紅き炎が開花の時――Memory3.『調子に乗るなよ』:Vision5
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Vision5↓
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少年はいつの間にか半分起き上がっていた。
上半身を起こして座っているアグゥはどうやら多少に動けるらしい。意識もしっかりしており、さきほどまで呻いていたものの会話は聞こえていたようだ。
ただ立ち上がったりはできないようで、座ったまま時折身体を痙攣させている。その腹部からは出血があり、金属の細い棒が突き刺さっているのが解る。
「・・・・・えっ。」
セラは呆然とした。そして絶望した。
自分と学者の会話を聞いていたらしき少年の発言……それを受けて、彼女の思考回路は再び停滞した。
だが、今度は復旧が早い。起き上がった少年の腹部から出血が確認できたので、それに驚いて彼の名を呼んだ。
「アグゥ!! 大変よ、お腹から血がっ……!!」
「あ゛あ゛?? いや、別にこんなんど~でもないだろ。そんな深くねぇよ、たぶん。奥まで刺さってねぇ。痛ぇけど……いや、だからそんなことよりお前らなんなんだよ。なんで知り合いなんだ??」
「だ、大丈夫ってでも血が出ていて、それで私とアイツは……え゛っ。いや、違うから!! 知り合いじゃない、あんなの知らない!! 本当よ、アグゥ!! あいつなんて見たこともない!!!」
「そうなんか? いや、でもアイツさっき“よく憶えてる”って……学者ってやつはロクでもないけど、基本的に頭いいんだろ?」
「良くない、頭悪い!! 学者なんてウソしか言わないから、だから信じないで!! あんな最低の馬鹿で最低な酷い卑怯者なんて無視して!! ここから逃げましょう!!!」
「いや、逃げるってもあの武器のせいで痺れててよ。腕を上げることすらできねぇくらい動けないし……っつか、おまえ口悪いな、いつもにも増して。さすがに俺もそこまで言ってやるのはどうかと思うぞ?」
「――――っ、そこまで言ってやるほど最低な人間なのよ!!! いいからあなたは自分の身体を心配していなさいッ!!!」
「う・・・・・は、はぁ。んだよ、俺に当たるなよ。よく解らんけど……」
アグゥはただ事情を知りたいだけだった。だから自然な質問のつもりだったのだが、どうにもセラのことを激高させてしまったらしい。
自分を心配したようなことを言ったり、鼻息を荒くして威圧してきたりと……アグゥは「不条理なヤツだ」と心の中で文句を続けた。
そうした少年と少女のやりとり。それを見ていた学者のロビアンが様子を見て介入する。
「そこの少年。君さ、どうしてこの電撃銃を受けて動けるのかな? そうして会話ができているのも不思議なんだけど……まぁ、いいか。当たり所かもね、この武器に関してはまだ新しいものだし、これも良い検体になったよ」
驚いた表情だったが、次第に笑顔を取り戻しながらロビアンが口を開いた。
セラの背中越しに、アグゥが不機嫌そうな態度で言う。
「あのな、よく知らんが……どうやらおまえのせいでセラに怒られたぞ。一体、おまえコイツに何したんだよ。こんな怒らせるなんて……いや、ってかソレなに? さっきっから気になってんだけどさ……おまえ、ソレやばい趣味なんじゃないの??」
腕が動かせないので顎をクイクイとさせて指し示すアグゥ。
少年が示した先にはベッドのようなものがある。それは金属製で布地などない。必要ないからだ、何故ならそれは眠るためのものではない。
ベッドのようなそれは“手術台”だ。そしてその用途が治療であることは稀である。
手術台の上にあるのは屍。アグゥが指し示したのは正にソレのことであり、一見して人間が横たわっているように思える。
