでやれるか試しに来たのだ


一番大きな鋼鉄のゴーレム!30mの高さから拳が振り下ろされる。スピードはそんなに速くないが2m以上ある拳。左腕ではらう…そのまま拳は勢いよく地面にめり込む、その衝撃で右側に飛ばされる。軽く着地する。ちょうど目の前にある大きな左足に蹴りを入れる!直径7mくらいだろうか神殿の柱を思わせるような太い足にヒビが入る。ゴーレムは大きく左膝を付き前かがみになる、反射的にバックステップで後ろにさがる…右手をまた振り上げてパンチを繰り出してくる、瞬時に思いつきでその拳を受け止めてみる。ガシッ!2mもある拳を腕で受け止める弾かれはしないがズルズルと押し下げられる。掴んだ拳を投げ捨てる。腕は折れていない。左膝を付いたゴーレムに向かって大きく飛び上がり頭に踵を入れる。割れた!そのままヒビは胸の辺りまで広がり沈黙した。


やぱ反射や自動回復と神速が強化されている。あとパンチが遅く見えたのも加護のおかげだろうな


沈黙した鋼鉄のゴーレムを拳と蹴りの連打で粉砕する


魔石と鋼鉄の盾がドロップした。


「もどったー!」


「おかえりー!今日は何を相手に鍛錬したの?」


「深層のゴーレム…鋼鉄のやつ!素手で相手したくてさ」


「無茶しないでよ」


「うんうん大丈夫だよ。あんまり弱いモンスターでは装備の確認にならないしさ」


「確かにそうだけど」


「メル!怪我はしてないけど自動回復が凄く性能アップしてたけど…これはメルの加護だよね」


「よくわかったね。あと魔力反射とか状態異常無効化とか付いてるよ」


「妖精の加護はパインズの魔力を増幅するから…例えば刀を振り上げてファイアウォールを発動すれば、刀に纏った火の柱が100mくらいになって…焼け野原にできるし、トルネードを纏えばトルネードを刀のように振りまわせるよ」


「さすがにそんなに大掛かりな魔法を行使するタイミングが思い浮かばないけどな(汗)」


「あとはレント様の加護は武具がパインズが思うように、良い感じにしっくりくる形になるのと…創造主様の加護は付与されていたステータス上昇効果をさらに1.5倍にしてると思う」


