5 シスター制度 学院から始まる生涯の絆
「よーし、それじゃあ彼女。陽子さんと二人はこれが縁で友達ね」
万事解決とばかりに、いきなりの提案をする彼方先輩。
私達はその提案に驚き、彼方先輩の方を見ました。
「いやでも、これだけ拗れた出会いって、絶対縁があったからでしょ。二人はこの学校の事を分かっているし、右も左も分からない陽子さんも助かるでしょ。それとも、陽子さんにはお姉様になる人がもう居て、必要無い?」
「ええっと、シスター制度のお相手って事ですよね? 私はここに知り合いが居る訳ではないので、その様な方はいません」
シスター制度。それは、この学校の特殊であり、最も特徴的な制度です。
この制度は、上級生を姉、下級生を妹とし、同室で生活する制度です。
上級生が下級生に対し、勉学のみならず学院内での暮らしを助けるという役割もあります。
学院設立当初は、このような制度は無かったそうです。
元々は、同じ派閥の娘同士が結束を強めようと、部屋を同室にした事が始まりと聞いています。
それを他の生徒が真似をして、上下関係を教えたり、日々の生活を支えたりと、今に近い形に変化していったようです。
その名の由来は、女学校である事から来ています。当初は姉妹制度とも呼ばれていましたが、外国の言葉が馴染んでくるようになると、何時しか生徒達の間でシスター制度と呼ばれるようになったそうです。時が進み、学校側もそれに倣った形になり、この呼び名が定着したようです。
この制度の名前は、言い得て妙でした。
初等部から入学したとして、先輩と制度を利用したとするなら、共有する時間は実の家族よりも長くなります。それだけでは無く、学院卒業後にも多くの制度利用者達が交流を続けているそうなので、そのような意味でも本当のシスターのような関係になるのです。
学校のパンフレットにも載っているシスター制度ですが、面白い事に必ずでは無いのです。
学校側としては、先輩による下級生への暮らしのサポート、交流を目的としていると説明していますが、それでも波長の合う相手が見つからない場合もあります。また、一人でも寮生活が出来るという人もいるので、強制という形にはしていないようです。
では、どうやって相手を選ぶのかというと、毎年交流会が開かれるそうです。タイミングは入学、編入と重なるこの時期です。まだ一人の在校生と新入生は強制参加となります。
強制参加はこの時期だけで、それ以外に交流会は開かれないようです。
この交流会で良縁がなければ、後は学院生活を送る中で、部活等で交流を重ね、馬が合えば姉妹になるという流れです。
このシスターは、成立した場合には、どちらかの部屋に移動しなければならないため、必ず届け出を提出しなければならないそうです。
この届け出も、提出した瞬間に認められる訳ではありません。
提出後に何らかの審査があるようで、問題が無ければ大体一週間以内に許可されるようです。
因みに、書類の提出は年中出来るので、夏でも冬でもシスターが生まれているようです。
というのがパンフレットとネットから集めたシスター制度に関する情報でした。