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さあ、ワルツを  作者: 鰤金団
呼び覚ませ、お姉様!! 
61/182

61 罪人私 「つい嬉しくなってやってしまいました……」

「光、何があったの!?」

 彼方先輩でした。全力疾走でここまで来たのは、乱れた呼吸と肩の上下運動の激しさから分かりました。

「せ、先輩。私、お姉様に抱きついたら……」

「抱きついたらどうし……」

 私の向こうお姉様を見ようと首を伸ばした先輩は、気絶したお姉様を見て言葉を無くしました。


「あなた、殺してしまったの!?」

「違います。お姉様にはまだ息があります。ほら、ええっと……。ほら、ティッシュでこうすれば」

 顔に一枚のティッシュをかけました。するとお姉様の呼吸でティッシュが動きました。

「ほら、ね?」

「『ねっ』とか言ってる場合じゃないって。とにかく寝かせて。ベッドに寝かせて」

 先輩は頭の方を、私は足の方を持ってベッドに運びました。

「所で、電話の光、戻ってたみたいなんだけど」

「きっかけは分かりませんが、戻っていたと思います」

「あなた、何をしたの?」

「何もしてませんよ。質問をして、反応では無く、お姉様がそれに答えてくれただけです」

「光がちゃんと質問に答えたの? 何を聞いたの?」

「ライカさんの事を」

「ライカ先輩って……。またあなたは、触れないようにしていた話題を……」

「ご、ごめんなさい。で、でも、普通に話してくれていましたよ。恨み節は言っていましたけど、それだけじゃ無かったですよ」

 言葉では説明しにくく、ちゃんと伝えられているのか不安でした。

「そりゃあ、知ってるけれどね」

 彼方先輩は、私の説明を理解してくれたみたいです。

「朝から賑やか……」

 話をしていると、お姉様が目を覚ましました。


「光、大丈夫? 怪我してない?」

「お姉様、嬉しさの余り、やり過ぎてしまいました。申し訳ありません」

 お姉様の両脇で、私達はそれぞれ話しかけました。

「謝られるような事をされたのかしら?」

 私の方への質問。これはただの反応でしょうか。それとも普通の接し方?

 判断が付かず、先輩と私は互いに顔を見ました。

 お互いに分からず、ならばと私はお姉様に話しかけました。

「猫が台風の目で、ワンダフルにドッグランドで喫茶店のお茶を飲みに行きましょう。コーサ―で良いですか?」

「私はお水で」

 飲み物の種類の部分にしか反応していません。意味不明な単語の羅列に反応しない所を見ると、今のお姉様は以前と同じ状態のようです。

 とてつもないやらかしを自覚した時には手遅れでした。


「彼方先輩ぃ……」

「一度は戻ったんだから、きっと次はあるって」

 慰めてはくれましたが、惜しいと思っているようで、表情に出ていました。

 それから私達は、何時も通りの動きをしました。そして、名残惜しいですが、私は朝食を取るために部屋を出ました。

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