表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さあ、ワルツを  作者: 鰤金団
目覚めの光 姉との記憶
106/182

106 視線 番狂わせ 

「会の挨拶は生徒会長がするのね」

「そうそう。で、後ろに居るのが生徒会の役員だよ」

 彼方の説明を聞き、私はメンバーを見た。

 この学校の生徒会は、前年度に決めてしまうそうだ。

 顔触れは卒業するまでほぼ変わらないらしい。

 一貫校ならではの特殊さだろうか。

 生徒会に入り、上級なコネを得る事も考えていたけれど、そういった制度なら今年は狙えない。彼方の話を聞くと、生徒会メンバーにはかなり強い結束がある様子。既に構築された人間関係を切り崩せるほど、私は言葉巧みな人間では無いので、生徒会入りは無理そうだ。

 まあ、そもそもの話で、初等部から居るような生徒達の中で立候補をして、いきなり入ってきた私が選ばれる訳が無い。それに加え、来年は高等部二年だ。

 受験に備えなければならない。より高い場所へ行くためには、コネも大事だけれど、知識の方も蓄えておかなければいけない。

 総合的に見て、部活よりも仕事も負担も多いであろう生徒会をやるには、条件が悪かった。

 話を聞きながら、その事を思い出していると、一人の役員と目が合った。


(あの子は同じクラスの子ね。まだ入学してから間もないのに一年生の役員が居るって変な感じ)

 普通は中学から高校に切り替わると全てが変わって大変だ。けれども、一貫校では学年が一つ上がるだけ。学校での生活リズムにさほど変化が無いから出来るのだろう。

 彼女を見つめ、そう考えていた。

 目が合った彼女は、周囲を一瞥する中の偶然だったのだろう。すぐに正面を向き、会長の言葉が終わるまで動く事は無かった。

「……それでは皆さん。良い出会いが生まれる事を願っています」

 生徒会長のあいさつが終わった。

 これで私は参加した事になった。部屋に帰る前に、美味しそうな料理でお腹を満たしておこう。そう思い、私は料理があるテーブルに足を向けた。


「光、ちょっと待ちなさい」

 ライカ先輩が、何故か私を引き留めた。

「何ですか? 私は手早く食事をして帰るつもりなんですが」

 相手をする気は無いと、素っ気なく返すも、彼女は躊躇いなく距離を詰めてきた。

「その前に、帰る部屋はちゃんと分かっているの?」

 まるで人を小馬鹿にしたような台詞にムッとした。

「初等部の低学年じゃないんです。それくらい分かりますよ」

「そう。なら良かった。けれど、鍵は持って無いわよね」

 何を訳の分からない事を言っているのだろう。そう思っていたら、彼女は自身の制服のポケットから鍵を取り出し、その腕を私の方に伸ばした。

「はい?」

 理解が追い付かず、私は間抜けな声を出していた。


「え? どうしてですか、ライカお姉様っ」

 理解出来ず、きょとんとしている私とは違い、エミリーが激しく動揺していた。会場に居た生徒達が皆、こちらを向く。そして、ざわつき始めた。

 私はまだ、どうしてエミリーが、突然大声を出したのか分からずにいた。

「ごめんなさい、エミリーちゃん。彼女を見過ごせなくて」

 流れ的に、何かを反故にしようとしている状況らしい。

「約束。約束していたじゃないですか。なのに、どうして平野さんを選ぶんですかっ」

(選ぶ? 選ぶとはどういう意味だったっけ? この場での選ぶって? ああ、ここはシスターを選ぶ場所だったんだ……)

 頭が情報の整理を終えた時、自分が置かれている状況を理解した。


「ええっ!? どういう事なの? あなた、どういうつもりなの!?」

 エミリーがずっと憧れていた相手の行動が理解出来ない。彼女が、今日という日をどれほど心待ちにしていたか。私は、出会った時から知っていた。だから、ライカ先輩が私を選ぶ意味が分からない。選ばれるような接し方もしていない。

「これはこれは、開始直後に驚きの展開だわ」

 茶化している訳では無く、本郷さんは本当に驚いていた。

「私も、突然の事だったから、本当に驚きだわ」

 ユミリア先輩だけが驚きに余裕が見られた。事前に聞かされていたのだろうか。

 私達が会の主役のような状態になり、全員の視線が向けられているのが辛い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