20 光と会長
「同級生なのですから、三船さんで構いませんよ。それよりも……」
三船生徒会長は、エミリー先輩とのやり取りを早々に終わらせ、光お姉様の方を向きました。
「やはりあなたが原因でしたか。私達が用意した場を壊そうとするとは、品の無さは流石ですね」
光お姉様を目の敵にしているような発言でした。
それだけではありません。この人は、お嬢様では無い学院の生徒を敵視しているようです。
エミリー先輩に対しての友好的な振る舞いを見るに、そういうタイプなのでしょう。
お姉様は巻き込まれただけです。私とエミリー先輩が勝手に言い争いをしていただけです。
なのに、理由も聞かずに全ての原因がお姉様にあるという言い草。
私の感性が言っています。この人とは相容れないと。
それは光お姉様も同じようでした。
「三船さんが来たなら話が早いですね。交流会には参加したので、私は部屋に戻らせてもらいます」
「あなたにまで私の名を口にする事を許した覚えはありませんよ。それから、部屋では無く、故郷へ戻っては如何ですか? 学院生活は、あなたにとってお辛いものでしょう?」
お姉様がとにかく気に入らないと、生徒を纏める長であるというのに、あるまじき発言をしていました。
「お気遣いありがとうございます。ですが、卒業したら学院を離れるので、不要な気遣いですよ」
お姉様は、そんな嫌味には興味が無いと、ゼリー飲料を飲みつつ去っていきました。
「お待ちなさい。まだ話は終わっていませんよ」
お姉様から会話を打ち切った事が面白くないらしく、三船生徒会長は怒っていました。
二人のやり取りは、お姉様に軍配が上がったようです。
「三船会長、場を乱してすみませんでした」
失礼をしてしまったと、謝罪するエミリー先輩。
先輩の行動に、会長は咳払いをしてから対応しました。
「いえ、あなたが謝る事ではありません。全ての原因は、あの庶民だという事は明確ですから。不愉快なのはあの人だけです。本当に、何故あんな人があの方の……。っと、エミリーさんには新入生を守ってもらったようで、感謝しかありません。生徒会長としてお礼を言わせてください」
私はムッとしました。守られた覚えは無いのだから当然ですし、一方的にお姉様の、いえ、私達に対して暴言を吐き続ける態度が腹立たしかったからです。
光お姉様に無礼を働いた相手に、一言言いたいと思いました。ですが、何時の間にか私の肩には彼方先輩の両手が置かれていました。その手が私の肩を強く掴んでいて、痛くて動けません。
そんな状態の私に、生徒会長は言いました。
「知らないとは怖い事です。なので、一つ、新入生のあなたに教えて差し上げましょう。あの人に関わってはいけませんよ。あの人は、この学院から排除されるべき存在ですからね」
私が自分が嫌う庶民であるとは気付いていないような振る舞いでした。
生徒の代表であるはずの生徒会長が堂々と一生徒の事を悪く言うのは許されるのでしょうか? 私は許されないと思います。
この人とお姉様との間に、過去に個人レベルで何か諍いがあったとしか思えません。
「では、私は会の進行があるので失礼しますね。新入生の二人も良い出会いがあると良いですね」
仕事があるからと離れていく三船生徒会長。
私としては最悪の出会いでした。




