23 変わる日々 明かされる学院の裏の顔
交流会の翌日から、私の周辺の環境は少し変わっていました。
クラスメイト達が私に素っ気ないのです。
ふーりんや和美さんは何時もと変わらずにいますが、他の子達は挨拶をしても返答が無く、会釈で済ませたり、反応に困った様子で、ぎこちない表情を見せるのです。
酷いと完全に無視をされる場合も。
このような状況になってしまった原因は何なのか。
考えられるのは一つだけです。昨日の交流会しかありません。
エミリー先輩と言い争いに加え、先輩の誘いを断ったという二点。
学院内でもトップクラスのお嬢様に対し、失礼を通り越した態度で接した事がいけなかったのでしょう。
そんな大罪人と会話をしている場面を誰かに見られ、反エミリー派などと言われては、親の会社に影響が出ると考えているのでしょう。
大人達の関係を子ども社会に持ち込むのはどうかと思いますが、現実ではそのような幼稚に感じる事が当たり前に起こります。空想の中だけの話では済まないのです。
ふーりん曰く、エミリー先輩は学院内の人気が高いため、妹になりたい人は多いそうです。
そんな相手の誘いを、断固として私は断りました。一般庶民の私が。
これもお嬢様達の逆鱗に触れたのでしょう。
私は晴れて、学院内の嫌われ者の地位を手に入れました。
現状を整理すると、無視以外の反応を見せた子達はまだ良心があったという事でしょう。
そんな事をふーりんと和美さんに話すと、ふーりんが言いました。
「陽子さんが苦労している時に、この話すのは酷だと思うのですが……」
躊躇い、本当に話して良いべきか、言い出したは良いけれど迷っているようです。
「心配しないでください。元々不相応な場所だと、重々承知していますから。それにです。二人が居てくれるので、大丈夫です」
今後、二人だって離れてしまう可能性は十分にあります。ですが、こんな状況でも変わらずに接してくれている二人を信じたいと思っていました。
「お嬢様が陰湿なのはあたしも知っているし、大丈夫。見捨てないし、ズッ友だよ」
「ありがとうございます、和美さん。でも、ズッ友なんて言われると、途中で裏切る伏線に聞こえますよ」
「ひ、酷いっ!!」
テンプレート的な言葉は時として、塵並に簡単に飛んでいくほどに軽いのです。
「ずっともが何かは分かりませんが、私も陽子さんが困った時には支えます」
「ありがとうございます、ふーりん。エミリー先輩とは揉めていますけど、それはそれ、これはこれです。私達は友達です」
彼女の手を握り、目を見て言いました。一秒足らずで冷静に俯瞰してみると、狙い過ぎた振る舞いで、自分が嫌になりました。
「あたしと対応が違わない?」
嫉妬でしょうか?
でも日頃の振る舞いのせいか、ふーりんには真摯に向き合いたくなるのです。
「もちろん、和美さんも友達ですよ。同室ですし、何時か困った時には何でも手伝いますから。ズッ友ですよ」
彼女の手も取り、そう言うと和美さんはニヤリと笑った。
「今、何でもって言ったね?」
普通ならとても不味い事を言ったと思うのでしょうが、私は違います。
「ズッ友って言いましたよ、和美さん。それと、そういう所ですよ」
彼女が本気で言っている訳では無い事を理解しているので、このような返しが出来るのです。
と、少し話が逸れてしまいましたが、ふーりんは改めて事情を話してくれました。
「今、この学院内は、庶民への風当たりが強いんです」
「生まれで差別するなんて、なんて時代錯誤なっ」
重そうな話なので、少しでも場の空気が明るくなればと、二昔前くらいの少女漫画ばりのリアクションをしてみました。
「陽子さん、真面目な話だと思うから」
和美さんに諫められてしまいました。少し納得がいきませんが、空気を読み間違えてしまったのは事実なようです。




