The sound of the bell at 3 o'clock
読者の皆様へ、
第一話では、unaとの共存世界での主人公たちの平和に暮らす様子や暗い現実部分を描いていきました
読者の皆様に印象に深くに刻まれる物語をお届けしたいと願っています。
第一話では町の様子や特殊機関栄エクアリア、過激派組織ディヴァイドなどの新たな要素が登場し皆様が物語の中へ入り情景をイメージしやすいよう意識しながら書いてみました。
この物語の展開に引き込まれ、主人公たちの心の変化や運命に胸を熱くすることを願っております。物語の幕が上がると同時に、読者の皆様とともにこの世界の闇と光に向き合っていけることを楽しみにしています。
愛沢みい
暗い運命の糸が紡がれる街
それは人間と人造人間unaが共存する世界
夕月 要と双子の妹、楓は、愛情深い祖母によって大切に育てられてきた
しかし、彼らの知らない過去には衝撃的な真実が隠されていた
彼ら自身がunaであるということを
両親の死をunaの手によるものだと信じて育った二人は、不安と疑念に揺れ動きながらも
平穏な日々を送っていた
そんなある日、妹楓は心に闇が忍び寄るのを感じ始めていた。
彼女の不安は兄要によって一度は鎮められるが、運命の歯車はすでに回り始めていたのだ
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紅蓮の花畑が風に揺れ、その美しさは季節を問わず、いつも町にやさしい色を与えていた。
主人公 夕月 要と双子の妹 楓は、愛情深い祖母と共にこの田舎町エスカリアで穏やかに過ごしていた。
朝日が顔を出すと、祖母の手作りの朝食の香りが家中に広がり夕月家はいつも笑い声と温かな会話に包まれていた、それは町に佇む赤い花々のように豊かな色彩で満ち溢れていた。
町全体は自然に囲まれ、美しい丘と青々とした草原が眼前に広がっている。
未来的な建物が点在する中でも、エスカリアはその自然美を重視し、緑豊かな景観が人々を癒してくれていた。
未来の技術と自然が調和する美しい光景が広がり、人々は平和に包まれていた。
エスカリアに住む人々は未来の進化にも対応しつつ、古くからの伝統や価値観を何よりも大切に思い
住民たちはunaと共に生きることを重んじ、助け合いながら街を発展させていた。
町の中心には、美しい広場が広がり、市民たちが交流し合う場として常に人が賑わいを見せる。
未来的な技術が施されたものが立ち並び、歴史溢れる彫刻が飾られ、エスカリアの独自の文化や芸術が醸し出されてた。
町では子供たちが元気に遊びまわり、大人たちが笑顔で挨拶を交わし、地域の絆が強く繋がる活気を見せている。
夕月家も、町の中心的存在として溶け込み、多くの人々から愛されていた。
穏やかな時間が流れるこの町で過ごす時間は宝であり、祖母の優しい表情と温かな手料理は兄妹の心を満たし
時折、要は楓と共に紅蓮の花畑を訪れ、そこで過ごす時はより特別な幸せを感じさせてくれていた。
田舎の暖かい陽射しの下で、要と楓は町に広がる自然と共に成長した。
彼らの幸せな日々は、美しい風景と共に静かに時が流れていく。
そして、この小さな町が穏やかな温かさで包まれ、いつまでもそれが続いていくと誰もが思っていた。
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(メルクリスの丘(Melancholy))
「楓、今日は何をしようか? 黒の塔に近づいてみる?」
「要~またおばあちゃんに怒られるよ??私たちは町から出たらいけないって言われてるでしょ!!!」
ほんのりといたずらな笑顔を浮かべながら、二人は日常を楽しんでいた。
彼らの世界では、特殊機関 エクアリア(Ekuaria)によって作られた人造人間unaが人間と共存しており、その多くは人型汎用お世話ロボットとして世界中に広まっていた。
一方で、unaを毛嫌いする過激派組織 ディヴァイド(DIVIDE)も存在し、その存在によって世界は揺れ動いてた。
それは楓と要の暮らす町も例外ではなかった。
メルクリスの丘に隣接する工場では秘密の人体実験が行われていたとの噂が広がっており、その影響が周辺地域にも及んでいたのだ。
平和に流れる時の裏で闇の影は静かに忍び寄り、
二人が気が付かないほどの小さな溝が訪れようとしていた。
「ねえ要、私たちがさ、実はunaだったらどうする??unaって見た目はまるで人間なんでしょう?
」
暖かな風の吹く緩やかな時間の流れる丘
楓はいつになく真剣な表情で要に質問した。
急な質問に要は少し驚いたが、またいつものおふざけだろうと呆れた表情で相手にしてない様子だった。
「はいはい、僕は楓のお世話型人造人間unaかもな・・・楓様のお世話で今日も大変だ~~」
要が冗談ぽく返すと楓は「もう~」とだけ言って笑っていた
だがその表情はどこか暗く不安を抱えているように映った
「unaは感情を持たない・・それに僕たちはプログラムされなくても自分で考えて動くことができるだろ?僕たちは人間だよ」
何か思い悩む様子の楓に、要がそういうと楓は小さく微笑み頷いた。
すると町全体に重圧な鐘の音が鳴り響いた
その音色は一瞬にして町の雰囲気を一変させ、人々の心に戦慄が広がった。
「あれ、もう3時か・・」
「それより私この鐘の音嫌い!なんか怖いんだもん」
住人たちは目を閉じ鐘の音に耳を澄ませていた。
特殊機関エクアリアの指令により毎月第一土曜日の3時になると不具合や劣化したunaの安全性を保つための処置として廃棄処分されるその鐘の音に。
「そうだね……でも、何だか寂しいよね。彼らが消えてしまうって思うと……」
鐘の音がより一段と重くなると、住民たちはunaたちが人間と共存することを願いつつも、彼らが自己を消し去ることを示すこの鐘の音に暗い影を落としていた。
「あの子たちが幸せに暮らせる世界、どうか実現することを……」
住民たちは心の中で願いを込めながら、その重い鐘の音に耳を傾けてた。彼らの思いは静かながらも強く、unaたちとの共存を願う思いは、この鐘の音の中に響いていた
そして二人はその場にたたず佇み、太陽が沈み日が暮れるまで他愛もない会話をした
この物語は、unaと人間が共存する世界を舞台に、主人公要と双子の妹楓が織り成すダークな物語です。要と楓は幼い頃から祖母に育てられ、幸せな日々を過ごしていました
物語の序盤では、要と楓のほのぼのとした日常が描かれますが、
廃棄処分の鐘の音や平和の裏に見え隠れする不穏な空気がこれからの展開にどう作用するか皆様にもご期待いただけたらなと思います
そして主人公の妹楓は優しい心を持ちながらも実は暗い過去を持ち合わせております
自分の過去と向き合い、何も知らない兄を支えようとします。その姿勢が読者皆様の心を温かくさてくれることでしょう
物語はさらなる展開と共に進み、unaと人間の共存のあり方、創設者の過去、そして過酷な選択が主人公たちを待ち受けます。一体、彼らはどのような結末を迎えるのか、是非お楽しみください。
次回もお楽しみにしていただけると嬉しいです。ありがとうございました。
- 愛沢 みい