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ep2.悪魔パルサパン

連続投稿です。1話3000文字を目標に頑張りたいです!

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



時は夕方。頭痛も収まった俺は夕食に呼び出されていた。




「リュカ!本当に大丈夫なの??」

「はいお母様!」

「全くお前はユーゴと違って面倒なことしか起こさないな。」


(はぁ?なんだコイツ。これが父親??前世を思い出したところでムカつくのやめらんねぇわ)


アマンダは他国からの入嫁で、典型的なお嬢様だ。金髪に真っ赤な瞳、キツい印象がある美貌で、性格ももちろんキツい。対して側室のリーファはガータリオンと恋愛結婚の末結ばれた夫婦で、柔らかい茶髪に水色の瞳を持った、少し色気のあるふわふわとした印象だ。性格はまさに聖女で使用人にしたわれている。

ガータリオンはアマンダのことが気に入らないのかリーファの妊娠期以外閨に入っておらず、子供が生まれるとしてもリーファの子だろう。ガータリオンは暑苦しい名前とは裏腹に涼し気な銀髪をしており、目はリーファとお揃いの水色だ。性格はまさに傲慢不遜。アマンダを嫌うなら自分を見直せよとリュカは自分にブーメランが刺さっているのに気づかず思っていた。


「リュカ、大丈夫かい?」

「ユーゴ…また嫌味言いに来たんだろ?どっか行けよ」

「そんなことはしないよ。僕はただ心配だっただけなんだ。」


(コイツ…うさんくせぇなあ)


____好きかって生きると決めた俺はとくになにも考えずに本心に近い言葉を直接言っていた。そもそも記憶が戻る前の『俺』もこのような性格だった。


ユーゴは茶髪に水色の瞳をしており、リーファの遺伝子を確実に受け継いでいる、柔らかい印象の持ち主だ。性格は優しいが、毎度毎度リュカの癪に障ることを言うのでリュカからは嫌われている。


「リュカくん、何で毎回強く当たるの?」

(はあ?毎回ユーゴが癪に障ること言うからだろうが!!!日頃の行いだァっ!)

ユーゴの母のリーファが、お行儀よく、口の中のものを全て飲み込んでから話し出す。


「うっせぇよ。」


リーファは誰にも優しく誰にも平等だ。リーファの血筋は胡散臭くて叶わない。人間味がないのだ。そのしるしに、よく見るとリーファは本心が行動に出ている。リュカはリーファを睨みつけ、恨み言を吐き捨てる。するとリーファはその言葉とは裏腹にスプーンを持つ拳に力が入っており、ムカついているのが伝わった。

(うわぁ〜腹黒ってやつだ。)



そう、


俺は前世の記憶を思い出し学んだのだ。


ひとーつ!


女はクソしかいない。大抵は自分に価値があると思い込んでいて助けてもらえる側だと感謝もしない。利用し、本心から入れこまないこと!


ふたーつ!


人間はクソしかいない。自分の保身のことしか考えていない!!人になんの考えもなく優しくするのは損しかないっ!てかそんなやついない。




「リュカ、あなたが階段から落ちた時に居たメイド、首にしておいたからね」

「ありがとうございます。お母様!」

(大体アマンダも俺に優しすぎなんだよな。だから嫌われるんだよ)


リュカはアマンダの行いが今の屋敷での孤立に繋がっていると気づいたが、今更反抗しても違和感しかないので何か大きなことがない限りこの行動を続けることにした。そもそもリュカの「好きかって生きる」という言葉にもあっているし、まだ7歳、ユーゴとリュカが貴族社会に出る3年後までは大丈夫だと思ったのだ。

(でも今のうちにユーゴの本心を探らないとな。リーファみたいな腹黒じゃなくてただただ優しいだけなら利用できるし。)


そうしてリュカは記憶が戻ったことにより、自分が最低限損しないように相手を利用し、自分がいかにいい立場になれるか模索するのだった。






- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -


(てか転生特典とかねえーのかな。)


皆が寝静まり、館の灯りが消え始めたころ、リュカはラノベの王道展開である『ステータス』に手を出した。

転生したということは少しはなにか楽しい人生を歩むために切符があってもいいんじゃないかと思ったのだ。

リュカはウキウキしながら定番のあの言葉を頭にうかべる。そして、ありもしない魔力を込めながら……


「ステータスオープン!」







………………………………………………………………………………………………






「ちっ」

(やっぱねーかぁー。)


(なんだろ、なんかやる気なくなってきたなあ…転○ラの大賢者さんとかいてもおかしくないだろ!!!俺も童貞だったっていうのに)


(悪魔召喚とかねーのかー?魂でもなんでもやる(・・・・・・・・・)からよぉ)




ここが運命の分かれ道であった。リュカの魂は歪んでいた。そんなリュカのことを目に着けていたものがいてなにがおかしいのだろうか。


「悪魔よここに来たれ!」




……



「ちっ」


『よんだか?そこの歪な魂を持ったものよ』


「?!うやあやかまあわああらあああ?!」


突如現れたのは黒○事のようなイケメンでも、金装のヴェルメ○ユのヴェ○メイのような美女でもなく、そこら辺にいるようなおっさんだった。


(何だこのおっさん、悪魔って雰囲気じゃないな。幻覚か?)


