39 楽しいお昼休み 涙と困惑編
「ま、待ってください。今のはノーカンですよ。だって”さっき紹介“って言ったから分かったんですよ。絶対そうです。不正です、不正」
何が何でも和美さんにまで先を越される訳にはいかないと、私は訴えました。
すると和美さんは言いました。
「負け惜しみね。陽子さんはさっき『朝、呼んでくれましたよね?』って言ったのに出て来なかったでしょ。条件は同じだったよ」
何という事でしょう。これでは私の完全敗北です。
「お姉様、私を見てください。ジッと、じっくり、ねっとりと」
「ねっとりって、陽子さん……」
何を言い出したのかと、引いた視線を向けるふーりん。ですが、私は挫けません。
「思い出す事がありますよね? 私ですよ、私。ほら、喉のすぐそこまで出かかっていますよ。ね? そうですよね?」
目の中に侵入する手前のような距離で問いかけ続けました。
「ああ、あなたは噴水の子」
やっと出た答えに、彼方先輩が噴き出し、咳き込みました。
「噴水?」
「噴水って何?」
朝のやりとりを知らない二人が首を傾げていました。
「お姉様、よりにもよって噴水って……」
「駄々洩れだったんですもの」
思い出し笑いをするお姉様。
「はっ。つまりはそういう事ですね!!」
二人とのやりとりと、今のこのやりとりの違いに私は気付いてしまいました。
この差に、私は嬉し過ぎて、お姉様に抱きついてしまいました。
「陽子さん、急に何を!?」
「ついに事実関係を!?」
ふーりんと和美さんが驚いていました。それにしても和美さんは、私をどのように思っているのでしょう?
これは一度、じっくりと話し合いをしないといけないようです。
それはさておき、彼方先輩は私とお姉様を見て拍手をしていました。
「お姉様は、何故拍手を?」
自分の姉の行動が分からないと、不思議がる和美さん。
「ちょっとね、もう心がね……」
「心? 心って何ですか」
「なんて言うか、もう、うわぁぁぁん」
「どうして泣き出したんですか。うちのお姉様、訳が分からなすぎなんですけど」
更に踏み込む和美さんでしたが、彼方先輩が号泣し始め、それどころではなくなりました。
「彼方の妹は大変ね。でも、良い子だわ」
光お姉様が呟いた一言を私は聞き逃しません。
「お姉様、私達も仲を深めていきましょうね」
こうして抱き合っている(一方的に抱きついているだけですが)事も関係を深める事に繋がるはずです。私はお姉様の温もりを感じ、幸せでした。
「それで、あなたは何故抱きついているの?」
「急に冷たいです、お姉様ぁ……」
本気で自分の置かれた状況が理解出来ず、冷静に訊ねるお姉様に、私は泣きそうになりました。
ですがこの時、私以上に泣きそうな人が居ました。




