66 タッグ 血涙ものです
「ああ、もう。仕方ない。本当に仕方ない。どうしようもないほどに仕方なくですけど、芝居をしてあげても良いですよ」
「それはどのような芝居ですか?」
態々言わせようとするのは、本当に理解出来ていないからでしょうか? それとも、先程の仕返しでしょうか?
「あなたと私が仲良しだという演技をしてあげます。これで良いですか?」
「例えばですけど、手を繋いだり、身を寄せ合ったり、髪をとかし合ったりは出来ますか?」
「それは、仲良しアピールに入りますか?」
「フレデリカはきっと要求してくるでしょう」
暴走すると手が付けられない状態になるふーりんです。二人がどのようなコミュニケーションを取っているかは分かりませんが、今出たような事を日常的に行っているのであれば、私にも同様の事を求めてくる可能性は否定出来ません。
「ふーりんのためなら、身を削り、血の涙を流して耐えましょう」
「そこまでされると、私の心が更に傷付くのですが……。いえ、そこまで協力をしてくれると言ってくれた陽子さんを信じましょう。お願いします。協力をお願いします」
深く頭を下げるエミリー先輩。下級生に、しかも敵意を剥き出しにしている相手に、ここまで出来るという事は、ふーりんをとても大事に思っている証拠でしょう。
「では、行きましょうか。屋上へ」
「さ、早速ですか!?」
「ええ。時間を置くと、勢いも死にますから」
上辺だけの付き合いだけでも辛いのに、仲良しこよしをしなければならないのです。その精神的苦痛と疲労に上限はありません。
「そうですね。では行きましょう」
私達は肩を並べ、音楽室を出ようとしました。
「陽子さん。流石に横並びでは出られませんよ」
「そうですね。気合を入れ過ぎていました」
コントのような事をしてしまったと思いつつ、改めて音楽室を出ました。




