93 私のコレクション 幻の作品
私への嫌がらせが発覚した日から二週間ほど経ちました。
花を飾った初日は、クラスメイト達が騒めいていたのを覚えています。花に関する知識は、学院の生徒の中では一般教養らしく、全員が蒼ざめていました。
ほとんどが初等部から通い続けているからでしょうか。この程度の事で蒼ざめるだなんて、脆すぎます。私から距離を取っているくらいだったので、もう少し骨があるかと思っていたのですが。
それはさておき、残念な出来事もありました。コレクションしようとしていた花ですが、担任の先生により、毎日処分されています。私が想像していた芸術作品は、衆人の目に入る事は無くなってしまいました。
「それにしても、先生達は役立ちそうにないですね」
三人でおしゃべりとしている時に、進展が無いという話になり、私はつい言ってしまいました。
私の発言は、爆弾を投下したのに等しいらしく、和美とふーりんは驚いていました。
「そんなに驚かないでください。だってそうでしょう? 気付いたその日に先生に伝えたにも関わらず、なあなあで放置されているんですよ。たかだが数十人しか居ない教室での出来事が解決出来ないなら、放置されているとは思いませんか?」
「陽子が言いたくなる気持ちは分かるよ。けど、ここの生徒はさ、基本扱いに困るんだよ」
「社長やお金持ちになると、子の問題でも立場が危うくなるみたいですしね。私、待たされ過ぎて心が荒んできましたよ」
「嫌がらせについては荒まないのですか?」
ふーりんは不思議そうな顔で質問しました。
「ええ、二週間経っても全然です。用意された花を飾ると、未だにクラスメイト達はざわついてますよね。犯人はその反応を見ているはずです。きっと居心地が悪いと思うんですよ。恐らくですが、この行動が私の溜飲を下げる事に繋がっているのでしょうね」
「やった本人が分からないのにそう思うの?」
「ええ。実際、教室の中に花を供えた犯人が居たとして、それはもう、心中は穏やかでは居られないはずです。二人は経験がありませんか? 悪い事がバレたらどうしようという時の落ち着かない感覚を。恐らくですが、相手は私が一人で抱え込むと思っていたはずです。ですが、実際にどうなったかというと、用意した供花が教室に飾られているんですよ。クラスメイト達は、こんな事を行う人に対し、あれやこれや言っています。犯人である事を知られれば、それらの言葉が自分に向かうんです。これは相当なストレスですよ」
「そんな事を考えてたの? かなり陰湿で狡猾で引くわ」
「待ってください、和美。それは後付けの考えです。実際はこんな事をしても無意味ですという意思表示のつもりだったんですよ。それと、前にも言いましたが、この犯人は強制されていると思うんです。本当に嫌がらせをしたいのなら、既に無意味であると分かっている嫌がらせをするのでは無く、もっと行為をエスカレートさせるはずです。なのに、花を飾り続けています。私としては、黒幕の正体を暴きたい所ですね」
話している内に、ミステリーの主人公気分になっていました。
「こう言ってはいけないのでしょうけど、陽子さんが楽しそうに見えてきました」
「実際、相手を追い詰めてる感じがしてますよ。早く正体を現さないかとワクワクしています」
私の言葉を聞き、二人は呆れていました。




