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さあ、ワルツを  作者: 鰤金団
暗躍する人々
92/182

92 私の提案 酷い言われようです

「そんなにポンポン手段が出てくる陽子が怖いよ」

「そうですか? お嬢様学校ならもっとどす黒い、陰湿な行為があると思っていたのですけど。生徒同士の喧嘩でもお金の力で関係者を不幸にして追い詰めていくとか」

「親の立場が生徒間の人間関係に影響するのはあるけれど、そんなに黒いのは学院が許さないよ。そうならないために一筆書かされるし」

「そうなんですか? 私も書いたのでしょうか?」

 覚えがありません。もしかして、私が庶民だからでしょうか。

「保護者用の書類に入っていますよ。毎年、提出するように言われますから」

「ふーりんは書類の中を見た事があるんですか?」

「私の両親は、あまり一つの場所に滞在しない仕事をしているので、その関係でですよ。年越しは家族で過ごすので、私が書類を持って会いに行くのです。書類の抜けがあっては大変なので、必ず確認をしているんですよ」

 お金持ちの家になると、そんな再会の仕方もあるのかと驚きました。


「って、ふーりんの家の事情は今はいいでしょ。心配するのは陽子の事」

 和美がとにかく私を気遣ってくれていました。とても嬉しいのですが、実は、いじめられているという事実を目の当たりにしても、精神的なダメージを全く受けていません。

 きっと、私が想像していたよりも遥かに程度の低い嫌がらせだったからでしょう。

 ですが、毎朝供花が机の上に供えられているというのは、地味に嫌な行為である事には変わりありません。

 お嬢様学校に通う人物ですから、お財布事情的に問題は無いのでしょう。

 けれど、お金は減っていきます。そして、今まで私に気付かれていなかった。

 これらを考えると、酷いと怒るよりも、手緩すぎるし、自分の首を真綿で占めている可哀そうな頭の子何だろうなという風にしか思えなかったのです。

「出来れば、陽子さんに気付かれる前に犯人を見つけたかったです」

「ありがとうございます、ふーりん」

「それから、これからも花の事は任せてください。手がかりを見つけ、犯人を必ず捕まえます。なので落ち込まないでください」

 ふーりんは、私にこんな事をした人物を絶対に許さないと、意気込んでいました。

 さて、事情を知ってしまった私には、一体何が出来るでしょう。そして、私なりに二人の労力を減らせる手段は無いでしょうか。私は考え、閃きました。


「ふーりん、和美。せっかく用意された花です。なので、花は教室に飾っておきましょう」

「えっ!?」

「正気!?」

 提案すると、二人は同時に驚いていました。

「辛過ぎて頭が更におかしくなったの?」

「許容を超えてしまい、更におかしくなってしまったのですか?」

 いじめよりも、二人の発言の方がダメージが大きいです。

「私は冷静です。そもそも、花言葉などというものは、後から付け加えられたものです。花が自分で、私はこんな意味を持っていますとは言いません。それと花瓶を見てください。見ていて気付きましたが、毎朝の嫌がらせをしたいだけの人が、花瓶に水を入れるでしょうか? どうせ捨てられるなら、フラスコでも酒瓶でも、ただ挿しておくだけで良いと思いませんか? これを置いた人は、花を雑に扱う事を良していないのでは無いでしょうか」

「それは希望が過ぎるんじゃない?」

「かもしれませんね。ですが、実害という目線で見ると、私はこの花以外に何ら嫌がらせは受けていません。先ほども例を挙げましたが、ネチネチと責める方法はいくらでもあるはずなのに。これはもしや、誰かに強制されているという可能性もありますよ。なので、相手の良心を責めてみようと思います。呵責に耐えかねて打ち明けてくれるように」

「その方向性は全く考えていませんでした。陽子さんは意外に考えているんですね」

「一途に暴走する壊れたロケットかと思ってたよ」

 壊れたロケットって……。それはもう、爆発以外に何も出来ないのでは無いでしょうか?

「まあ、その、とりあえずお花はこのまま後ろにでも飾っておきましょう。毎日用意されているという事なので、一番端に。どんどん増えて行けば、順を追って枯れていくので、人の人生の縮図のように見えるかもしれませんね」

 探せばそのような趣旨の芸術作品があるかもしれないと想像したら、何だか面白いと思いました。

 自然と口元が緩んでいました。


「陽子さんがとてもあくどい表情をしています……」

「ちょっと陽子の闇を見た気がするよ」

 いじめの犯人に対しての報復を考えていると思われたようで、また酷い言われようでした。

 この二人の遠慮の無い言葉のせいで、何時か耐えられなくなるかもしれません。

 まあ、思っただけで、そのような事は無いでしょうけれど。

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