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さあ、ワルツを  作者: 鰤金団
期待と待望の交流会
13/182

13 夜会 手がかりを求めて

 この日の夜も、私は外へ出ていました。

「夜はまだ少し肌寒いな」

 季節柄か、立地のせいか、まだ学院の夜は冷えます。

 羽織る物を持って来てはいるものの、風は冷たく、冬の恰好をしたとしてもまだ寒いです。


「あの人、本当にここに居るのかな?」

 私が逢いたいばかりに、幻を見たのではと不安になりました。

 だって、その可能性を捨てきれないのですから。

「恋煩い? 相手はどんな人?」

「それは、去年に海で出会った、綺麗な黒い長髪の人です。ここの生徒なんです。それと、恋煩いじゃないです」

 話しかけられたので答えましたが、私は誰かと一緒に外に来たのではありません。

 少し経ってから冷静になると、別の意味で冷えてきました。

 私は一体誰に話しかけられ、会話をしたのか。


 怖いと思いながらも、勇気を振り絞り、声のした方を向きました。

「うわわっ!? 彼方先輩!?」

 ちゃんと人でした。しかも、知っている人です。

「こんばんは。新生活はどう? あの二人とは仲良くやってる?」

「あ、はい。先輩のおかげでなんとか過ごせています」

 こんな時間に、どうして彼方先輩が居るのでしょう。入学式以来の再会に驚きが続き、心臓の鼓動が収まりません。


「それは良かった。環境が違うと苦労するのは私も経験があるからね。友達でも同じ人が居たから気になってたんだ。それに、強引にくっつけた所もあったし」

 確かに戸惑いはありました。ですが、それが結果的に良い方向に進んだと実感しています。

 私が彼方先輩のように攻めの姿勢で行く事は出来なかったので、本当に助けられました。

「彼方先輩が居なければ、私は今も一人だったと思います。本当に感謝しています」

 心からの感謝を告げると、彼方先輩は眩しいと思えるくらいの笑顔になりました。

「そんなに感謝されると、こっちも嬉しいよ」

「環境に完全に馴染むのはまだ先でしょうけど、楽しく過ごしていますよ。所で、彼方先輩はこんな時間にどうして外に?」

 気になるので、質問してみました。


「んー。友達の所に行った帰りでね。ちょっと寄り道して、夜風に当たろうかなって気分になったのさ。そしたら、あなたを見かけてね」

「そうだったんですね。声をかけてくださって、ありがとうございます」

「畏まらないでよ。驚かせてしまったみたいだしさ」

 お嬢様学校ではあるまじき驚き方だったと、自分も反省しています。

 恥ずかしさに照れていると、閃きが生まれました。


「彼方先輩。先輩は去年の海の事を覚えていますか?」

「去年の海? 確かに去年は海に行ったけれど、どうしてあなたがその話を?」

 一度会っただけですから、私を覚えていなくても仕方がありません。

 なので、私が聞きたいのは海に行った記憶があるかどうかなのです。

「実は私、そこで彼方先輩と出会っているんです」

「そうだったの? その時と今の外見は同じ?」

「違いますね。今は肩まで髪がありますけど、あの時はもっと短かったですから。それと、少しやさぐれてました」

「髪が短くてやさぐれ気味……」

 彼方先輩は目を細めたり、手を動かしたりしてその時の私を見ようとしていました。

「あっ、あの子だ。フナ虫に囲まれてた子」

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