ちーと・チート・CHEAT ~チートを愛しチートに愛されありとあらゆる異世界を無双する少年、チートおじさんと出会う~
頭空っぽにして読んでください
俺の名はアキラ、天涯孤独の最強勇者だ。
暇を持て余してるから、少し1人語りさせてもらう。
なんやかんやあって死んだ高校生の山岸日日日は、なんやかんやあって異世界へと転生して勇者アキラとなり、なんやかんやあって魔王を倒した。
数行前に書いてあるが天涯孤独なのでパーティーメンバーとかおらず、なのに魔王軍とかも余裕で蹂躙しちゃうヤバい奴だ。
魔王軍は全員人外なのでゲーム感覚で無双し、旅費とかもそいつらが泣いて命乞いして来た奴らがくれたので賄った。
そんな俺のだいたい1週間くらいの冒険譚に目を付けた神様は、俺となんちゃら契約を結んで別の異世界に飛ばした。
そこでも無双した俺に味を占めた神ちゃんズは死んだ奴の転生作業を取り止め、魔王に支配された世界を幾つも救ってきた。
マジな話、戦い続ける訳だからそこそこ疲れるんでたまには休憩させてほしいのに、神野郎の酷使が段々エスカレートしていったのは史上最高にムカついた。
さすがに調子乗りすぎてやがったので、話聞かなかった神共を片っ端からボコボコにして休暇を得た。
そして今に至る。
魔王とか支配とかから解放されて3日経ち、勝ち得た財宝を散在して南の島にてハーレムバケーションを謳歌していた。
「勇者様ぁ、お体の方ほぐしましょうかぁ?」
「ちょっ、抜け駆けなんて許さないんだから!」
「勇者様~、あ~ん」
41個目に救った世界にある常夏の島にて、俺はドタイプである褐色美女に囲まれてバカンスを満喫してる。
もちろんやましい気持ちしか無いし、無数にある世界を救ってきたその対価だと思って夜を待ち遠しく感じている。
当然だ、俺は勇者だが正義の味方ではない。
他人への善意だけで動ける奴とかマジで狂ってるだろ、独占欲暴走させて世界支配しちゃってる魔王とかの方がまだ気持ち理解出来るもん。
「おう、相変わらずだなアっちゃん」
「ああ……いや誰だよ!?」
束の間の俺のバカンスを邪魔するおっさんの名はクリス、どうやらあの神のあんちくしょうの手先とかでは無いらしい。
ボッサボサの髪と無精ヒゲの似合う貧乏くさいツラのくせに着てるモンはちゃんとしてるクリスは、俺目的でここまで来たらしい。
「サインくれ」
「何でだよ」
「言い値で売れるから」
「滅べ転売ヤー!!」
「冗談だよ、ただムカついてんだよ」
「初見だよな?」
「有名人君、おめぇの影響力舐めんなよ、おめぇが自称チート使いを名乗ってんのが我慢ならねぇ」
「そんなの名乗ってたっけ」
「覚えとけよ! つーかおめぇ世界1つ1つ解放するごとに名乗る異名変えてんじゃねぇぞ紛らわしい!」
「なんかごめん」
「いいか小僧、おめぇの言うチートは魔力無限でどんな魔法や攻撃もバカみてぇな威力出せるって事だよな」
「そだな」
「それはチートじゃなくて才能だ、俺が本物のチートってのを見せてやる」
「やめとくわ」
「いや来い、この会話のテンポが速過ぎて地の文が入るスキが無いせいで今どういう状況なのか理解されてないからここで都合良く場面転換行くぞ」
「なら仕方ないか」
※ ※ ※ ※ ※
俺とクリスは、どこなのかよく分からん無人島に降り立った。
「ちなみに俺の魔力はゼロだ」
「は? いやさっき俺と一緒に飛行してたじゃん」
「そう、魔力が無ければ不可能な事を可能にした、これがチートだ」
「はあ……いや原理がちょっと」
「んなモンある訳ねