創造主様と友達になりました【2】
エルフの移住も落ち着いてさてこれからの冒険はどうなるのか…
第十一話 ニューリゾート
エルフ族の移住もすっかり落ち着きしっかりした街も出来上がった。平地に住むのは習慣では無いので心配したがエルフ族に伝わる伝承と同じ生活環境である事から年配者には特に喜ばれ、問題なく平静を取り戻した。音楽を欲していた俺はティファに頼んでギターやピアノを作って神殿に置いた。
エルフ族の音楽は葉っぱや笛を使った吹奏楽が文化だった。しかし古来、音に親しみがありリズム感も良いエルフ達は弦楽器の音色にもすぐに慣れて、これで妖精も集まってくると毎日楽しそうに過ごしている。
畑や果樹園も作り収穫を心待ちにしているが、そだちがよいらしく正確な周期はわからないが年に2回は収穫出来そうだと代表が嬉しそうに報告をくれた
「随分みんな生き生きと生活しているなぁ」
「そらそうじゃ、大地の恵!妖精が舞う大自然!こんな所で暮らせるんじゃ、この上ない幸せなんじゃろ」
「クールも毎日楽しそうじゃん」
「我は創造主にして万物の親じゃからな。どの生命も我の半身みたいなものじゃ。その民が幸せに暮らす姿を見ていると心も洗われようというものじゃ」
「メルとの関係はこれからどうするの?巫女として生存させた方が良いのかい?」
「古のメルはあれ以来姿を表さんしな、しばらくは様子を見ようと思う。それにエルフもここに来て本来の能力をみな取り戻したからな。この姿の我の事も見えとるじゃろ」
「そっかそっか…崇め奉られなくても良いんだな」
「松は崇め奉れば良いのじゃぞ」
「なんでやねん!」
思わず突っ込んだじゃないか(汗)
「それに妖精も日に日に増えておるぞ。本来、我は創造主、創造主を守護するのが妖精の役目。そして妖精に気に入られた種族がエルフだったのじゃ。唯一妖精と共存できる種族と言った方がわかりやすいかの」
「なんにしてもクールが幸せそうで俺も嬉しいよ。ティファも良く笑ってるし人気もあって、お菓子や料理の作り方を教えて毎日忙しそうにしてる。冒険者は卒業させた方がよいかな」
「ティファは子供が欲しいらしいからそれが良いかもしれぬな」
「それにしてもオートマタが人族に進化するなんて創造主の力はなんとも凄いな」
「松よ、それは違うぞ。事はそんな簡単な事ではない。確かに我が最後の手助けはしたがの、そこに至るまではティファ自身が強く望み、努力し、愛情を知り、感性を持ち、内面が人になったから進化できたのじゃ。お前も望んでいたしの」
「そっか、なんにしてもありがとうな」
「そうじゃ、そのありがとうが良いのじゃ。人は創造主であれ神様であれ信仰の対象になるべき存在にはお願いばかりしおる、お願いは信仰心とは言わんのじゃ。祭壇でお願い事をする。不幸があれば神のおみちびきを!など言いおる。舐められたもんじゃ」
「俺にはよくわからないが、雰囲気は理解したよ。自分を磨けって事だな。」
そして日課になっている畑と果樹園の手入れをしにクールは行った。
創造主宣言しても良いと思うけど…クールの思惑など計り知れる訳が無いよな
俺の家は街外れに位置する形になった。子供達や独身のエルフ達が毎日遊びに来るので騒がしく暮らしている。街へ出た
「お兄ちゃん!こんにちは!」
「今日も元気に遊んでるかい?」
「今日はね。コマ回しして遊んでる!」
「仲良く怪我しないように遊ぶんだよ」
「はーい!」
「パインズさん!新しいお菓子を作ったので味見をしてくれませんか?」
これはラスクみたいだなぁ。
「美味しいね」
「私はマレットです!」
はいはい(汗)
代表はまだ諦めて無いのかな?
移住して来た日にスイフが来た
「パインズ様この度は我らエルフの為に尽力して頂き感謝しております。つきましては我らの中から側室をめとって頂けませぬか。」
政治政略と俺に対する忠誠心の表れかな。こういう風習は異世界もかわらんな
「それは必要ないよ。あと俺を様と呼ぶのはやめてね」
「なんと!1人と言わず5人でも10人でもかまいませぬぞ。好みのおなごはおりませぬか?」
まてまてまてまて
「スイフさん?俺の話を聞いてました?エルフの女性はみんな綺麗だと思いますよ。容姿に限らず誇り高き性格も、だけど俺はティファだけで手一杯です」
「ならせめてどうかパインズ殿の家の掃除や洗濯。料理の用意などをさせに行きますのでメイドとしてお使いください」
「わかった。そういう事ならありがたく」
と言うやり取りがあったのだが、毎日2人から3人づつローテーションしながら来てくれている。
それにも多少の問題があるらしく、トリフに聞いた話ではローテーションを決める時には神殿の大広間で熱いシフト争いが行われるらしい
モテ期到来かな…コテッ
ティファも
「良い申し出じゃない。今後も他の種族の権力者から娘を嫁に。なんて話はたくさん来ると思うよ」
「まあ、そうかもしれないけど俺はティファが居れば良いよ」
「私は気にしないよ。」
「俺は気にする。」
「そうなの?♡」
結局喜ぶんかーい!コテッ
そんな事があった。お菓子のお礼をのべ早々と逃げる為トリフを探した。
「トリフ見なかった?」
「私は見てません」
「あら!パインズ様♪うちに寄ってください。」
「ちょうどお茶を入れたのでこちらへ」
やぱ代表の陰謀をかんじるよなぁ
「そしたら家にいるからトリフを見たらうちに来るように伝えてください」
最近のんびり散歩も出来ないなぁと実感するパインズでした
第十二話 ニューパーティ
「ティファは戻ってる?」
「なぁに?♡」
「今後のダンジョン探索の事なんだけどティファは引退して街の世話役をしてくれないか?子供が出来たら手がかかるだろうし…」
「パインズはどうするの?」
「俺はエルフから何人か選んでパーティを再編成するのが良いと思ってる。かなり鍛える必要はあるけど」
「そうだね。私も今後はどうするか?考えなきゃとは思ってたんだ」
「だよね。それなら早い方が良いでしょ」
「うん、うん」
「そしたら世界図書、世界生産、世界収納はクールに言って共有スキルにしてもらうね」
「わかったよ」
トリフが来た
「こんばんはー!パインズ!呼んだかい?」
「あ!いらっしゃいトリフ」
見た目に反して随分年上だったトリフだがメルの事や移住の事、色々あって立場は俺の方が上なのだからフランクに接して欲しいとの申し出もあり、最近は兄弟のようにしている
「今日呼んだのは少し相談があってさ」
「お前には感謝している。なんでも言ってくれたら協力させてもらうぞ」
俺はティファの事、街の事、冒険者の事、それぞれ考えている事を話し協力を頼んだ
「と、言う事なんだよ。どうだい?」
「願っても無い事だが俺だけでは決めかねるな」
「そらそうだな。他に連れて行く者の人選もあるし、考えてくれたら良いよ」
「俺は参加するとして、人選もあるし長老会議にかけてから近々返事をするよ」
トリフは弓の使い手である。強力な弓を与えたら超遠距離攻撃も可能になるだろう
「じゃあ頼んだぞ。それと弓を引いてみてくれるか」
表に出て世界生産で作った弓と矢を渡す。
「これをトリフの武器にしようと思ってるんだけど。300m位先に光の鉱石があるのは見えるか?」
「昼間なら光で見えるかもしれないが暗くなっては無理だな」
トリフのおでこと自分のおでこに人差し指と中指を立てる。心眼…
「どうだ?」
「おぉ!見えるようになった。何をしたんだ」
「ここの住人の恩恵みたいなものだ。コピー条件がランダム過ぎて良くわかってないが心眼と言うスキルを渡した。使えば使うほど熟練していく」
ここの住人はクールの恩恵を自然に受けている為素質があればスキルを覚えさせる事が可能になった
「狙って射ってみてよ」
びゅーん!サクッ!
「届かないか…今度は矢にウィンドを纏わせて射ってみて」
「ウィンド!」矢に風が集まる
バキっ!