「へぇー!すっげー!この先どんな強いやつに出会うかわからないからな。助かるな」


「私達もさ、誰にでも加護を与えられる訳じゃないんだよ。加護を与えるにしても与える本人もわからない条件があるみたいだから…」


「ふ~ん…俺なんかがはかり知る事は出来ないけど…戦闘する度になんか凄いのは実感する。ありがとうな」


「ティファこの前、下見に行った時のケーキまだある?」


「ケーキは無いかなぁ…たい焼きとお饅頭ならあるよ」


「んじゃまだ時間あるからそれ持ってレントの神殿に行ってくるよ。もしプリシア達が来たらお茶でも出してあげて」


「はーい!」


レントの神殿


「おーす!」


「松か…」「松だー!」「松♪」


「フライも元気か?」


「はい主様…快適に過ごしております」


「今日はたい焼きと饅頭を持って来たよ。口に合うかわからんが食べた事無いだろ」


「レントには感謝をお供えするよ。いつもありがとう。武具にもらった加護も最高だよ」


「ほっほっ♪感謝をお供えか…良いのう」


「妖精さん達もありがとう」


「松ー♪水臭いぜ!」


「ははは、そっか!来たばかりだけどツアーの下見の第2弾に行くから…みんなまたね」


「忙しいのにありがとうねー」


「松よ…わしの方こそありがとうな」


またまたパインズの家


「ただいまー!来たか?」


「もうすぐ来るらしいけど1人だけ来てるよ」


「こんにちはー!」


「こんにちはパインズ様」


「おー!アーニャじゃないか…ちょうど良かったよ。さっき入手したドロップアイテムをアーニャにあげようと思ってたんだよ」


「そんな私などによろしいのですか?」


「鋼鉄の盾!Sランクだぞ。あと私なんかとか私などにとか自分を蔑んだ言葉を使うのはやめなさい」


「心得ました!有難く頂戴致します」


「それでいい。邪魔になるだろうからここに置いといてさ。帰ってきた時に持って帰れば良いだろ」


「いえ、まだみな来ていないので猛ダッシュで持ち帰ります!では失礼!」


「忙しいやつだな(汗)」


「嬉しいんだよ」


「嬉しいなら良いか」


しばらくして15人の先発隊とプリシア戦士長が揃って合流した。皆にピアスを装備させた。エルフの象徴である耳が人族のようになり髪の色も変わった事で、みんな誰が誰なのか戸惑っていたが、声を掛け合いお互いを認識した。ツアー参加者が使用する時は準備時間を必要としそうだ


「そしたら行くか」


「はい!」


「帝都、首都、王都の順番で行くから…今日はティファとメルが先生ね」


「まかせてよ」エッヘン


パーティのメンバーははじめて見る景色や美味しいデザートに目を輝かせ


ティファは地図や集合場所の説明をし


メルはお店の案内とスイーツの自慢をした


1人ももれなく幸せそうだな


今日の夕日もとても綺麗に輝いていた




第二十四話 エルフの村みつけた


プリシア達は訓練とダンジョン探索とツアーの案内役を上手く育成し予想以上の成果をあげていた。サポートはティファとメルが完璧にこなしている。間もなく住民を連れて行けるようになるだろう


今日は住民カードを取りに来ていた


ギルド長室


「住民カードはこれで全部ですか?」


「はい!税金なのですが交渉の結果、住民1人辺り年間に金貨5枚と言う事になりました」


「て事は…全体で年間1000枚か…問題ない」


「あとこちらが魔石を換金した現物です。オークロードの魔石15個金貨30000枚です3カ国の金貨に振り分けてあります。どうもありがとう。少し大きいだけで金額は倍だね」


「はい。今回は60階層の魔物である事、オークロードの魔石である事等、前例の無い事案だったので王宮に相談せざるを得ませんでした。結果、王宮は世に流出する事を嫌い破格の値段で買い取ったのです」


「なるほど…俺の存在はバレた?」


「致し方なく…合わせて住民カードの発行もありましたので…誤魔化しきれませんでした。ただパインズ様が懸念なされていた王宮からの指名依頼などは無いのでご安心を」


「わかった。それにしても奮発したな」


「パインズ様。ここだけの話でございますがルーバイン帝国とボデッド魔国は長年にわたり戦争状態にあります。いまの所、不確かな情報ですが…早期終結を狙う帝国は魔道飛行船の開発をしているようなのです」


「そんな技術者が居るのか」


「さっしの良いパインズ様なら、お解り頂けたと思いますが大きな魔石が帝国の手に渡ると魔道飛行船の開発が一気に進む可能性があります。そうなれば我が王国にも脅威なのです」


「なるほどな…ルーバイン帝国もボデッド魔国も軍隊は強いのかい」


「そうですね…強いです。ボデット魔国は国内で意見が割れる為、内紛が多くいまの所脅威は無いですが魔王が誕生すれば一気に状況が変わります。ルーバイン帝国はもともと領域内の小国家を現皇帝が全て武力制圧した後に誕生した武力国家なので言うまでもありません。ギルドとしては公平であるべきとのルールはありますが魔石のように兵器利用できる物の扱いはその都度、情勢を判断しています」


「なるほど…わかった。今度から大金を必要とする時は数で勝負するわ」


「あと教会の組織図ですがこちらになります。現在の悪政の原因は教皇の散財にありそうです」


「司教でも司祭でも聖女でも、まともで民に尽くせる人は居ないの?」


「内部の事はそれほど詳しくわ」


「所でブロイさん少しシビアな話をするけど孤児院の事を頼んだ時に手を出しづらい雰囲気だったが…ブロイさんはバイルン公爵派なのだよな?今後信用して大丈夫なのか?俺はコソコソと嗅ぎ回るのは好きじゃないから1度だけまっすぐに話すけど」