『ちげーよ。儂は悪魔じゃ!』


(心を読まれている??)


『なんで急に落ち着くんじゃ』


(なんかきもちわるっ)


『ひでぇ!美少女にすることも出来るんじゃぞ!!』


(じゃあしてくれ、目に毒なんだ。)


悪魔と思われる工事現場に居そうなおっさんが飾られた鎧の方に向かい、ごほんごほんとわざとらしく咳をする。いつかいつかと期待しているとおっさんのままこちらに近ずいてきた。


「?」






『…どうじゃ?』


「声だけかよ!!」





- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -





『改めて名乗るとしよう!!儂の名前はパルサパン!太古から生きておる、偉大なる高位悪魔じゃ!ちなみに姿は契約者が親しみやすい姿になるぞ。さてお主は何を代償に何を望む??』


「知っていると思うが俺の名前はリュカ・アルシオン。最近前世の記憶を思い出したことで精神病になった。代償は『まてまてまてまて、前世を思い出したってなんじゃ。先に言わんかい。』


リュカは記憶を思い出してから全てが灰のように面白くなくなった。誰かに暴力を振るっても、兄に皮肉を返しても。多分それは前世の記憶を思い出したことによる障害(デメリット)だ。でもパルサパンと話してから初めて心から面白いと思えた。


『てかお主、儂と契約しないとまた精神病とやらの悪い部分が悪化するぞ?』


「なんだって。。やめてくれ…俺は楽しみたいんだ。楽しめない人生なんて意味が無い。やっぱり神様は俺を恨んでいたのか。だよな、そうだよな、記憶なんてなかったら俺はまだ楽しく生きて居られたよな。リュカが不幸になったのは俺のせいじゃないのか。と言うより俺は本当にリュカなのか?分からなくなってきた。やっぱり俺は地獄に落ちるべきだったんだ。こうして贅沢な部屋で自分として生きながらえているのはなにか生贄を払っているからじゃないのか?こうしている間にも地球では地球温暖化がすすみ、この世界では食べるものに困っている子供がいるかもしれない。だめだ。自分勝手に生きると決めたんだ。昼間ユーゴにきつく当たったのはダメだったかもしれない。もしかしたらユーゴはただただ俺を心配してくれただけかもしれない。リーファも腹黒かもしれないけどそうなったのにはちゃんと理由があって1人で悩んでいるんじゃないか?いや、違うんだよ!俺は好きかって生きるって決め『おい!!!!』

『いつまで悩むんじゃ!既に答えは出てるじゃろうて。自分の好きなようにいきる!そのためにも儂を呼んだんじゃろ?早く何を望むのか言うんじゃ!!』

「俺は、、、常にパルサパンと契約する権利を望む。」

『…………ならば代償はなんじゃ??』

「俺の全てだ。その代わりパルサパンの全てをくれ。」


リュカは緊張していた。たとえ自分自身の魂を取られようとも痛くも痒くもなかった。でも少しはこの命に未練があったのだ。


『うー、ん。たりぬ、たりぬ、面白くない。儂は暇なんじゃ……………………………………………………!!!』

『そうじゃ!お主、儂と共に……いや、お楽しみとしておこう。もちろん契約が終わったあとに代償としてでよい。』

「……?とにかく契約成立でいいか?俺の望みは全能力の2倍だ。」

『?それだけでいいのか?』

「だから、何度も契約を結べる権利と言っとるじゃろがい」

『では、契約を繰り返す度、代償は重くしておくぞ。』

「ああ、それでいい、俺は何も望まないからな」



『ははは!ははははは!』



「???……!まさか、代償は生き地獄なんて言わないよな??」


『いいや!もっと苦しく面白い代償じゃ!』


リュカはこれが悪魔なんだと改めて感じた。リュカにとっては全ての存在を消されたとしても万々歳だと思っていたからだ。しかし、生き地獄、つまり、また新たに人生をやり直し、また後悔することを繰り返すことを想像するとこの契約は絶望の始まりだったのかもしれない。そう気づいたのはもう既に遅かった。



でもとまることなど出来ない。契約をした理由だからだ。矛盾に気づいていたとしてもリュカはもう決めたのだ。



もう後悔はしない。自分勝手に生きると決めたんだ。

花粉症が最近酷くて鼻水が止まりません(´;ω;`)

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