94 盗み聞き エミリーの求め
朝の嫌がらせが続くある日。私は先ほど、衝撃の現場を目撃してしまいました。
私は今、その顛末を見届けるため、追いかけている最中です。
始まりは、移動教室の帰り道まで戻ります。
お姉様とのお昼の時間を楽しみにしていると、エミリー先輩の姿を見つけてしまいました。
嫌な人を見たなぁと思っていると、おかしいなぁ、目が変になったのかなぁと、自分を疑ってしまう光景がありました。
何と、エミリー先輩が、光お姉様を連れて何処かへ向かおうとしているのです。
嫌な予感がした私は、荷物を和美に預け、現在に至っています。
すぐに声をかける事は出来ましたが、それではエミリー先輩の目的が分かりません。
こんな時に限って、光お姉様の傍に彼方先輩は居ません。既に話を通していたのでしょうか? それとも、エミリー先輩が仕組んで、二人きりになる状況を作ったのか。
重い空気を漂わせるエミリー先輩と、何も考えず、呼ばれたから付いて行っているだけの光お姉様との空気の差が凄いです。
追跡の果てに、二人は最上階で足を止めました。
人が居ない事を確認するエミリー先輩。
どうやらこの場所で、自身の目的を果たそうとしているようです。
私は身を隠し、聞き耳を立てました。
「光、単刀直入に聞きます。陽子さんについてどう考えていますか?」
開口一番に私の名前が出て来て驚きました。それと、お姉様の返答が物凄く気になります。
「陽子さん?」
「あの子はあなたを慕っています。慕い過ぎていると言って良いでしょう。その事に関して、あなたは何も思っていないのですか?」
「楽しいと思っているわ」
この一言を聞けただけで涙が溢れてきました。お姉様は最近、より一層反応してくれるようになっていました。ですが、実際はどう思っているのかを聞く勇気は無かったのです。
なので、こうして直接言葉を聞けたのは嬉しいです。
「嫌ってはいないという事ですか。でしたら、あの子のために距離を置いてはくれませんか?」
「何故?」
私もお姉様と同じ事を思いました。
「あの子が嫌がらせを受けている事を知らないのですか?」
私は、お姉様にいじめの件を話してはいません。お姉様の心を悩ませる必要は無く、私自身もいじめとして認識していないからです。それに、和美やふーりんが犯人の特定に努めてくれていますから。
「陽子さんは酷い事をされているの?」
「今はまだ、供花を置かれているだけのようです。ですが、これが何時変わるか分かりません」
「何故、彼女がそんな嫌がらせを?」
「きっかけは、交流会での私だったかもしれません。それから、あなたも原因になっているとも考えられます」
「まだ根に持たれているものね。なら、始まりは私かも……」
自分がきっかけかもしれないと、互いに言い合う二人。
ここまで話を聞いていて、私は気付いてしまいました。
(お姉様、普通に会話をしている!?)