「刺さったな」
「凄い武器だな」
「それは渡して置くよ。トリフは魔法は風しか使えないの?」
「火魔法も一応使えるが攻撃魔法まではいかない。せいぜい薪に火をつける程度だ」
再びでこに手をやる
「どうだ!今度は矢にウィンドを纏わせてからさらにファイアボールと念じてみて」
トリフの構えた矢が風と炎に包まれる。
ゴーーー!ボン!300m先で爆発がおきた。まだ規模は小さいがこれでもオークロード位なら離れた場所から一撃で仕留められるかな
「あわ、わ、わ、わ…今のは俺の攻撃か?」
「そうだ。明日から毎日訓練して1km先の標的を貫けるまで練習して欲しい。1km先に命中させられるようになったら今度は火魔法をのせて半径10m~20mくらいの範囲で吹き飛ばせるように火魔法も強化して欲しいかな」
「わかった」
「あと…鑑定するよ。トリフのレベルは29か」
危険な冒険でもしない限り狩りや日常の戦闘では年齢くらいのレベルが平均的なのか…
「世界樹の滴を飲めば基本ステータスが上がるから飲んでみてね。あと目標としては…安全マージンを考えてレベルを50ってところかな」
「わかった。人選と合わせて努力する」
「よろしくね」
トリフは新しい武器を手にして満足気だな。これからの成長が楽しみだ。
「ただいまー。ティファー!」
「お風呂入ろー♪」
今日も目の前には湖が広がり満天の星空が輝き最高の眺めだ。少し離れた神殿からはピアノの音が聞こえてくる。優雅で酔うほどに美しいメロディだ
「今日もお疲れ様!どう?ピアノいいでしょ?」
「そうだね。素敵な時間」
会話は要らない。透き通るような白い肌、湖の反射にも負けない黒い髪。整った顔…もう無理!我慢できない
何度も唇を重ねては耳元で愛を囁く、ティファの回した腕にチカラが入る…とろけるような時間…あまい…
読者の皆様…なんか?すみません
第十三話 ニューパーティ2
次の日トリフが奥さんを連れてやって来た
「おはよう!パインズ!」
「おはようございます!パインズ様。その節は大変お世話になりました。妻のプリシアにございます」
「堅苦しい挨拶は必要ないのでどうぞこちらで楽にしてください」
リビングの椅子へ促す
「そうだ。これから朝ごはんなんだよ。食べるだろ?」
トリフはこう見えて責任感が過剰と言うか少し臆病と言うか…そんな性格なので睡眠もろくに取れずご飯がノドを通らなかったようだ
「食べながら話そう。今日の朝食は東のイースト共和国で買った、ご飯と味噌汁、それに焼き魚だ!食べた事ないだろ?俺の前の世界の料理と同じでな故郷の味なんだよ。苦手だったら無理しなくていいからね」
「ではいただきます。早速なんだが冒険者パーティの件な…」
「うんうん。プリシアも遠慮せず冷める前に食べて食べて」
「はい!」
「長老会議は全面的に協力してくれたんだが人選を迷っていてな…」
「どうした」
「それがあの後すぐに希望者を募ったんだよ。そしたら若手は男女問わずほとんどの者が志願してきてな。理由はわかってんだ、元々若手連中はここに来る前から一族の掟やならわしを煩わしく思っていた節もあったからな。多くの者が外の世界に憧れてるんだよ」
「なるほど…続けて」
「それで若手から無理やり選抜するよりはプリシアは先代戦士長の娘でな魔法力ならエルフ族で1、2を争う腕がある。どうだ?」
「そうだなぁ…食事が終わったら見せてもらおうか」
プリシアの放つ魔法は強力だった。風魔法に特化しているが小魔法から大魔法まで使いこなし。効果は少ないがヒールくらいなら光魔法も使う。威力に関しても、大魔法トルネードを放った時は天高く砂塵を巻き上げた。魔力量も多く風精霊に愛されたプリシアは底をしらないようだ
「いいんじゃないかな。留守中、メルとマルはクールに預けるんだよな?了解は取ってある?」
「話してある。子供達もおじいちゃん♪おじいちゃん♪となついてるよ」
ぷぷぷ…おじいちゃんって(爆)
「それなら問題ないよ。レベルもプリシアの方が高そうだしな。2人のレベルが50を超えたら冒険者登録をしてダンジョンの攻略をはじめようか。あと装備だな。少しついてきてくれるかな?」
魔法杖の材料を得る為に最古の世界樹に来た。ニューリゾートの全部の世界樹の親木ってところか
「プリシアは風精霊となら話が出来る?」
「はい。言葉を交わす訳ではないですが、意志の疎通はできます」
この木には無数の精霊が取り巻いていて俺も存在は認識しているがまだ意思疎通までは出来ない
「風精霊に通訳してもらって世界樹にいい感じの魔法杖の素材をわけて欲しいとお願いしてくれないか?」
※良く来たな松!待っていたぞ。他ならぬお主の頼みじゃそのくらい造作もないぞ
※世界樹となら話せるんかーい!
