表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さあ、ワルツを  作者: 鰤金団
呼び覚ませ、お姉様!! 
42/182

42 語らい 発覚する彼女と恐怖の夜

「あの、和美さん。一つ聞かせてください」

「どうしたの、陽子さん?」

 まるで私の認識がおかしいというような反応でした。

 ですが待ってほしいです。誰でも、私と同じ立場になったら、この状況を疑問に思うはずです。

「和美さん。あなたはどうして私のベッドに入って、私を抱き枕のように抱きしめているんですか?」

 オブラートを剥がし、羽交い絞め、と表現すれば彼女も分かってくれるでしょうか? 

 このままでは、寝返りもままならない状態で一晩明かす事になります。


「え? 逃げないようにしているだけだけど?」

 これが差も当たり前の処置だと言わんばかりの反応でした。

「あの、和美さん。和美さんはもしかして、寝ずに私に抱きついているつもりですか?」

「ううん、寝るよ。あたしね、どうやら抱きつく癖があるらしいんだ」

「へ、へぇ、そうなんですか」

 子どもの頃は、ぬいぐるみなんかを抱きしめて寝ていたのでしょう。想像すると心がほっこりします。

「で、ふーりんに言われたんだけどさ。抱きついたら、ずっと放さないらしいんだ」

 心の中で「えっ?」と思いました。今の言葉に、焦りと恐怖が湧いてきました。

「それは、あの、寝ている時の話ですよね? 何故、起きている時にその話を?」

「簡単な事だよ。寝る前に抱きついたら確実でしょ?」

 なるほど、確かにそうですね。と納得の理由でした。

 彼女の睡眠スタイルに関する話はまだ終わりません。

 更に恐ろしい情報を突きつけました。


「それでね、寝返りする時もそのままらしいよ」

 想像した瞬間、サーッと血の気が引くのを感じました。このままでは非常に不味いです。

「和美さん。私、トイレに行き忘れていました。放してください」

 起き上がろうとすると、彼女もまた一緒になって起き上がりました。

「あたしに宣言する前にちゃんとトイレに行ってたから大丈夫だって」

 閃いたのは確かにトイレの中でした。何という所を見られていたのでしょう。

 ですが、ここで挫けてはいけません。私の体に危機が迫っているのですから。

「私、トイレが近くて……」

「日は浅いけれど一緒に生活してるからね、それが嘘だって事くらいは分かるんだけど」

 罰だとばかりに、少し抱きつく力を強くする和美さん。

「で、陽子さんはどうして光先輩の所に行こうとしたの?」

 ここで理由を聞かれては、はぐらかす事も出来ません。

 いえ、後ろめたい気持ちなんて無いので、普通に理由は話せます。


「私を覚えてもらおうと思って……」

「それと一緒に寝る事にどんな意味があるの?」

 結びつかず、理解出来ないと和美さん。

「一つ、気付いた事があるんです。先輩の状態について、和美さんはどう思いますか?」

「どうって言われてもねぇ。会話はちゃんと出来てたと思うよ。元を知らないからさ、不思議系の先輩って感じかな。話してみると、優しいお姉さんだったし、嫌われるような人には見えなかったよ」

「私も、本来なら嫌われるような人では無いと思います。和美さんは、光お姉様が普通に話していたと言いましたが、あれは直前の言葉にただ反応しているだけなんですよ」

「反応しているだけ? 今日の会話ではそんな感じしなかったけどな。なんか、今の話だと機械みたいじゃない?」

 確かに、和美さんの表現には一理ありました。

「私とのやり取りは、機械的な反応が多いんです。私達がお姉様の部屋へ始めて行った時の事を覚えていますか?」

「そりゃあ、何週間も前の話じゃ無いからね。簡単に忘れられる出来事でもなかったしね」

「私、あそこでこう言いましたよね。『明日の天気は焼肉定食で晴れです』って」

「ああ、思い出した。いきなり変な事を言ったから驚いたね」

「そうです。普通の人ならそのように思い、どうしたのかと驚くものです。ですが、お姉様はその様な反応はせず、ただ天気が晴れである事にのみ反応したんです。ここで確信を持ちました。それからも会話に注目していましたが、私が気付いた通りのものでした」


「もしかして、一日中ずっと一緒に居ようとしたのは、検証回数を増やすため?」

「いいえ、単純に愛故にです」

「あ、そうなんだ……」

 とても良い話だと思うのですが、和美さんの反応は冷めていました。いえ、寧ろ引いていたような気がします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