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さあ、ワルツを  作者: 鰤金団
介入!! 姉妹喧嘩 私のダンスレッスン
85/182

85 始まりはノックから 礼儀から始まる不条理の夜

(あ、これ、原因知ってる反応だ……)

 私は無言で和美を見つめました。

「陽子さんの反応……。和美さん、何か知っているのですか?」

 目敏く私の視線に気付き、和美に詰め寄るふーりん。

「あ、あたしは知らないよ。こっちが三人になっている間、二人が部屋を行き来してた事しか知らない」

(ほとんど彼方先輩が関係していると言っているのですが……)

 しかし、和美の中で確信があったとしても、私もそうだと言えるような確かなものはありません。そもそも、決めつけは良くありません。

「早い話が、彼方先輩の所へ行って確認をすれば良いのでは?」

 なので、見るが早いと、最速で関係の有無が分かる提案をしました。

「さっすが陽子さん。行きましょう。今、行きましょう」

 お姉様をたぶらかした泥棒猫を、白日の下に晒すとばかりにテンションが高いふーりん。

 私達は強引にふーりんに引っ張られ、部屋を出ました。



「で、ここが彼方お姉様の部屋」

 部屋を知らないからと、ふーりんに案内を強要された和美。似たやり取りに覚えがあり、和美はつくづく巻き込まれるなぁと、自分の事は棚に上げて思っていました。

「あ、でも、お姉様は居ないかもしれないよ。光先輩の所に行ってるかも」

「問題ありません。次は光先輩の所へ行くまでです。出会うまで何往復でもしますよ」

 これはもう執念でした。何故か、少し背中が寒くなりました。

 和美はこうなっては仕方が無いと諦めたらしく、溜息混じりにドアをノックしました。

 部屋の方から物音が聞こえました。和美の表情が暗くなりました。


「はい、どちら様?」

 来客予定が無いからか、又は前回の経験からか、ドアを開けずに先輩は対応していました。

「彼方先輩。少々お話をさせてください」

「その声はフレデリカさん? ちょっと待って」

 鍵を開ける音がして、ドアが開きました。

「話って、何かあったの? あれ、二人も一緒なんだ」

「何で居るんですか。もう、何も言いません……」

 諦めた表情と声で和美は言いました。

「え? いきなりどうしたの? 私、また何かしちゃったの?」

 突然訪ねてきた妹に、何故そんな事を言われなければならないのか。当然、彼方先輩は分かりません。先輩は、困惑した表情で私に視線を向けました。

「何というか、心中はすぐに察せるようになると思います」

 身をもって体験した方が早いだろうと、私は丸投げしました。

「え? え?」

 私達の振る舞いが理解出来ない彼方先輩。そして、部屋のドアがグイっと動きました。

「フレデリカさん、どうしたの?」

 自然にではありません。ふーりんがドアを開けたのです。


「すみません、先輩。少しだけ、すこーしだけ、お部屋を見せてください」

「え、急に!?」

 ドアと彼方先輩の間を通り抜け、ふーりんは部屋へ入っていきました。

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