※ありがとう、とりあえず今回はプリシアの通訳でもらった事にしてくださいな。武器の素材にするから本人の愛着みたいなものでさ
※なるほどの相変わらず主は面白いやつじゃな
「プリシアどうだ?」
「多分今出してくれるかと…」
「んじゃ少し待つか。あと若手の件だけどな、今回のパーティからはずしても、地上の色んな街や文化に対する憧れや好奇心を消す事は出来ないだろう。そこでだ!俺の休みに合わせて4人1組で地上に連れて行くよ。1回目の開催はトリフとプリシアが40階層に到達したらって事でどうだ」
「みんな喜ぶと思います。パインズ様の貞操の危機が訪れるかもしれませんよ」
「大丈夫。ティファを連れて行くし。ゲートで移動するから日帰りw」
「それは残念だな」トリフよ、お前まで何を言ってるのかな(汗)
「なんにしても好奇心まで抑え込めばそのうち限界が来るだろうしな。しきたりや掟は重要ではあるけど…色んな景色を自分の目で見る事はいい事だろ」
お!出来たな。
※世界樹さんありがとうな
※わしの名前はレントじゃ。古よりそう名乗っておる。材料などお安い御用じゃ(笑み)
※また遊びにくるからね
※あとな精霊達もお前に大いに興味を持っておるぞ。そのうち姿をみせるじゃろ
「プリシア!精霊さんと世界樹さんに俺からのお礼も伝えてね」
その後世界生産で魔法杖を作ったトリフ達の家まで歩いて帰る道すがらで完成した
トリフの家の前
「はい。んじゃこれプリシアの杖な。名前はプリシアの杖でいいんじゃないか?かっこいいじゃん」
世界樹の枝を杖に直径10cmくらいの魔石を取り付けてある。ちなみにレジェンドランクである
「俺の弓もトリフの弓と名付けて良いか?」
「はいはい(汗)任せるよ」
結局トリフの弓、世界樹の杖という武器になった
「あと近接戦闘用に短剣が1本づつと…防具はプリシアにはフード付きのローブとトリフは俺の防具みたいに急所だけ隠す軽装備でいいな」
「充分だ!」
「そしたら防具は冒険の開始までに作っておく。メインの攻撃だけじゃなくて、短剣を使った近接戦闘も2人で鍛錬してね。そしてレベル50になったら出発だ」
第十四話 ニューパーティ3~魔道具
2人の成長待ちになった俺は少し時間ができた。ここまで休む事なく働いてきたので少しのんびりしようと思う。ついでに週に1日は休日を設けよう。1日はツアーガイドの仕事があるから冒険者は週5日だなw
ティファに剣を向ける事が出来なくなった為鍛錬を兼ねて午前中は深層の番人を狩りに行き午後は魔道具の作成と街の散歩を日課にした
魔道具の作成はとても面白く多分その気になれば乗り込み式の人型ロボットも作れそうだ
トリフとプリシアとは念話が使えないのでまずは会話用の魔道具制作に取りかかった。手に持つと邪魔になるしペンダントにすると少し魔法効率が落ちていたのだが魔石のフレームと鎖をミスリルにする事で大幅に改善できた。ペンダント型で声を出せば声が届き、念を送れば念が届くとても良いできである。試験♪試験っと♪
「こんにちはー!今日もみんな元気ですね。代表見なかったですか?」
「代表は多分果樹園に居ると思いますよ」
ペンダントを誰に渡して確認するか悩んだのだが泣く泣く代表を選ぶ事にした。
個人的な希望では、なるべくおっさんは避けたかったのだが子供に渡しても娘達に渡しても不公平になり周辺が大騒ぎになる事が容易に考えられたからだ。
とほほほ…
「お!居た居た!代表!こんにちは。今日は果樹園の見回りですか?」
「おぉ!これはこれはパインズ殿こんな所までどうされたのかな?」
「これを首から下げてもらって良いですか?少しはなれますね」
※なにか声を出してください
「なんとこれは、パインズ殿の声が頭に届きますぞ」
※次は声に出さずになにか言ってください
※もうすぐ収穫がはじまりそうじゃ
「もう収穫ですか?なにが実りそうですか?」
「ぶどうじゃな、エルフ族ではぶどうが好まれてな。食べて良し!酒にして良し!じゃ」
