46 隠し事
あばらはその形が分かるほど、お腹は内臓の形が浮き出そうなほどにやせ細っていました。
腕はまだ見ていませんが、この様子だと、それはもう見ていられない状態だと思います。上半身がこれですから、下半身も同じでしょう。
「陽子さん、風邪をひかせるつもり?」
後ろから聞こえた彼方先輩の怖い声に、自分の手が止まっていたと気付きました。
「す、すみません。お姉様も、体を冷やさせてしまってすみません」
平謝りで、慌てて寝間着を脱がせ、制服を着せました。
(彼方先輩の声、凄く怖かったな……)
友達の痩せ細った体をまじまじと見た事を怒ったのでしょう。
じっくりと見るものでは無いと重々理解しています。ですが、手が止まるほどにお姉様の体は痩せ細っていました。食事は自室で。手にしているのはゼリー飲料。この二つの情報から、物凄く不安になりました。
「次は朝食ですね。冷蔵庫は……」
見つけました。そして、中を開けた私は目を疑いました。
冷蔵庫の中にはゼリー飲料しか入っていないのです。年頃の女子なら、お菓子の一つや二つは常備していても良さそうなものなのに……。文字通り、視覚の情報通りに、ゼリー飲料で埋まっていました。
「お姉様、この量は流石に入れすぎでは?」
先程の不安が気のせいでは無い事が証明されました。体の細さを踏まえて考えると、人としてやってはいけない食生活をしているという事になります。
「陽子さん。早くしないと、自分の朝食の時間も無くなるよ」
彼方先輩が先ほどと同じ声で私を急かしました。
「あ、はい。ごめんなさい」
先輩が指摘する声は、やはりきつめでした。疑問を口に出来る状況ではありません。
やはり、この食事事情には何か理由があるのでしょう。
しかし、今はそれに対して考えている時間はありません。
やる事をやり終えると、私は朝食を食べてくるように言われ、部屋を出されてしまいました。
(何か隠してる……。ここはふーりんに聞いてみましょう)
早めに教室へ向かい、ふーりんを待つ事にしました。




