59 お泊り 冴える推理と終わる夜
「お姉様。今、エミリーと言いましたか?」
「そうよ。言ったけど?」
「エミリー先輩はあなたを嫌っています。やはり敵ですか?」
同級生だから呼び捨て。なんて事はこの学院にはありません。
あだ名だって、和美さんが使っているだけで、同級生は皆が”さん付け“で呼び合っています。
それは、嫌いな相手でも基本的に同じなのです。
なので、ここで呼び捨てにするという事は、何らかの形で深い関係となっている事になります。
私は、お姉様の次の言葉を待ちました。
暗い部屋での数秒は長く、静かな空間で待つのは、恐怖でもありました。
「エミリーとは友達だけど? 会う度に嫌味を言ってくるようになったけれどね。凄いのよ、他の人を諫めてまで嫌味を言うのだから」
「えっ!?」
ここで声を出さずして、何時出しましょうか。
ライカさんが亡くなってから関係が悪化し、今のような状態になっているという事でしょうか?
いえ、きっと違います。何せ、エミリー先輩はお姉様にお姉様を盗られた身です。この事から、エミリー先輩がお姉様に恨みがあると分かります。
(はっ。そうです。そういう事だったんですね)
真実が見えてきました。名探偵のように名推理を閃きました。
「分かりましたよ、お姉様。エミリー先輩は、ライカさんと離れたくないが為にお姉様と友達のふりをしていたんですよ。つまりは、友達ごっこだったという訳です。どうですか? 良いと思うんですよ、この名推理!!」
素晴らしいと拍手されてもおかしくない。自分では思っていました。ですが、いくら待っても聞こえてきたのは、拍手では無く、寝息でした。
私が考えている間に眠ってしまったんですね。
「もっと色々お話したかったのに……。ですが、本来のお姉様をほんの少しでも見れました。それで良しとしましょう」
勿体ないとは思いつつも、私も眠る事にしました。