だが、よく見ると……それは“人間のようなモノ”。
全身に毛が生えているのだが、それは通常人間に生える量ではない。
皮膚がほとんど見えないほどに生え繁っている黒い体毛。またその屍の手足にある爪は長く、とても靴を履いたり手袋を着けられるようなものではない。
口元は骨格から異なっており、突き出したようになっていて半開きの口内には鋭い牙が並んでいるようだ。
ソレをどのように言い表せばよいのか。少年アグゥはとりあえずその脳裏に“狼のような人間”とでも思い浮かべた。
ロビアンは手術台の上をチラリと見ると、半笑いに「ハハッ」と息を漏らしてから少年に視線を送る。遮るものがないので、自然と少年に目線を合わせることができた。
そして少年の問いに答え始める。
「これはね、少年。“混成人間”というものだよ。神の授けし叡智……その神託から導き出された新たなる人間の形。いずれはコレが完成となり、きっと我々人はより強い存在となる。コレが当たり前となれば、一般的な市民ですら帝域の兵士を容易く切り裂くことができるだろう。つまりは神意の達成、人類が等しく、正しく神に祈りを捧げる本当の社会成立に至るのだよ」
「……ほぅ?」
「もちろん、コレの完成とは動物との混成ではない。解るかい? 人の文明は、我々人は何によって導かれた? ……そう、竜だ!! 解るだろう、つまり竜と人の混成が成された時、人は真に神の子となる。ブローデンなどと、それだけが特異である必要はないはずなんだ、そうだろう? 偉大なる翼なき竜は我々を導くが、人がそれに揃うことで彼の意志もまた成される一助となるはず! 竜は多いほど良いはずだ、そうだろう!?」
「…………あっそう。んで、結局ソレは何??」
「いやぁ、だからぁ!! コレは人と狼を混ぜたものなんだ。もう解るだろう、つまりは竜と人が合わさるための試験品だよ! コイツは失敗だったけどね、限りなく成功に近いこともあるんだよ。
ただ、どうにもこの技術は難しい……。どのように考えても神託に沿っていて、かつ有用なはずなんだがね。色々と問題が生じるんだ。そりゃそうなんだよ、生命というものは肉体の器がある。これをそのままにして混成することはできない、難しい! されど完全に変異を定着させてしまうとどうにも意識がね……かといって変異を“薬剤”でスイッチさせると身体的負担が……くぅぅっ!!
解るかい、この苦悩!? 私はもう、何十年と!! 父の代から、もうっ、何億年とも思える苦悩の時間をコレに捧げているのだよ!!! ――――ッ、おぉえぇぇ!!?」
「………………まぁ、ようはソレって狼人間ってことでいいのね? その死体ってことでいいんだよね? とりあえずそれだけ知りたかったんだけどさ……まぁ、いいか」
嗚咽するほどに説明を行ったロビアン。その熱意に若干精神的後退を覚えながらも、アグゥはとりあえず手術台の上にあるモノが何か解って良かったと思った。いや、あまりしっかりとは解ってはいないのだが……。
「それはそうと……おっ! 少しずつ動けそうな感じになってきたな。立ち上がれるかも、どれどれ……」
アグゥは自分の感覚から「動けそうだ」と思い、立ち上がろうとしている。
その光景を見たロビアンは「えっ?」と戸惑いながらも電撃銃の銃口をアグゥに向けた。
「う、動ける? そんなハズはないが……一応、もう一発撃ち込んでおこう。君は少年だが、ここまで来たからには何かあるのだろう? きっと、戦えるのだろう? ならば無力化だ!」
「うぇっ!? や、やめろよ。せっかく動けそうになってきたのに……ソレ、すっげぇ痛いから嫌だ。撃つな!!」
「いや、撃つよ! 君はそこで痺れていてもらう。その間に22番だって痺れてもらって、彼女を使って私は…………私、は。ん?? いや、彼女は???」
モゾモゾとどうにか身体を躱して電撃弾から逃れようとしている少年。