エルフ族は質素な食生活のイメージがあったが肉も食べれば酒も飲む。特にワインは一族みんなが好む為ぶどうの収穫期には収穫祭を行うらしい
「もう少しで収穫祭じゃ!パインズ殿も参加して下されよ」
「楽しみにしておきます。そのペンダントは代表がお持ちください。俺を思い浮かべて念を飛ばせば家に居る俺にも届きます」
「便利な魔道具じゃな。用のある時は使わせていただくよ」
これで使用テストもクリアである
あと苦労したのは、魔法袋である。アイテムと魔石回収用に腰から下げられるくらいの大きさの魔法袋を容量、馬車の荷台って設定して作ったのだが、これは世界収納のスキルを使用するらしく、俺が手作りしなければ世界生産ではただの小物入れになってしまった。
それにトリフとプリシアに渡せば他の住人から不満が出るのがわかっているので全住人分2000個作った。
その後は疲れを癒すため趣味の範疇で防御しながら攻撃力を上げるブレスレットとか装着したら幻惑魔法で顔と髪の色が変わるピアスなど、すぐに必要では無いがツアーが始まったら使おうと様々作ってみた
そんな毎日を2週間ほど過ごして居るとトリフとプリシアがやって来た
「トリフレベル50プリシアレベル54になりました」
「ではトリフ1km先のダイヤに向けて最大火力の矢を発射してください」
ここの鉱石は世界図書にも乗ってなかった為俺がなんとなく親しんだダイヤと言う名前を付けた。不思議なのは名前を付けた途端に図書が更新され。
ダイヤ…この星のどこかにあるオリハルコンよりも固くミスリルより魔法浸透力のある鉱石
と言う項目が追加された
ヒューーーー!!ドッカーン!!!
「良し!いいな」
ではプリシアは森に向かってウィンドカッターを
「パインズ様!ウィンドカッターが進化してウィンドソードになりました…それでいいきますね」
「ウィンドソード!」
凄まじい威力である。杖によって魔法力が増大されてるとはいえ幅100m奥に200mの範囲を丸裸にした。森に申し訳なくなった俺達は慌てて世界樹の滴をまいた…危ない、危ない(汗)
「さっきの魔法は使う時に自分で範囲を小さくする事は出来るの?」
「はい!問題ありません」
さすがの魔法制御力って所か
「じゃあ最後に近接戦闘の試験をしようか木剣を持って同時にかかっておいで、本気で来るんだよ」
動きはいい。特にプリシアは優秀である。さすがに先代戦士長の娘と言うべきか
初手はプリシアが死角に素早く移動しながら抜く剣をそのまま入れて来た。不意はつかれたがその程度を弾くのは容易い
カン!
それを見ていたトリフは勢い良くジャンプしながら上段を入れてくる
ドカ!蹴り飛ばす
「攻撃の時に飛んでは着地するまで軌道を変えられない。足は常に付けろ」
トリフを蹴る為に捻った身体の背中からプリシアが突きを入れてくる。素早くスライドして右脇で腕を挟んで後方に押しやる
「うおぉぉぉー!」
離れた所からトリフが雄叫びをあげてかかってくる。足を払われて前のめりに倒れ込みプリシアと抱き合った。
「まあ、俺には通用しないけど40層くらいまでならいけそうだな。途中でレベルアップもするだろうし。あとトリフは戦士にしてはセンスなさすぎw攻撃する時に雄叫びをあげてどうすんの?プリシアはあと一歩って所だけど…攻撃を出す瞬間まで殺意は消さなきゃ。相手が強いと魔物でも気配で察知されるから今の2人では目を瞑ってる相手にも当たらないよ」
「理解できた?」
「おう!」「はい!」
「とは言えよく頑張ったね。今言った事を忘れずに鍛錬はおこたらないでね」
それと…これを渡しておくよ。プリシアの金髪とグリーンの瞳に良く似合いそうな白をベースにしたローブ、ペンダント、魔法袋!トリフには、着ている服に合わせて濃茶色の胸当てから一式、あとペンダントと魔法袋!それから解散した
「明日はゆっくり休んで子供とも遊んであげてください。出発はあさってなー」
終わった!終わったー!ティファー!!!