「誤魔化したり、嘘をつくようなら今後容赦はしないよ」


「そんな事もご存知でしたか…ガンツや街の冒険者が知りようもない事だったのですが」


「それでどうなんだい」


「実はバイルン公爵はバイルン公国を収めていてシュテルン王国の東方に広い領地を持ちます。実りも豊かな上に、隣接したイースト共和国との関係も良好で、王国内では最大派閥なのです」


「パインズ様の敵に回りたくはないので本当の事をお話しますが…孤児院の件が難しいと申したのはパインズ様の想像の通りです」


「ですが私は王家の末裔にあたる血筋です。スパイという訳ではありませんが王家と公爵が争いになった時の為にバイルン公爵と懇意にしているのです」


「あくまで個人的付き合いでありギルド長としての仕事で妨害を受ける事はありませんので安心してください」


「わかった。うちの住民の件は本来の血筋ってのを使ってくれたって事か…疑ってすみません。ありがとうございました」


「あと教会の件はこちらでやります。ギルド長指名の依頼はしばらく無いと思いますからゆっくりしてくださいね。では失礼します」


ゲート移動しようとしたらステファニーに呼び止められた


「パインズ様お客様がお待ちです」


「ん?誰?」


「こちらイースト共和国のギルドからいらしたパーティ参加希望の方です」


「おー!早速!こんにちはパインズと申します。華麗なる森の住人の代表はプリシアという者が務めて居ますが私も仲間であり募集を出したのは私です」


「私は兄のシャドーと言います、こちらは妹のダフネスと言います。2人では限界を感じていた所に募集を見かけてこちらにお邪魔しました」


「イースト共和国のギルドからわざわざありがとうございます。遠くて疲れたでしょう。お食事がまだなら一緒にしながらゆっくりお話でもどうですか?」


「ここのギルドの酒場は味もわるくないですし、ずーっと開いてるのが助かるんですよね。どうぞ食べ物でも飲み物でも遠慮なくどうぞ」


「ではお言葉に甘えていただきますね」


「はい。落ち着いたら思う事をお話ください」


貪るように食べてるな苦労してきたのかな。兄の方が俺より少し上で妹は同じくらいかな


「飲み物も遠慮なく、お酒でもジュースでもどうぞ。俺も朝から飲んじゃおかな」


俺がビールを頼んだら兄の方は便乗して妹はジュースを飲んだ遠慮するなってのが無理だよなー


「ふー!食べたー!」


さっきはヘトヘトだったのに随分と元気になったな


「落ち着いた?まだ食べていいんですよ。そうだ!おねぇさーん!」


「はい!ご注文ですか?」


「お姉さんにもプレゼントするので持ち込みしても良いですか?あとお皿とスプーンを2つづつお願いします。」


「はいどうぞ!」


では!と2人の前にお皿を置き世界倉庫からクレープを出しお皿に乗せた


「はい!これはお姉さんの分!帝都で流行ってるクレープですよ。甘くて美味しいんです」


「うわー!1度食べたかったんですよ!」


と店のお姉さんが喜ぶ


「2人に紅茶でも入れてあげてください」


2人に紅茶が出てきた。2人は見た事の無いクレープをそっとすくい口にした。お姉さんも隣で食べ始めた


「お口にあうか?わからないけどデザートです。どうぞ遠慮なく。あとお姉さんなんで隣に座ったの?」


「なんとなく休憩です」


あ…そうですか…


「お2人は食べながらで良いですよ。パーティの希望者を断るつもりは無いですが適材適所があるので鑑定させてもらっていいですか?」


「ど、どうぞ」


「お兄さんがアサシンでレベル20ですか…索敵や感知スキルに隠密の系統も優秀ですね」


「妹さんもアサシンなんですねレベル15俊敏とか短剣スキル隠密はあるのか…」


「2人で探索するには火力が足りなくて苦労したでしょ」


関係ない話をお姉さんがする


「そういえばこの前みんなで大騒ぎした時に華麗なる森の住人の皆さんがちょっかい出してくる冒険者をボコボコと殴ってましたけど…あの皆さんはレベルいくつくらいなんですか?」


