43 捕縛人 やらかしの果て
「ああー、うん。で、一緒に寝る事にはどんな意味が?」
もう少し事細かに説明しようと思っていたのですが、和美さんは話を本筋に戻しました。
「お姉様、お昼休みに私の事を噴水の子と言っていましたよね。あれは今朝の出来事で口にした言葉だったんです」
そう言うと、和美さんは気付いてくれました。
「という事は、強く印象に残ればその場限りじゃなくなるかもしれないんだ」
「そうです。より強く印象に残すには何が一番良いか。それはきっと、同じ時間を過ごす事が一番だと思うんです。なので、即日実行しようとしたのに邪魔されたんです」
話ついでに拘束からの脱出を試みてみましたが、和美さんの四肢から逃れられません。
「今、どうして逃げようとしたの?」
「いけるかなと思いまして……」
月明りの僅かな光でも分かる和美さんのジト目。暗闇を理由に、気にしないという選択肢もありましたが、距離が近すぎたので心が負けてしまいました。
「ごめんなさい。良い話をしたので、警戒が緩んでいるかと思いました……」
更に締め付けられるか、言葉でなじられるかと身構えていましたが、和美さんの行動はそのどちらでもありません。
「なんというか、その行動力のおかげで光先輩の事が分かったんだもんね。関心するわ」
想定していない褒められ方をされ、私は自分の顔の温度が急上昇しているのを感じました。
「ほ、褒められたって、お姉様への愛しか語る事は無いんですからねっ」
「いや、それはほんとに要らない。間に合ってます」
嘘偽りの無い本心でしたが、ばっさり切り捨てられてしまいました。
「それはそうと、届は出してたの? 勝手に部屋を移動するのも無断外泊扱いだよ。重罰だよ」
「寮内に居るというのにですか!?」
「そりゃあ、居るはずの場所に居ないんだもの。何か問題があったら大変でしょ。まあ、そこをバレないようにするのも楽しいんだけど……」
過去の出来事を思い出しているのか、声が楽しそうでした。
和美さんが過去にやらかした行為の一端を垣間見る事が出来ました。
「それならシスターになって同居します。今します」
「いや、互いの同意が無いとそれは出来ないでしょ」
「なら、私達は永遠に引き裂かれたままでは無いですか。これじゃあ織姫とジュリエットですよ」
「いや、混ざってるけど」
「同性なのでくっつけてみました」
「話合うのかな、それ」
「分かりません。イメージです。イメージ」
そんな細かい事よりも、今は緊急の議題の方が大事です。
私がお姉様と一晩過ごす方法について考えなければ……。
「和美さん。是非、あなたが行ったバレない方法を教えてくださいっ。是非にっ」
期待に胸膨らませ、私は荒ぶる牛のように突撃しました。鼻息は突風と変わらず、吐息はマグマのように熱くなっていました。
そんな興奮する私に対し、冷めた声で和美さんは言うのです。
「陽子さん。あたしが無事に隠し通せた悪行が、一つでもあると思う?」