まともに動けないその少年はともかくとして……そういえば先ほどまで少年と学者の間を遮るように立っていた少女がいつの間にかいない。一体、いつから姿を消したのだろうか。
ロビアンはキョロキョロと周囲を見渡した。見渡して「あっ」と気がついた。
――――少女セラの姿がある。彼女は丁度、棚から一本の瓶を取り出して、それを注射器にセットし終えたところらしい。
注射針を自身の首元に当てる少女セラ。そのような光景を見たロビアンは数秒硬直した後に、ひどく狼狽した様子で声を張り上げた。
「や、やめなさい22番!! 君は失敗作なんだ、あの時そう記録されている!! だからそれを打ったところで君はアレのように死――――」
懸命なロビアンの訴えだが、しかしそれは無駄となった。
少女セラは注射針を自身の首に刺し、そして容器の薬剤を注入し始めた。
注入しながら、少女は言う。
「そうよ、あんたは知らないものね。あの後も私は実験を続けられていたの。おまえらみたいなのに遊ばれながら、実験をされて……どうせ失敗作だから死んでもいいだろうってね。そうしたら……ウフフ、ちょっとだけ、成功しちゃったんだ」
微笑む少女は空になった注射器を投げ捨てた。
「自分で打たされていたから……勝手は解るわ。それも遊びでしかなかったんでしょうけど、こうして役に立ったからまぁ、なな、何事もっ! 経験、なのかしら……ね?」
少女は着ている薄緑のフードを脱ぎ捨てた。下着までとも思ったが、その時間はない。
「ただ……言っていた。“保障はない”……成功、しても……私、はやっぱり……不完、全……だ、から……結局、飼われ……たの……ね…………」
少女の眼が見開かれる。語りながら、少女の身体は激しく痙攣を始める。
「ああ、ああああああ……あああああああ!!!!!!」
唸り声を上げる少女。その全身に白い体毛が生え、肌をすべて隠していく。
全身の筋肉は隆起し、口元は変形して若干に盛り上がった形となる。
口内には鋭い牙が並んでおり、その手足には爪が長く伸びた。背丈も変わり、骨を軋ませながら2mほどの体高となっていく。
1分とかからない時間だった。それだけの時間でそこに少女の姿は消え去り、あるのは全身を白い体毛に覆われた“二足歩行の狼”の姿。
白色の狼人間と化したセラが口元から「フゥゥゥウ」と蒸気のような息を吐き出す。
「 ウォォォォオオオオオンンン!!!!! 」
研究所を揺るがすほどの遠吠えを響かせる白色の狼人間。照明の灯りで銀に輝く体毛が揺らぎ、その鋭い獣の眼光は眼下に見える1体の獲物を見定めた。
狙いを定められた学者は口をパクパクと開いたり閉じたりさせる。
「そ、そんな……無茶な、馬鹿な! 君は失敗作のはず……それが、まさか……一体、サルヴァン君? 君はどれほどの実験を彼女に……」
乾く口内からどうにか言葉を発する学者。カチカチと打ち鳴らされる歯と歯。
狼人間が軽く棚に手を着くと、鉄製の棚は紙製かのようにクシャリと潰れた。
狼人間が一歩を踏み出すと、大型の金属でできた機材が軽く横に逸れた。
混成人間……それは単に人間と動物を混ぜたものではない。霊力から生成された薬剤は細胞単位での変異に解読しきれない反応を加え、奇跡としか言いようがない身体能力や五感、あるいは超能力を生命に与える。
それらは変化としての再現性があるので、奇跡というよりは技術なのかもしれない。しかし人の力ではほとんど解明できないのでやっぱり神秘的なものだと言ってよいだろう。
狼人間はゆっくりと学者に近づき、屈んで手を伸ばせばいつでも触れる距離にまで迫っていた。
学者のロビアンは手にしている電撃銃を振り上げ、異形の胸部へと銃口を向ける。
「う、うおああああああ!!!」
叫び声と共に放たれる電撃弾。太い針のような形状のそれが狼人間の胸に命中した。