第十五話 新たな冒険のはじまり
「おはよう!」「おはようございます!」
「早速いこうか?覚悟は出来ている?」
俺はプリシアを見た「はい!」
冒険者ギルド近くの人の居ない路地
「到着。2人とも街を見たら人が多いからびっくりするかもよ。あとエルフは珍しいから少し目立つかも」
冒険者ギルド受付
「すみません冒険者登録よいですか?」
やはりエルフは目立つな、声が聞こえる
「おい!エルフだぜ」「なんだありゃ!」
その中から聞き覚えのある声がした
「パインズじゃねぇか!探してたんだぞ!」
ガンツである。
「あぁ。久しぶりですね」
「あぁ、久しぶりですね…じゃねぇよ!あれから探し回ったのにどこにも居ないからさ。ちゃんとした礼も言えずにさっさと言っちゃうからよぉ」
「まぁまぁ、あの時の事はお気になさらず。とりあえず新しい仲間を連れてきてるので登録だけやっちゃいますよ」
「パインズ様ー!パインズ様が捕まえた不良冒険者の件で待ってたんですよー」
「そ、そう(汗)あとで聞くからまずこの2人の登録をお願いできないかなぁ(汗)」
「かしこまりました。ではおふたり様こちらに手の平を下にして乗せてください。」
「パインズさんが以前一緒に来た綺麗な方はどうしたのですか?」
「他の仕事をしてるよ」
「ならまだチャンスは来ませんねー」
なんのチャンスだよ(汗)
「はい!おふたりとも問題ありませんね!ではこちらの書類にご記入を!」
「パインズ、ジョブってなに?」
「ジョブの所はトリフは弓術士、プリシアは魔術士。って書けばオッケー♪」
「登録完了です。パインズさんは少しお待ちくださいね」
「偉い人から話を聞かれるならこの2人も同席させてね。街に慣れてないから」
「ギルド長に話してみますね。お待ちください
「さてガンツさん、お待たせー」
「新しい仲間はエルフか?」
「そうそう友達なんだよ。男の方はトリフ!弓の使い手!女の人はプリシア!魔法使い!仲良くしてね」
「こちらこそ。俺はガンツ!よろしくな」
手を出したが、2人は握手できない
「やぱ触れられないんだね。ガンツさん悪い…二人共悪気がある訳じゃないんだ」
「いや良い。森に結界を張って暮らして居て、他種族と交わらないと言うのはほんとなんだな。」
「俺もいま知ったよ」
「そんな事よりちゃんとお礼を言わせてくれ!先日は助けてもらってありがとうごさいました。その上不愉快な思いをさせて申し訳ありませんでした」
他の冒険者も見てる前で最強と名高いガンツが頭を深々と下げた。オロオロするパインズ
「わかりました!わかりましたからやめてください!頭をあげてください!」
見ていたの冒険者が噂する。
「あいつ何者なんだ?」「まだガキじゃねぇか」
「だけどガンツのやつ丁寧に頭を下げやがったぜ」
「パインズ様、ギルドマスターがお呼びです。どうぞ通路の突き当たりのマスター室へどうぞ」
「ガンツさんも行こうよ」「お、おぉ」
ギルドマスター室
「はじめましてパインズさん。ギルドマスターをしていますブロイと申します。ガンツもご一緒でしたか」
「ダメでしたか?」
「問題ないですよ。パインズさんを引き止めたのはガンツも無関係ではないので」
「私がパインズで、この2人は僕のパーティのトリフとプリシアです。先程登録をしました」
受付嬢が美味しそうな紅茶を入れて来た
「どうぞ、どうぞ、どうぞ!」
※トリフとプリシアはお茶は飲めるの?
