54 お泊り 彼女が失礼になる時
「ふっふっふ。パジャマ良し、枕良し、全て良し」
時計の針は現在、消灯時間の一時間前を指していました。
私は、楽しみ過ぎて笑いが止まりません。
「途中、纏めちゃったけどさ、本当に大丈夫? グレ子さん」
呆れ顔でそう言ってくるのは和美さんです。
「私はグレてませんよ。失礼な事を言わないでください」
「いや、三着しかない色違いのパジャマに、夕食の時間を抜いて二時間。枕を念入りに確認するのに一時間かけてるんだよ。何度コメントを求められたか。失礼の一つくらい、したくなるって」
二日くらい徹夜したような疲れ顔の和美さん。
「あー、あー、聞こえません。これは乙女の身だしなみで一大事で、宇宙レベルでも大問題だったんです。仕方ないんです」
「言っている事がまるで理解出来ないけれど、一晩泊まるだけでこの騒ぎって……。同室になったらどうなるのやら」
ため息交じりな和美さん。
「それはもう、毎日がファッションショーですよ」
「三着の色違いパジャマで? 普段着が制服な学校で? 何時間も?」
「もうっ、さっきから何なんですか。何着であろうと、気にする事に何の不満があるんですか」
「付き合わされたからだよ。これを毎日したらさ、光先輩、別の方向に病む気がするんだけど」
それは良くありません。お姉様には、一日でも早く回復して欲しいのですから。
「な、なら控えます。でも、最初の一回なんですよ。気合が入るのは分かるでしょう?」
「良く見せたいって言うのは分からなくは無いけど、あたしのとは程度が違い過ぎてね」
「それは私の方が乙女という事ですね」
「あ、うん。もうそれで良いよ」
疲れのせいか、和美さんは雑な返しで会話を終わらせました。
さて、私がこんなにも気合を入れて準備をしていた理由を語る時間が来たようです。
時はお昼休みの後まで戻ります。端的に言うと、私はお姉様にお泊りの許可を貰ったのです。
「お姉様。今晩、私はお姉様のお部屋に泊まります?」
「泊まります」
こんなやりとりの後、二人で一緒に手続きをしたのです。




