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さあ、ワルツを  作者: 鰤金団
呼び覚ませ、お姉様!! 
39/182

39 楽しいお昼休み 涙と困惑編

「ま、待ってください。今のはノーカンですよ。だって”さっき紹介“って言ったから分かったんですよ。絶対そうです。不正です、不正」

 何が何でも和美さんにまで先を越される訳にはいかないと、私は訴えました。

 すると和美さんは言いました。


「負け惜しみね。陽子さんはさっき『朝、呼んでくれましたよね?』って言ったのに出て来なかったでしょ。条件は同じだったよ」

 何という事でしょう。これでは私の完全敗北です。

「お姉様、私を見てください。ジッと、じっくり、ねっとりと」

「ねっとりって、陽子さん……」

 何を言い出したのかと、引いた視線を向けるふーりん。ですが、私は挫けません。

「思い出す事がありますよね? 私ですよ、私。ほら、喉のすぐそこまで出かかっていますよ。ね? そうですよね?」

 目の中に侵入する手前のような距離で問いかけ続けました。


「ああ、あなたは噴水の子」

 やっと出た答えに、彼方先輩が噴き出し、咳き込みました。

「噴水?」

「噴水って何?」

 朝のやりとりを知らない二人が首を傾げていました。

「お姉様、よりにもよって噴水って……」

「駄々洩れだったんですもの」

 思い出し笑いをするお姉様。

「はっ。つまりはそういう事ですね!!」

 二人とのやりとりと、今のこのやりとりの違いに私は気付いてしまいました。

 この差に、私は嬉し過ぎて、お姉様に抱きついてしまいました。

「陽子さん、急に何を!?」

「ついに事実関係を!?」

 ふーりんと和美さんが驚いていました。それにしても和美さんは、私をどのように思っているのでしょう?

 これは一度、じっくりと話し合いをしないといけないようです。


 それはさておき、彼方先輩は私とお姉様を見て拍手をしていました。

「お姉様は、何故拍手を?」

 自分の姉の行動が分からないと、不思議がる和美さん。

「ちょっとね、もう心がね……」

「心? 心って何ですか」

「なんて言うか、もう、うわぁぁぁん」

「どうして泣き出したんですか。うちのお姉様、訳が分からなすぎなんですけど」

 更に踏み込む和美さんでしたが、彼方先輩が号泣し始め、それどころではなくなりました。

「彼方の妹は大変ね。でも、良い子だわ」

 光お姉様が呟いた一言を私は聞き逃しません。

「お姉様、私達も仲を深めていきましょうね」

 こうして抱き合っている(一方的に抱きついているだけですが)事も関係を深める事に繋がるはずです。私はお姉様の温もりを感じ、幸せでした。

「それで、あなたは何故抱きついているの?」

「急に冷たいです、お姉様ぁ……」

 本気で自分の置かれた状況が理解出来ず、冷静に訊ねるお姉様に、私は泣きそうになりました。


 ですがこの時、私以上に泣きそうな人が居ました。

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