「パーティのメンバーは事前に鍛えてレベル上げしてるからさ。一番下で40かな」


「それでみんなあんなに強いんですね。歌もお上手で綺麗で強くて私憧れちゃいます」


「ちょくちょく来ると思うからよろしくね」


お兄さんが食いつく


「一番弱い人がレベル40ってほんとですか?そもそも華麗なる森の住人って何人居るんですか?」


「ダンジョン探索は少数の班でアタックしてるけど…全員集まれば50人だよ」


「そんな大パーティに僕らで戦力になれるんでしょうか?妹は戦闘向きといってもまだレベル15ですし」


「その辺は慌てなくても時間をかけて一線に出れば良いさ。それよりも兄妹でパーティを組んで苦労して来たのには、事情があるんですよね?」


「はい…私達の住むエルフの村は僕達以外はもうみんな歳を取っていて長老は森から出たらダメだって自給自足の生活をしてたんですけど。この妹のまだ下に弟が居るのですけど…身体が弱くて…」


「なるほどね…んで薬を買ったり色々するのに長老の意見を聞かずに飛び出して冒険者になったと」


「そうです。僕は1人で行くと行ったんですがダフネスも着いてきまして」


「森には何人住んでるの?村全部で35人です。みんな年寄りです」


「そっか…俺の事は信用出来るかい?まだあったばかりで信用できないかい?」


「いえ!大丈夫です。お世話になりたいと思います」


「はい!私も仲間に入れて欲しいです!」


「もうお腹いっぱいになった?なったなら行こうか…着いてきて!あ、お姉さん色々ありがとう」


「はい。ありがとうございましたー」


ギルドの受付の横を通りステファニーに挨拶をしてローカから城壁の外へゲート移動した。2人はびっくりしている


「ゲートも使えるんですか?パインズさん凄いですね」


「凄いのはまだこれからだよ」「サモンゲート」


「お呼びですか主様」


「よう!フライいつも突然ですまない」


シャドーとダフネスが腰を抜かす


「あの…こ、これは…」


「グリフォンフェアリー!君たちエルフ族では神の御使いと呼ばれている神獣だよ!」


「今日は特別に乗せてやる!村まで飛ぶぞ!冒険者登録してるのはイースト共和国だけど森はバイルン公国にある街道から北に伸びる森だよな?」


「なぜ知ってるんですか?」


「知ってる訳じゃないけど…この前ウルフの群れを30体ほど狩りに行ったんだよ。その時に大きな森を見ていたからさ」


「イースト共和国に登録してる冒険者が王都まで来たならそこだろうなって思ってさ。森までは行くからどの辺かは近くになったら教えてくれな」


「フライ!この前ウルフを狩りに行った時にメルとティファを乗せて飛んだでしょ。あの森まで」


「ダフネスは前!シャドーは俺の後ろに乗れ!とりあえず弟の病気を治して長老と話してみるよ」


「はい!」


「フライいいぞ」バサ!バサっ!上昇する


「2人とも緊張しなくていいぞ!落ちる事はないから世界樹が作ってくれた鞍は落ちる事は無いらしいから」


「はい!パインズさん!飛んでます!飛んでますよ!」


「空は気持ちいいだろー、ダフネス」


「はい!」


「シャドーは空が苦手か?怖いか?」


「は、はい!何とか大丈夫です」


「シャドー!下を向いてないでもっと景色を見てみろよ!気分爽快だろ!2人で良く頑張っできたよ。もう何も心配は要らないからな」


「もっともっと飛んでいたい!」


「ダフネスは随分気に入ったようだね。あ、見えてきたな空から森を見た事は無いだろうけど村がどの辺かわかるか?」


「はい!森の一番深い所です!山との境目あたりに木が少し少なくなっている所が見えるでしょ。あそこです」


「フライ!あそこに着陸だ」


「かしこまりました」


翼をゆっくり動かし村の真ん中へ着地する。驚いた住人や長老達が集まってくる


「フライ…俺はダフネス達の弟に薬を与えに行くから場合によっては年寄りと話してくれて良いか?」


「私に出来る事ならなんなりと」


「こんにちはー!違うエルフの街で長をしているパインズと申します。私が従えたこのグリフォンフェアリーがみなさんのお相手をします。私はシャドー達の家に行って弟を見たら戻ってきますのでお願いします」