ほんの僅かに、狼人間が痙攣する。だが、それだけだった。
分厚い皮膚と筋肉に阻まれて、針は浅く刺さったのみ。それでも本来、電撃による衝撃は浸透して十分に作動するはずなのだが、まるで狼人間は痺れていない。
狼人間は爪先で弾くようにして刺さった針を身体から飛ばした。
その様子を見た学者のロビアンは言う。
「おお、すごい! シルディアン式2型は変異した混成体には効果がないのか……これは新しい知見を得たぞ。また一歩、私は進歩したん…………だ。」
新しい学習への喜びを少しだけ感じていたロビアン。しかしそれはすぐに絶望へと変わる。
眼前では屈んだ姿勢で太い右腕を振りかぶり、自分を睨みつけている巨獣の姿がある。
それを見たロビアンは掠れるような声で祈った。
「そんなぁ、ひどいじゃないか。どうか助けてくださいよ主様……。だって僕はただ、崇高な目的のために邁進して、ちょっと楽しんだだけなのです。それにほら、22番? 君だって思えば気もっチ――――――」
学者が弁解する最中。獣の剛腕が薙ぎ払うように振るわれた。
鋭い5本の爪が人体を裂き、破裂させるようにして通り過ぎる。
学者の身体。何か話していた口の下顎から胸部の辺りまで。だいたいそれらの部分が弾け、血しぶきとなって地下室に飛び散る。頭部の残った部分が「ゴトリ」と硬い床に落下した。
振りぬいた腕をそのままに、しばらく狼人間は硬直していた。目の前で破裂した人体を……復讐したいと考えていた人間の有様を見て、動けずにいる。
その獣の瞳から流れた涙は達成感によるものだろうか。それとも別の理由があるのであろうか。
やがて狼人間はゆらりと姿勢を起こした。立ち上がった姿勢で自分の爪を眺めた後、「あっ」としたように口を開いて左側へと視線を移す。
そこには……少年の姿と視線。あまりにも目つきが悪い少年が座った姿勢で在る。
狼人間は視線を逸らした。それは少年の目つきが悪かった……からではない。
目つきが悪いのはいつもなのだが、その意図が読み取れない、読み取るのが怖かった。
今、彼は何を考えているのだろうか。そのことを思うと狼人間の意識は混濁したように歪んでいく。
思いつくことは「怖がっている」「怒っている」「気味悪がっている」……そういった、悪い印象の予想ばかりだ。
それもそうだ。自分がこのような存在であることを話してもいなかったし、このような存在であることを見られたら恐れもあるだろうし、このような存在など不気味に思われて当然だ――と。
狼人間は震えている。震えて、その瞳からは先ほどとは異なる涙がポロポロと零れていく。
狼人間は思う。
(やるしか……なかった。こうでもしないと、私たちはあの武器にやられていたし……サナッチさんはきっとやられていないと思うけど、でも、すぐに来れるかなんて解んないし……そもそも戦っているのか知らないけど。
でも、さっきすごい音したし……それっぽいことアイツが言ってたし……でも、だけど、こんな姿……それに、私……戻れるのかな……大丈夫かな……ダメだったらどうしよう。
何%かって言ってた、失敗を引いてたらどうしよう。そうしたら私……私はもう、アグゥ達と……アグゥと…………)
肩を震わせている狼人間。両腕で身体を抱えようとしたが、自分の手が異形と化していることを再確認して、さらに恐怖の感情が沸いてきた。
背を向けて肩を震わせる狼人間。「ふっ、ふっ」と息が零れる音もある。
そうした様子を見ている少年、アグゥ。
かなり動けるようになってきた少年はどうにか立ち上がる。すると、腕を組んで狼人間の背中を睨みつけた。
睨みつけた大きな毛むくじゃらの背中に向けて言う。
「おい…………泣いてんのか、笑ってんのか? おまえ、ソイツとやっぱり何かあったんだな。そんで、これは復讐というか、まぁ仕返しなんだな??」
「…………あ、ぅ。」
