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さあ、ワルツを  作者: 鰤金団
期待と待望の交流会
22/182

22 組む人、悩む人 私、決めました 

 お笑いコンビの自己紹介のような事を始める二人。

「あの……。二人とも、良いのですか? そんないきなりで」

「心配しなくて大丈夫だよ、陽子さん。それと暫くは部屋は一緒にしないから安心して」

「手続きが通った後もですか? 私が関係しているのなら気にしないでください」

「彼方先輩の部屋が物凄く汚いらしくて、整理に時間がかかるらしいから、それだけの理由だよ」

 和美さんは、部屋が汚い事を強調しました。

 彼方先輩にそんな欠点があっただなんて。人は見かけによらないものです。

「ちょっと、そんなに連呼しないでもらえる。こっちにも立場があるんだから」

 ぺしんと和美さんの頭を叩く彼方先輩。

「いった。先輩がそうだって言ったんじゃないですか」

「加減というものがあるでしょ」


 二人のやりとりを見て思いました。入学式と昨晩くらいしか接点が無かったと思いますが、相性は良さそうです。

「私としては、友達が部屋にまだ居てくれるというのなら嬉しい限りです」

 遠慮していましたが、まだ一人で学院生活をする自信は無いので、本心からそう思います。

「なるほど、分かりました。和美さん。何か困った事があれば、何時でも私の所へどうぞ」

 何を分かったというのか。エミリー先輩は、和美さんに言いました。

「はい、彼方先輩に困ったら、すぐにでも駆け込みます」

 和美さんがそう言うと、彼方先輩が彼女の肩に手を回しました。

「そうね、妹が盗られないようにするわ」

 行かせないとばかりに、和美さんを自身に引き寄せる彼方先輩。


「そんな、盗るだなんてっ。人聞きの悪い」

「最近のエミリーを見ていると、気付いた時には妹ハーレムが出来てそうな気がしたもので」

「そのように軽い姉ではありませんわ」

 口喧嘩をしているように見えましたが、言い終わると先輩達は笑っていました。

 この笑顔は作り笑顔でしょうか?

 最初は仲が良いように見えましたが、実は仲が悪いとか?

 それとも、今のやりとりはお嬢様同士のじゃれ合いなのでしょうか?

 私には分かりませんが、このような目に見えない攻防的なやり取りは苦手です。

 なので、早々に距離を取る事にしました。

「では私は食事をしてきます」

 ごきげんよう、と軽く会釈し、料理が並ぶテーブルに向かいました。


「待って、陽子さん。あたしも食べる」

「じゃあ、私も。一人っ子最後の夜の食事を楽しもうかな」

 和美さんと彼方先輩が私に付いて来てくれました。

「では、私達は用事が済んだのでこれで。三人とも、おやすみなさい」

「彼方先輩、二人も、失礼します」

 ふーりんの沈み気味の声でのぎこちない挨拶。私とエミリー先輩との火種がまだ残っているのだから仕方が無いのでしょう。ふーりんには、とても悪い事をしました。

 流石にこのままではふーりんが可哀そうだと思い、私は動きました。

「ふーりん。明日も教室でお話しましょう」

 私とふーりんの間には何も無いという事を伝えたくて、付け加えました。

「ええ、明日もまた教室で」

 意図を汲んでくれたのか、ふーりんの表情は明るくなり、声に明るさが戻っていました。


 障害は多そうですが、直接お姉様と話す事が出来ました。

 今後も交流を重ね、お姉様とシスターになってみせます。

 決意を胸に、私は料理を堪能する事にしました。

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