※潔癖症という訳ではないので肌が触れなければ大丈夫です。
一族のしきたりって所か…まだまだ色々ありそうだな
お茶を出し終えて受付嬢が挨拶をする
「本日から私がパインズ様のパーティを担当するステファニーと申します。不慣れな事も多いかもしれませんがよろしくお願いします」着席
「こちらこそよろしくお願いします。こんな新参パーティに担当まで付けて大丈夫ですか?」
「それも踏まえてこちらにお呼びしましたので、あとはギルドマスターから」
「まずパインズさん、不良冒険者の一件ですが結論から言うと騎士団に引渡しましたのでもう危害を加える事は無いかと思います。他の4人に関しては余罪もなかったので今回は不問にしました」
「僕としては放置でも良かったんですよ。ステファニーさんの慌てぶりから冒険者とギルドの間にも微妙なバランスがありそうなのは理解しましたから」
「その若さで察しが良くて助かります」
中身は経験豊富だからな(汗)
「他にも被害届は出ていましたので現場には私も行ったのですよ。そしたら他の4人が倒れていて、その者達からも状況は聞き取りした所。反省して一部始終を証言したので不問にしました」
「了解です。僕の方から要望はないのでギルド長の判断で問題なしです。今日呼ばれたのはそんな事ですか?」
「それがこちらに問題がありまして…連れて来たリーダー格の者はBランク、他の4人はCランクでした」
「そうですか」
「そんな5人を軽く捻ったのがその日に冒険者登録したばかりのEランク冒険者と言うじゃありませんか!これはランクの変更も視野に入れて1度お会いしたいと思ってた所にガンツが未到達領域の探索を終えて報告に来たのですよ。冒険者登録もまだの子供に助けてもらったと」
「子供?」ガンツを見た
「言葉のあやだよ!そんなに強い子供が居てたまるか!」
「それでステファニーにも来られたら必ず知らせるようにと伝えてありました」
「で、姿を表したと…ここに呼ばれた理由はわかりました。要件はなんですか?端的に言ってくれたら」
「パインズさん!ランクアップをお願いします!」
「ごめんなさい。イヤです」コケるマスター
「パインズ、ランクアップはした方がいいぞ。有名になるし、報酬も上がるし」
「興味ないです。それにランクが上がったら断れない指名依頼とかあるんでしょ?」
「ありますけどそういう依頼は自分が報酬を提示するんですよ」
「そうだぞ、パインズ…稼ぎまくりだぞ!」
「やぱ興味ないです。そっとしてくれた方が僕は嬉しいのですけど」
「なるほど金銭的なメリットでは動かないと言う事ですね。では、ギルド役員よりも優遇される伝説のアダマンタイトプレートではどうでしょう。地上の討伐依頼におもむいている時に戦場に居合わせたとしましょう。両軍の将軍を呼び出して戦争自体をやめさせる事も出来るようになりますよ」
「う~ん…それは国境をまたいでやりたい事が出来た時に魅力的ではありますが…ガンツさんも知らないような事をなぜ今、提示したのですか?」
「そうだぞマスター!俺はAランクパーティを率いて何年も王都に貢献して来たのに…」
「ガンツの気持ちもわかります。ですがそれでは足りないのです。今、ここで話した事が私のパインズさんに対する誠意と思っていただければ…」
「話はわかりました。ブロイさんの気持ちだけありがたくいただきます。その誠意には僕も応えましょう。これをお渡ししておきます」
「これはペンダントですか?」
「僕を思い浮かべて頭の中で話してください」
※私は今年60になります
※了解
「ギルド長60にもなるんですね!だいぶ若く見えます!やぱ受付の若くて可愛い女性に囲まれてると違いますねぇ!」
ん?なんでステファニーが赤くなる?客観的な例えなのだけど…今後気をつけよ
「なんだよ!今そんなやり取りを声を出さずにしたのかよ」
「そうそう」
「なぜこれを私に?」
「僕はランクもプレートも欲しくありません。自由でいたいのです。特権をもらえばしがらみが出来ます。ごめんなさい」
「だけど誠意は受け取りました。マスターが窮地に立たされた時はその魔道具で連絡をもらったら極力駆けつけましょう」
「それで今日は勘弁してもらえませんか?」
「わかりました。そこまで仰るなら私もこれ以上はいいません。今日はありがとうごさいました」
「ガンツさんも付き合わせてすみませんでした」
「ステファニーさんも今後ともよろしくお願いします」
「あと私はガンツと少し話がありますのでここで失礼します」
「あ!そうだ!ガンツさん!武器を持ったモンスターが出てくるのは何層からでしたっけ?」
「低層に出てくるゴブリンもたまに武器を使うが多くなるのは5層のホブゴブリンからだな」
「パインズ様!お見送りします」
「ありがとう!ここから直行するから必要ないですよ。あとトリフの弓とプリシアの杖は預かるよ。今日はオーガ相手に短剣で戦う。では皆様お疲れ様でした。行ってまいります!ゲート」
立ち去った後のギルド長室
「ランクもプレートも要らないか…」
「らしいと言えばらしいんじゃねぇか?俺のパーティメンバーがパインズに狩りすぎだって文句を言ったら俺達を置いて行ったのは話したよな」
「気難しいのかな」
「私は断然パインズ様を支持します!助けられて文句を言うなんて許せませんし、ついででもそんな人の手助けはしたくありません!」
「自由か!確かに特権を貰えば断れない依頼も出てくるか…徹底してるな」
「俺も良いと思うぜ!」
※マスター!ブロイマスター!