「おぉ…神の御使い様じゃ!なんと神々しい」


「皆の者よく聞け枯れたこの森に神の御使い様がおいでなさったぞ!お供えできる全ても恵を持ってくるのじゃ!」


最年長のおばあさんは涙し、長老は吠えた


「エルフの民よ、よく聞くが良い。我に供えは不要じゃ。我の主様が戻るのを待つのみじゃ。慌てずとも良いぞ」


シャドーの家


「パインズ様この子がチッタです。最近、日に日に悪くなるんです」


典型的な魔力切れだな世界樹の滴を飲ませた


「お兄ちゃん!お姉ちゃん!楽になった!楽になったよ!」


エルフの森の広場


「チッタには世界樹の滴を飲ませたので病気はもう大丈夫です」


母親とシャドー、ダフネスとチッタが跪く


「長老はどちらですか?」


「パインズ様ともうされたか…私がここの長のヘーゲルと申します。この度は村人をお救い頂きありがとうございました」


「先程シャドーに伺いましたが村人は全員で35人ですか?他の者はどうしましたか?」


「ここの森は狭すぎました。以前はもう少しいましたが今は年寄りとシャドー達しかおりませぬ。シャドーの父親も…働き盛りの村の者は村の為と外に出ていきました。生きてるのか死んでるのかもわかりません」


「シャドー達は冒険者をしながらお父さんを探していたのかい?」


「運が良ければ会えるかもしれないとは思っていました。お父さんが出て行く時に僕にだけ言ってくれたんです。このままこの森に居ても滅びを待つだけだから、村の為にお金を稼ぎに行くと…」


「なるほどな…長老!確かに、この森が枯れるのは時間の問題です。だから、皆さんで私の街に来ませんか?約2000人のエルフが暮らしています」


「とても有難い申し出ですが…出ていった者が戻った時の事を思うと、待っていてやらねばと…」


「パインズ様…大変厚かましいお願いですが希望者のみ連れて行ってはくれませんか」


「長老!気持ちはわかるけどそれはダメだよ。希望者が居てもそれでは動けない。俺はみなさんの団結力を良く知っています。一族の為に生きる誇り高い魂も知っています。おそらく森をあとにした者達も一族の為にどこかで苦労しながら頑張ってる事でしょう」


「長老を残して生まれ育った森を離れられる者など居ないでしょうし、戻るかもしれない同胞を無視する事もできないでしょう」


「こうするのはどうでしょうか?エルフの里には全滅のおそれが生じた時にひとりでも生き残れるように逃げ場所を定めてあるでしょ?そこにみなさんの手紙と俺の持つ魔道具を一緒に置いておけば連絡が可能です。全員で俺達の街に移住して待てば良いのです」


