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さあ、ワルツを  作者: 鰤金団
介入!! 姉妹喧嘩 私のダンスレッスン
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86 暴露 明かされる秘密

「ねえ、和美。足元」

「あ、これは……。うん……」

 和美に教えると、彼女はもう手遅れだというような声を出しました。

 一人部屋に同じ靴が二足。これは先客が居る事を示していました。

 そして、私達が知る中で、先輩の部屋を訊ねるような人物は一人しか居ません。


「お、お、お姉様!!」

 部屋の奥からふーりんの悲痛な叫びが聞こえてきました。

 三人で駆け込むと、そこには熊のぬいぐるみを抱いたエミリー先輩が居ました。

「抱き心地が良さそうなぬいぐるみですね」

「これ、ふかふかしてるんだよね」

 私と和美は先輩が抱いていたぬいぐるみについて触れました。既にこの状況を予想していたので、動じる必要が無かったのです。ええ、私達は現実逃避をしていました。


「えっと、この修羅場みたいな空気は何?」

 状況が理解出来ず、加えて現実逃避も出来ない人が一人、困惑していました。

 エミリー・ふーりん姉妹の凍り付いた空気に、おろおろする彼方先輩です。

「まあ、そうなりますよね。先輩、これから姉妹喧嘩が始まりますよ」

「私の部屋で!?」

 状況を簡潔に、そして的確に伝えたつもりです。争そい事に巻き込まれるのは誰だって嫌ですよね。先輩の反応は当然ですし、よく分かります。 


「それにしても、あたしのお姉様は本当に……」

 私は「タイミングが悪いですよね」と、和美が飲み込んだ言葉を口にして同意しそうになりました。

 今回の私は、第三者です。何時ぞやの彼方・和美姉妹がしていたように、観客席で成り行きを見る事にしましょう。

「このぬいぐるみは何ですか? あの部屋に在った物と同じですか?」

「この子はベアーちゃんよ。部屋に在ったのはワンダス。こっちは熊で、あっちは犬よ」

「お、お姉様がぬいぐるみに名前を!? まさかそこまで……」

 崩れ落ちるふーりん。

「お待ちなさい。これは私が名付けた訳ではありません。名付けたのは……」

「え、何? ちょっと、エミリー? 何を言う気よっ」

 彼方先輩が今までに無いくらいに狼狽えていました。


「そこに居る彼方なのですから」

 名指しに加え、指まで指される彼方先輩。

 反応からして、私もそうだろうなとは思いました。ですが、それにしてもこれは酷いです。

 何が酷いって、彼方先輩は何も悪い事などしていません。それどころか、同級生が寂しがっていたので、その心の隙間を埋める無害な手段を教えただけなのです。

「状況的に疑いようも無いですね。まさか、彼方先輩がぬいぐるみに執心していたとは……」

 ふーりんは、この事実がとんでもなく大事であるかのように驚いていました。

「彼方先輩は面倒見が良く、明るい人です。そんな彼女が部屋で一人、ぬいぐるみで心の隙間を埋めていただなんて」

 そういう見方をすると、何でもないただの嗜好が闇に見えてしまうから不思議です。

 この路線で考えを深めていくと、心の隙間をぬいぐるみで埋める理由になりそうな事に思い当たったので、私は考える事を止めました。


「ちょ、止めてよ。なんで後輩の前で秘密を暴露されてるの? え? ちょ、何?」

 生粋のサンブライト学生であるふーりんすらも知らなかった彼方先輩の秘密。

 その秘密を暴露された彼方先輩の心は、地球規模の災害に襲われたくらいの衝撃を受けた事でしょう。荒れに荒れた心中を察すると、胸が痛みます。

「先輩が。先輩がお姉様を染めようとしたのがいけないんです」

 これがドラマなら「この泥棒猫っ!!」ぐらいな台詞が飛び出していた事でしょう。

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