話しかけてるガンツに手を出して止める
※パインズさんどうしました?
※いま5層にいますけどデカいのが居ますね。イレギュラーでしょうか…角があって…ミノタウロスですね
※5層にミノタウロスですか?
※どりあえず今はパトロールして討伐して危険は排除しますけどこの階層にミノタウロスは新米冒険者には重いんじゃないですかね。調査隊なり低ランク冒険者の入場制限なりよろしくです
※発見が早くて助かりました。パインズさんにギルドから討伐依頼を出しますのでこちらこそよろしくお願いします
「ガンツこれから動けるか!」
「どうした?」
「今ペンダントから念話が入って5層にミノタウロスが出たらしい。門番に新人冒険者の入場制限をかけて潜って調査して欲しい」
「わかったすぐ出発する!」
「ステファニーは受付で注意喚起を頼む!」
「通信用魔道具か…また助けられたな…」
ニューリゾートパインズの家
「ティファだだいまー!」
「おかえりなさい!」
「ささ!トリフもプリシアも入れ入れ!」
「冷えたビールある?」
「冷やしといたよ♪」
「さすがティファニーさん♪気が利きますなぁ♪ティファもおいで!」
「初のダンジョン探索お疲れ様でした!カンパーイ!」
一同「ぷはーっ♪」「そうだギルドマスターだ」
※マスター!聞こえますか?
※どうぞ
※今はおひとりですか?
※そうです
「調査にはガンツさんか?誰か?行きましたか?」
「入口の制限と調査をガンツに頼みました」
「なら良かった。あの後10層までは見に行きましたが5層のミノタウロス以外は違和感のあるモンスターは居なかったですね」
「ところでパインズさんこの魔道具は声を出しても使えるんですね」
「そうです!そうです!ただ気をつけないとひとりで一生懸命独り言いってるように見えるので声の大きさとか周りの環境とか色々気をつけてくださいね」
「足の速い冒険者がミノタウロスから追いかけられて5層で巻いたとかイレギュラーと言うより事故でしようね」
「こちらもガンツの報告を待ちたいと思います。色々とありがとうございました」
「いえいえ。ではまたー」
「何か?あったの?ダンジョンで」
「ゴクッ!ゴクッ!あー美味い!そうなんだよ」
ティファにギルドであった事やダンジョンであった事を報告した
「そんな話聞いてもつまらくないか?」
「ん?楽しいよ!伝説のアダマンタイトプレートなんてかっこいいのにね」
「トリフ!やぱ肌が触れ合えないから風呂は人と一緒に入れないんか?うちの風呂は最高だぞー!」
「興味がある!俺達は水浴びが習慣だからお湯に浸かるってのがそもそもわからない」
「んじゃ入ろ!入ろ!お酒とツマミも用意して、それから…」
「あ!あ!神殿の近くに誰かいらっしゃいますか?僕はパインズです。どなたかいましたらギターでもピアノでもフルートでもひける楽器を引いてくれたら嬉しいです!」
「トリフこれ持って!いこいこ!」
パインズ家お風呂
「あそこに流れてるお湯をくんで身体をすすいでから入るんだよ。やってみ」
「あー♪気持ちいい」
「今日の演奏はミラノです。ピアノ弾きます」
壁に付けてあるスピーカーから音がなる
今日もいい音色だなぁー
「風呂気持ちいいだろ?景色も自慢なんだよ」
「凄いね♪疲れが取れるー!湖、星空、ピアノの音…天国だねぇパインズ♪」
「ここで飲む酒がまた格別なんだよ!」
「お邪魔しまーす!」
ん?ティファさん?プリシアさん?
「来たの?エルフ族の女性は男と湯に入って大丈夫なの?」
「はい!問題ありません!私もティファさんと飲みます。景色も音楽も最高ですね!」
プリシアの身体はティファに負けず劣らずとても美しかった。あとからトリフに聞いた事だがエルフ族の森の生活は川で水浴びするのが当たり前なので性別問わず人前で肌を出す事になんの抵抗もないらしい。その後風呂の話を街に帰って一生懸命したらしく沢山の住人が入りに来るようになった。
文化って色々あるよなぁ
第三巻に続く