80 復活 下される合否 仲良しレッスンファイナル
筋肉痛から二日後、私の体は痛み無く動かせるようになりました。
エミリー先輩に見られつつの動きの確認でも問題は見られません。
これでやっと、本格的に練習が出来るようになったのです。
(ちょっと想定外な事が起こってしまいましたけれど、もう大丈夫。一週間以内にダンスの練習なんて終わらせて、お姉様との時間を取り戻してみせます)
決意を胸に、私は練習に励みました。
光お姉様と過ごした時間は、お見舞いに来てくださったあの時のみ。姉成分が足りなくてどうにかなりそうです。
本当はすぐにでもお姉様の元へ向かいたいです。けれど、不甲斐無い姿を見せる訳にはいきません。
今は、立派に成長した姿を見せるため、血の涙が流れるほどの渇望に耐え続けました。
その成果は、練習を再会して六日目に現れました。
「エミリー先輩、どうですか?」
先輩と共に踊り終えた私は尋ねました。
「成長しましたね。ステップのぎこちなさが無くなり、ちゃんと身に付いていました。姿勢も足運びも十分初心者以上になっていたわ。これなら年末も大丈夫そうね」
「それは良かったです。でも、そこは中級者以上とか言って欲しいのですが」
「まだ一曲だけです。中級者と呼ぶにはまだまだです」
年末の行事だけなら乗り越えられる実力らしいです。ダンスの種類や曲の数などは分かりませんが、先輩の口振りだと後二、三曲は踊れないと初心者卒業とは言ってくれなさそうです。
「そう腐るものでは無いですよ。この短期間に、一から始めたあなたが問題無く踊れたのです。その努力は誇って良いものです」
光お姉様に心を決めていなければ、うっかり先輩に傾きそうな事を言われてしまいました。
「ま、まあ、エミリー先輩の教え方あっての成果ですよ。将来、先生を目指すのも良いのではありませんか?」
「ふふ。照れ隠しの誉め言葉として受け取っておきましょう」
「て、照れてませんからっ!!」
とにかく、これで一曲は踊れるようになりました。本当はこれで終わりにしたい所ですが、肝心の試験官が、まだ合格を出していません。
「ふーりん。私達の事をそろそろ認めては貰えませんか?」
頑固な親に結婚の許しを求めているような台詞で、私は彼女に言いました。
一週間以上部屋に居るので、三人で居る時間にも当たり前になりましたが、ふーりんは元の部屋に戻った方が良い。真夜中に寝言で、エミリー先輩の名前を口にする姿を見ていると、居たたまれないのです。
「そうですね。ずっと見てきましたが、二人の言葉のやりとりは一つの交流なのだと思うようになりました。お姉様も寂しいでしょうし、今日から部屋に戻るとします」
「フレデリカ、あなた……」
やっと帰って来てくれると、エミリー先輩の目は潤んでいました。




