19 敵となった先輩と近づく悪意
「い、嫌です。お願いします。私とシスターに……」
たった一度の出会いでしたが、その出会いが私を導き、挫けそうな時も支えてくれました。
なので、私は諦めたくなかったのです。
「本人の口から断られたのです。諦めなさい。彼女は妹を持つに相応しくありません。それと、彼女の妹になっても辛くなるのはあなたです。なので、シスターが必要なら私にしておきなさい」
私の邪魔をするくせに、エミリー先輩は私を引き入れようとしました。
ですが、当然受け入れられる訳がありません。
「お断りします。光お姉様が良いんです」
私は、邪魔をしてくるエミリー先輩を睨みつけました。
「ちょちょ、ちょっと一旦止めよう。深呼吸しよう。陽子さんも、先輩も、ね?」
和美さんが焦り、私達を止めに入りました。
「そうだよ。ここは皆の出会いの場だよ。だから終わりにしよう。ここは喧嘩をする場所じゃないんだから」
彼方先輩も加わり、二人で私達を落ち着かせようとしていました。
「ですが、彼方っ」
「エミリーも、頭ごなしじゃ駄目って分かってるでしょ。それに、後輩の事も考えて。陽子さんも出会えてうれしいのは分かるけれど、焦り過ぎだよ。一方通行じゃシスター制度は成立しないからね」
「そ、そうですね……」
一方通行と言われ、多少冷静になる事が出来ました。
お姉様も、いきなり押しかけられて、妹にしてくださいと言われても戸惑うでしょう。
お姉様にとっては突然の事。私の事も思い出せていないでしょう。
これらと、今のお姉様の様子とを加味すると、二つ返事で同意するなんて出来ない事は明白でした。
「光お姉様、ごめんなさい。礼を欠いていました。エミリー先輩も、つい頭に血が上ってしまいました」
一度冷静になったおかげで、私は状況を見る事が出来るようになりました。
「いいえ。私も、少々熱が入り過ぎました。ごめんなさい」
お互いに落ち着きを取り戻し、私は光お姉様とエミリー先輩に謝り、先輩は私に謝りました。
「ああ、もうっ。今日はここで解散して、各々楽しもう。そうしよう」
まだ残る重苦しい空気に、彼方先輩は頭を掻き、そう提案しました。
私達は、未だ燻ぶる感情のために返事はしませんでした。
そこに、覚えの無い声が入ってきました。
「随分と賑やかなお話は終わりましたか?」
嫌味を多分に含んだ発言。
どこの誰なのかと、声の人物を見ました。
この学院の生徒なのは確かです。ですが、制服を着ているからそう判断出来ただけで、名前までは分かりません。
「三船生徒会長ではありませんか」
エミリー先輩の言葉で、その人が生徒会長である事を知りました。