何か問われているが、狼人間は答えられない。振り返ることもできない。
続けてアグゥが広い背中に向けて言う。
「表情が見えねぇから知らんけどよ……1つだけ、おまえに言っておく。いいか、セラ――」
「……あ、あぉう……おぉう……!」
実は答えられないというのは物理的になのである。いや精神的にもなのだが、ともかくこの状態となったセラは言葉を発せられる声帯ではないのである。
だから何か彼に言い訳をしたかったのだが、それを伝えることもできない。そのことを知っているからこそ、彼の次の言葉を聞くのが怖かった。
きっと、どのような形であれ……“嫌われた”という類の言葉を受けるのだろうと、狼少女の心は耳を塞ぎたい気持ちになった。これも物理的に塞げる手の形、耳の形ではないのだが……。
そんな状態の狼少女に向けて。
アグゥは厳しい口調で言った。
「セラ、おまえ――――“調子に乗るなよ”!!」
「ひあぉう!! ・・・・・ウゥ??」
かけられた言葉。それが予想していたものとあまりにも違ったので、狼少女のセラは困惑した。
困惑して、思わず振り返る。
そこには腕組みをして自分を睨み上げている少年の姿。
そしてその表情は……別にいつも通りの、あまりにも悪い目つきである。
「あのな、おまえがそういう“隠し技”みたいなのしなくたってよ。俺がこの腕を動かせれば、それで炎出して“ドカン”ってな、できたんだよ。ほら、もう動くだろうが! なにをおまえ勝手に焦って……格好つけたつもりか、貸しを作ったつもりか!?
ナメんじゃねぇよ、俺はおまえがそんなんやらなくたって、別に危機でもなかったんだぜ。ったく、でしゃばりやがってよ……もっかい言うぞ。いいか、調子に乗るなよ?」
「わぉ・・・・・ん??」
「おまえは別にこういう時にそんなんしないで、どっかで大人しく俺たちの帰りを待ってりゃいいんだ。サナッチさんと俺だけで仕事は十分なんだからな? さっきの門のところのだって、別におまえがなんもしなくたって俺たちでどうにかできたんだぜ? だから調子乗んなよ。俺の方がおまえより強いんだからな!!」
「・・・・・。」
少年はそのように怒った。とにかく不機嫌で威嚇するように怒っている。
狼少女は呆然とした。まるでいつも通りに、いつもの自分に対しているかのように話す少年……。
セラは眼下でムキになって怒っている少年のことを見下ろしながら、だんだんと、そのいつも通りに悪い目つきに安心感を覚え始めた。
そして、そうしたところに1人の男が地下室へとやってくる。
「いやはや、なんの遠吠えだろうか? ……お~~、こんな地下あるの!? 結構格式とかあった研究所なんかな……って、なんじゃぁぁぁ!? ば、化け物!?!? いや、それ、これ……混成人間か!! どうしたってここで…………ああ、ここってそうか。教会の研究所だからそういうこともあるか……」
地下室に入ってきたのは鉄の仮面を頭頂部に被っている男。黒いコートの、つまりはサナッチがやってきた。
コートの左袖が破けており、どうにも全体的に埃などで汚れてしまっているようだが、とにかくサナッチは割と元気そうにこの場にやってきた。
そうして驚いているサナッチ。その姿を見て「遅すぎ」と不満そうなアグゥ。
そして自分の姿を見られたことでまた動揺しているセラ。
動揺する狼人間は身体を激しく震わせ始めた。そうして呻き声を轟かせたかと思うと、今度は30秒とかからず、見る見るうちに少女の姿へと変異していく。
サナッチとアグゥが見守る中、その場に元の姿となったセラが姿を現した。
元の姿に戻れたこと、それ自体はセラにとって非常に喜ばしいことだった。
だからセラは安堵して胸を撫でおろした。そして、撫でおろしてみて気がつく。
そういえば脱ぐ暇も無かった下着は変異の最中に破れ、弾け飛んで……。




