44 捕縛人達の夜 唯一の道
暗い部屋でも分かりました。
いえ、目が慣れてきたので、月明り程度でもはっきりと分かりました。
遠い目をしていた彼女は、何もやり通せてはいなかったのだと。
「なんか、ごめんなさい……」
不思議と申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
「なんか、気まずくなっちゃったね。まあ、昔の事だしね」
「そうです。昔の事です。気にせず、今を生きましょう」
夜だからしんみりなんて空気じゃないほどに冷えた状況を変えようと、無理に私達は明るく振舞いました。
「で、唯一にして正攻法な方法を取るのが一番だよ。単純に申請出すのさ」
「簡単に許可は出ますか?」
「寮内なら、変な理由じゃなければその場で許可が出るよ。あたしが居た時は、同学年同士でお泊り会とかしてたし。今も変わらないと思う」
「私でも大丈夫でしょうか?」
「素行が悪いと却下されるかもしれないけど、まだ大丈夫じゃない?」
”まだ”という部分が引っかかりますが、良い情報を聞けたので、目を瞑りましょう。
「では明日、申請を出すとしましょう」
正攻法が簡単なら、それを使わない手はありません。
「じゃあ、話が纏まった所で寝ようか」
「はい。お休みなさい」
「うん、お休み」
解決策を見つけた私達は、眠る事にしました。
「所で和美さん」
「何?」
「今晩はやっぱり、ずっと抱きつかれたままなのでしょうか?」
「一晩我慢出来る保証が無いからね」
この日、人生において初めて縛られた状態で眠る事になりました。




