79 一人去り、部屋は賑やかになりました
「いやいや、ちょっと驚いちゃった。今の」
「彼方先輩もですか。今の返しはビックリでした」
私達は、お姉様が「見ます」と言葉を返すと思っていました。
ですが、出てきたのはお礼の言葉。ただの反応では無い言葉を返した事に驚きました。
「も、もしかしたら今のって、お姉様が私の事を妹だと認め、受け入れてくれたという事ではありませんか? お姉様は、私のお姉様になってくれたんですよね?」
今ならそうだと言ってくれる気がして、期待を込めて尋ねました。
「ごめんなさい」
玉砕でした。
私は、ショックでベッドに倒れました。
「もう、コンビ芸みたいになってきたね。この流れ」
一人、愉快だと笑う彼方先輩が妬ましいです。
「他人事だと思って、先輩は酷い人ですね。ねぇ、光お姉様」
「彼方は優しい子よ」
同意すると思ったら、また違う反応でした。
「お姉様。ここは酷い人だと返す所ですよ。ねぇ? 彼方先輩」
先輩の方を見ると、笑いながら泣いていました。
「ちょっと先輩。感情と表情が壊れてますよ」
「今のは不意打ち過ぎるって。これは卑怯だよ」
笑いよりも泣きの方が強くなった彼方先輩の涙は止まりません。
「陽子、光先輩で少しは良くな……。あぁぁぁ!?」
そこに、ある意味最高のタイミングで現れる和美さん。
「どうしたんですか、和美さん。あら? エミリーお姉様は? 急いでお見舞いの用意をしていたのに、お姉様が居ない?」
エミリー先輩の姿が見当たらない事で、表情が死んでしまうふーりん。
「ちょっと、陽子。お姉様はなんで泣き崩れてるの? ねぇ?」
片や、姉が泣いている原因を追究しようとする和美さん。
「エミリーお姉様は? あそこに袋があるのに、どうしてお姉様は居ないの?」
二人が尋常じゃない圧と共に、それぞれの理由で私を問い詰めてきました。
「いや、あの、待って。話を聞いて」
筋肉痛で素早く動けないのが恨めしいです。
こんなカオスな状況を、私にどう捌けというのでしょうか? 神様。
困り果てていると、意外な人が壁になってくれました。
「病人の部屋だから静かに。ね?」
何と、光お姉様が私達の間に手を伸ばし、和美達を止めてくれました。
「お姉様、大好きっ!!」
その姿に感激し、私は抱きつこうとしました。けれども、言いたい事は言えましたが、体が悲鳴を上げ、私はベッドに倒れました。抱きつきは失敗に終わりました。多少は動けるようになった体でしたが、再び動かせなくなりました。