「そんな事が可能なのでしょうかな」


「今お見せします」


ペンダントを口元にあてスイフを呼び出す


「スイフ!どこにいる?」


「パインズ様!わしは長老会議室ですぞ」


「ゲートを開くからこっちに来てくれ、エルフの森をみつけたんだ」


「わかりました」


ゲートを開きスイフを呼んだ


「おぉー同胞よ!少なくなっても森で暮らしておられたか…皆、苦労したでしょう」


「スイフ様と言われますか…わしはこの村の長でスタンと申します」


「わしらも移住する時は不安もありましたが、今は移住できた奇跡に感謝せぬ時はありません。この前はぶどうの収穫祭もやったのですよ」


「なんとそんな実りが!」


「それだけではありません。創造主様がおられ世界樹様がおられ、妖精が踊り舞っています」


「それは本当ですかな」


「はい。ここにいるパインズ様が我らを救ってくださった、スタンさん何も心配はないですぞ」


「パインズ様…わしも含み皆のことよろしくお願いします」


「了解ですよ。長老さん…それとこれを渡して起きますね」


ペンダントを2つ渡しひとつは長老が持つように言った。相手を認識出来ないと通信できないからな


「明日、お昼頃迎えに来ます。くれぐれもそのペンダントと伝言を忘れないように。荷物は最低限の準備で大丈夫です。街に行けばなんでもあります」


「よろしくお願いいたします」


村人がこうべを垂れた


「今日はシャドーとダフネスはどうする?今日はここに残るかい?」


「ダフネスは行きたい!」


「そっかそれならダフネスとチッタは先に連れていきますね。シャドーは母の手伝いを」


「あとここに酒と食事を置いていきます。明日の準備ができたら育った土地と最後のお別れを」


そしてダフネスとチッタを連れてスイフとフライを回収して村をあとにした


ニューリゾート・クールの神殿


「スイフもフライもご苦労さま」


「少しでも同胞が見つかって良かったです」


「ダフネス!チッタ!ここが創造主様の神殿だよ。妖精もたくさんいる。2人ともここに来ただけで元気が溢れてくるだろ」


「うん!凄い!それにこんな綺麗な景色を見た事がない!」


「ここはエルフ族にとっては創世の頃からの縁深き場所なんだぞ!」


レントの神殿


「レント!エルフを35人みつけたよ」


「松よ!いつも感謝じゃ」


「ダフネス、チッタ!これが世界樹様だ」


「なんか、凄い!懐かしい。産まれたばかりの頃お母さんに抱きしめ包み込まれて居たようなそんな感じ」


「民が増えるのはいいものじゃ」


「僕達も嬉しいよー!」


「またみんなよろしくな」


パインズの家


「ただいまー」


「おかえりなさい」


「エルフの村をみつけたよ」


「もう見つかったの?」


「この2人はダフネスとチッタ!2人ともよろしくね」


「このダフネスと兄貴のシャドーが訪ねて来てさ。生まれ故郷まで行ってきたよ。長老を説得してきた。明日にはみんな引っ越してくるよ」


「あいかわらず、早いなぁ」


「ダフネスですよろしくお願いします」


「チッタですよろしくお願いします」


「2人とも良かったね」


「ダフネスとチッタはのんびり自分の家だと思ってのんびりしてね。ティファ、メルお願いね」


2人を置いて新しい集落を作る為クールを探した。今日は畑に居た


「クール様ご報告です」


「なんじゃ!あらたまって気持ち悪いのぉ」


「新たにエルフの住人が35人増えます。住居の開拓をよろしくお願いしたいのですが」


「他のエルフも見つけたのか」


「まだまだ色んな所に散らばってそうだけどとりあえず村ひとつね」


「わかった用意しておこう」


次の日新たな住民が増えた。華麗なる森の住人の案内でツアーも始まった。何か出来る事はないかと駆け抜けて来たパインズだったが孤児院の事、紛争の事、バラバラになったエルフの事、まだまだ問題は山積みである。子供ももうすぐ産まれてくる。様々な想いを整理しながら決してあきらめず、決して背負い過ぎないようにしようと新たな決意をするパインズだった




第二十五話 そうだ!街興しをしよう


長老会議室


今日はスイフ以下8人の長老と新長老のスタン。戦士長プリシア。クールとティファも参加した


「みんな集まってくれてありがとう」


「おおよそ街の発展も落ち着き新たな移住者も加わった。この先も少しずつでも増え続けて行くだろう」


「移住して来た者には仕事も必要になり、気兼ねなく衣類や食料を手に入れる手段も必要になるだろう」


「またここに暮らすみんなは、ツアーに参加し人族の街や文化に触れるようになった。買い物もすれば流行りのスイーツも食べた。参加者は満足し新たな幸せを味わった。数ヶ月前には想像も出来なかった」


「様々な状況を考えた時に我がエルフ族も打って出る時が来た!更に強く汚れない誇りを胸に!」


「パインズ様が考える事に我々長老会議はついて行くのみです。金貨が入って来ても奢らないと一同お約束致します。立派な立場を与えられても勘違いしないとお約束します」


「具体的にはどのようにすれば良いのかな」


「では体制から発表する」


産業部門の部門長にスイフ あと3人の長老が補佐を務める、産業部門は工房と装飾、鍛治で構成され、工房では家具や食器といった工芸品、装飾ではアクセサリーや小物類といった宝飾品、鍛治では武器、武具、修理の全般を行う


