120 役目、世代を超えて…… とは言っても、感動はありませんよ。後、私は悪くありません
「それにしても、何時の間にか彼方が妹を作ってるとは思わなかったわね。似合わないって言ってたのに」
「そうだったんですか? あたし、いきなり誘われたんですけど」
和美は光お姉様の言葉に驚いていました。私も、突然の姉妹宣言に驚いた側だったので、意外に思いました。
「私も義務だからって感じで交流会に参加したんだけどね。エミリー達と陽子さんを見てたらさ、これは一人じゃいけないって思ってさ」
「あたし、そんなに危ない感じでした?」
「いやいや。あの時にも話したけど、和美が苦労するなって思ってね。それでほっとけなかったのさ」
「確かに、この中だと一番苦労しそうね。去年の彼方ポジションね」
場の全員の顔を一瞥し、納得する光お姉様。
「酷いですよ、光お姉様。それでは私達が迷惑かけているみたいじゃないですか」
「そうです、先輩。私は迷惑をかけていません。私は」
「ふーりん、それでは私だけがトラブルメーカーになっているみたいなのですが……」
お互いに問題を起こしてはいないと主張する私達。
「申し訳ありませんが、陽子さんにはかなり振り回されているので……。私は陽子さんの言葉に同意出来ません」
「そんな事ありませんよ。何時、私が二人を巻き込みました?」
ムキになって訊ねると、ふーりんと和美は顔を見合わせました。
そして、和美が言います。
「陽子、胸に手を当ててみて?」
言われた通りにしてみました。
「心臓の鼓動を感じます」
特に気になる事はありません。私は健康ですから。
「他には?」
「不自然な所はありません。私は元気ですよ」
そう答えると、和美は、フゥーと息を吐きました。
「な、なんですか?」
そんな反応をされると、不安になります。
「いやさぁ、無自覚かぁって思って。放課後、一緒に病院に行こう。あ、心臓じゃなくて、頭の方のね」
かなり辛らつな事を言う和美。
「大丈夫ですよ、陽子さん。私も付き添いますから」
ふーりんも、急に眼が優しくなりました。
「あ、ふーりんは精神科ね。大丈夫。あたしのかかりつけの病院の中に入ってるから。二人なら通いやすいよ」
「私もですか!?」
不意を突かれ、驚くふーりんでした。
「ふふ、やっぱり苦労してるみたいね」
「だって、あのエミリーの妹と陽子さんだからね」
光お姉様と彼方先輩は、自分達の目は確かだったと、私達後輩組にとっては嫌な方向で満足げな表情をしていました。
「ちょっと、二人とも。あのとは何ですか? 何故そこで私の名前が出るのです?」
唯一、名前の出たエミリー先輩がお姉様達に詰め寄ります。
「おっと、自覚の無い人がもう一人居るわ。彼方、出番よ」
全て頼んだとばかりに、彼方先輩に任せるお姉様。
「ちょっと、面倒事を私に投げないでくれる」
「何言っているの。私達の間での世話係はあなたでしょ?」
「勝手に係に任命しないで」
「ちょっと、私だけが迷惑をかけているような扱いをするのはお止めなさい。迷惑なら光の方がかけていたでしょう」
それを聞いて、光お姉様は笑いました。
「お嬢様の目は節穴でいらっしゃる。後、記憶に問題があるようですね。私のは巻き込まれただけ。ライカの妹という事で、どれだけ面倒事を頼まれたか」
お姉様は思い出し、心の底からうんざりした表情をしていました。
「そのお話、是非聞きたいです。聞かせてください」
純粋に面白そうでした。それとお姉様の活躍が知りたいと、頼みました。
「そのうちにね。少し会話が弾み過ぎたわ。早く食べないと、そろそろお昼休みが終わってしまうわ」
時計を取り出して確認すると、本当にギリギリの時間でした。
「さあ、お嬢様らしからぬ食べっぷりを見せてちょうだい」
一人だけお手軽にゼリー飲料をゴクゴク飲んで済ませるお姉様。
「癪ですが、光の言う通りです。急ぎましょう」
その言葉を実践するように、エミリー先輩が動きました。それからふーりん、和美、彼方先輩と続きます。
出遅れた私も急いで食べ始めました。
そんな急ぐ私達の姿を見ているお姉様は嬉しそうでした。
光お姉様のドSっぷりが堪らない。そんなお昼でした。




