表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  una  作者: 愛沢 みい
4/8

a dining table on which a feast has been prepared

第三話をご覧いただきありがとうございます。


要は真面目で責任感の強い兄であり、楓は明るく好奇心旺盛な妹だった。二人は小さな町で祖母と共に暮らし、花畑と自然に囲まれた平和な日々を過ごしていた。


ある日、彼らの平穏な日常は予期せぬ事件によって揺るがれることになる。楓が赤い花畑の近くの立ち入り禁止区域に足を踏み入れてしまい、事故に巻き込まれてしまったのだった。


引き続き物語をお楽しみください



食卓に並べられた料理は、出来立てで美味しそうな様子だった。


楓が大きくあくびをしながら椅子に座り背中を伸ばす。

「お腹空いたー。早く食べたいー!!今日の料理は一段と美味しそうだね!おばあちゃんっ」



待ちきれない様子の楓を眺め、祖母が優しく微笑む。


「あらあら・・楓ちゃんが手伝ってくれたおかげよ」


祖母と楓は笑いながら料理を食べるのを今か今かと待っていた。


しばらくすると要が遅れて椅子に腰を下ろした。

いつもと変わらない日常に安心を感じ、優しい笑みを浮かべて目の前の食事に視線を落とす



「今日はなんだか豪華だね」


そういうとフォークを手に取り食事を口に運んだ。



「お兄ちゃんが来るまで食べるの待ってたんだからね!それに今日は私も料理手伝ったんだよ」

楓は満足げに腕を組み 褒めてと言わんばかりのいたずらな笑みを浮かべた。



「なら明日はみんな仲良くトイレとお友達かもね」冗談交じりに要がそう言うと

楓は料理を口に頬張りながら眉をひそめた。

拗ねたように横を向き、ご機嫌斜めの様子。


祖母が楓をなだめ、いつもどうり笑いの溢れる明るい食卓を3人は楽しんだ。



その頃、外は風が冷たく吹き荒れ、重い空気感が漂っていた。

しかし、家の中はその空気感を感じることなく温かな雰囲気と

豪華な料理の美味しそうな匂いだけが広がっていた。


---------------------ーーーーーーー


翌朝、要は街の騒がしさに目を覚ました。

寝不足に重い腰を上げ、起き上がり時間を確認した


「もうこんな時間か・・外が騒がしいな」



普段なら「いつまで寝てるの」と起こされてもおかしくない時間

要は隣の部屋に眠る楓に声を掛けた。


しかし返事はなかった。

首を傾げ、なんだ?と拍子抜けた様子の要



すると買い物を終えた祖母が帰宅した。



荷物を部屋に運び入れる祖母を手伝い、楓が見当たらないことを話す

「おばあちゃん、楓いないんだけど知らない?」



しかし祖母も朝から見かけていないと言った

それを聞いた要は不意に昨日見たテレビの映像が頭をよぎった



悪い予感は体中に流れ出した。

その瞬間、不安が頭を埋め尽くし要は急いで家を飛び出した。



家を出ると、多くの人々が見えた。

すれ違う人々の表情は不安におびえた様子だった。


要はより焦りを感じ楓が向かいそうなところを手当たり次第に走り回った。

地中、近所の人に尋ねるも、誰も彼女の姿を見ていなかった。



町の近くでは見回り用unaのハーモニア(harmonia)が壊され部品が散乱していた。



余計な不安で手が汗ばむ。

息が切れ、苦しささえも忘れ無我夢中で楓を探した。



いつもなら、’どこかにいるだろう’そう思い家に居ただろう。

だがその時だけは、何故だか猛烈に探さなくてはならない気がしていた。


焦りが不安をより大きくしたとき、要は楓の大好きな赤い花畑が広がるメルクリスの丘を思い出した。



丘に向かい走り出した途中大きな音が響き渡った。

その音は、丘に隣接した立ち入り禁止区域、エリア12-13(特殊機関エクアリアの工場)付近から発していた。



悪い予感が更に襲い掛かり、要は無我夢中で走り続けた。

景色は変わり辺り一面が赤く美しい花束に囲まれると、要は大きな声で名前を叫んだ。




すると花畑の中で薄い金髪が風に舞い、白く透き通った肌に綺麗な青い瞳の彼女が

不思議そうな顔でこちらを見ている。


その姿を見つけると要は大きく肩を撫でおろし、深いため息とともに安堵した。


「どうしたのー?要っ!シスコンですかー?こんなに息切らしちゃって」



楓は風に揺れる花々を摘んで呑気に過ごしていた、

へたり込む要を見ながら大きな口を開けて笑っている。



疲れた表情で要が空に顔をあげた次の瞬間

目の前の景色は一変

大きな音と共に辺りは灰色の煙に包まれ、赤い花びらと血しぶきが見上げる空に舞い上がった。


その間、時間は止まってしまったかのようにゆっくり流れた

綺麗な金色の髪の毛がゆらゆらと赤い花畑の中に消えていく


「楓!!!」


震える手で楓に駆け寄り、肩を抱き寄せ名前を呼び安否を確認した。

怪我はないか尋ねた要に楓は優しく頷いた

そして頭から血を流した楓の足から機械の部品のようなものが突き出ているのがみえた


その光景に言葉を失い、無数の感情が心を揺さぶった。

楓が事故に巻き込まれた瞬間の恐怖と、無力感が要を襲い、

目の前の光景が信じられない現実として深く刻み込まれた。


心は焦りと心配で満ち溢れ、頭の中で悲鳴が響き渡っていたが楓の安否を最優先に考え、

彼女を助ける為に行動しなければならなかった。。



工場へ向かっていた廃品回収車の積荷から昇っていく灰色の煙

要は理解が追いついていない様子でただ茫然とした


そして空まで紅く燃え広がる花畑の美しい景色を背にし、楓を抱きかかえ歩きだした



彼らの生活に小さな警告が近づき、大きな渦に巻き込まれていく二人、兄妹の絆はさらに強くなりました。

要は楓の無邪気な好奇心に導かれながらも、彼女を守るために決断を迫られました。楓は要の優しさと支えによって、自分の強みと信念を見つけていくのです。


この物語は、主人公要と妹の暗い過去と向き合う様子、世界の混乱に立ち向かいunaと共存する人々の苦悩を描きながら、成長していく物語です。

彼らの心の葛藤と成長を通して、読者の皆様の心に共感を届けることを願っています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