農林部門の部門長にスタン あと3人の長老が補佐を務める、農林部門は農業と畜産、加工食品で構成され農業では野菜、果物を扱う。畜産部門では鶏肉、豚肉や魔物の肉の肉類、卵や牛乳を扱う。加工食品はチーズやバター、調味料から酒、飲料水に至るまで取扱う


戦士部門の戦士長にプリシア 長老職を解きトリフを副戦士長に正式に任命する 戦士部門はダンジョンの攻略は勿論の事、いついかなる時でも正義の剣をふるえるように増強していく。新たに影を組織し、様々な情報を収集しながらバラバラになった一族を探す


教育部門の部門長にティファ メルが補佐をする。子供には義務教育にて読み書きを教え。全住民を対象に読み書きから職業訓練に至るまで底上げをはかる


販売部門の場所の選定と宣伝はパインズが担当しそれぞれの部門から店員は派遣する


「以上が俺の考えだ。問題ないな」


みな決意してくれた大掛かりな取り組みではあるが部門長には通信機を与えた。元々団結力はある。各部門で対立する事なくお互い助け合って隙間は埋めて行くだろう


「各部門やり方は全て任せる。建造物が必要ならクールに言えばいい。畑や果樹園を広げるなら土地の使用に許可は必要ない。みなの技術や文化が世界中を席巻する事を期待する!」


レントの神殿


クールと2人


「相談も無しにごめんね」


「いや良いと思うぞ」


「クールは生態系に干渉しないがあるからさ」


「我も良き事に思うぞ」


「2人がそう言ってくれるなら良かったよ。俺が生きている期間はせいぜい100年だからさ、数万年前におこったような地上汚染があった時に次は負けないエルフ族にしたいなぁと思ってさ」


「お前の寿命の話は少し疑問があるが我らの眷属に戦う術を与えてくれた事はありがたく思うぞ」


「見捨てる事はないけど…ぼちぼちエルフ族は俺から独立して自らの足で歩いて行くべきでしょ」


「創造主様や世界樹様とお友達になってエルフ族の復興という目標は一段落したよ」


「目まぐるしく走ったのぉ…我らは2人ともチカラを与える事は出来てもそのチカラに溺れぬか…強すぎるチカラに潰れないか心配しておった」


「やはり我の前に来て平然としておった松は不変の精神力が宿っておったんじゃな」


「これからどうするつもりじゃ」


「混乱しないように族長は辞めないし家族も居るから家はそのままにするよ。だけど…地上の世界の事を俺も何とかしに行くよ」


「自然な流れじゃの…全て頼んだぞ」


そして新年を迎えた。新年のお祭りを開催、お祭りの最中にティファは子供を産みマイクと名ずけた。新年のお祭りは三日三晩続いた。夜空には花火があがり参加している住人は寝ては飲み起きては飲みしている


はずれでティファがおっぱいをあげている


「ティファありがとう」って抱きしめた


ティファは子供を抱えたままキスをした


そして歳月は流れた。みんな壁にぶつかり押し潰されながらも頑張って居る。シャドー達の父親も見つかり地上でバラバラになっていた者、少数で森にこもっていたもの、比較的繁栄していた集落…エルフのほぼ全部の移住に成功し住民は1万人近くになった。新しく子供もたくさん増え活気にあふれた街になった


産業は徐々に拡大してエルフの店と評判になりボデッド魔国以外の世界中に広がりギルド支部がある街や村には必ず出店している。どの店も大型で各部門が軒をならべるようになっている


戦士部門は軍隊に昇格し影を含むと1500人を数えるようになりダンジョン未到達領域の踏破はギルド全支部から依頼が殺到する。王都近くのダンジョンのみ金色の長剣にまだ義理を通しているらしく。共同でパーティを組んで挑んでるらしい


教育部門は街の子供の育成は当然であるが産業部門の店舗に間借りし無償で塾を行っている


マイクも3歳になり、俺も20歳になった


「ティファ、マイク、お父さんは今日も頑張ってくるよ。帰ったら遊ぼうな」



第一部 完


次は地上の世界をどうにかしよう!


第二部 五巻に続く










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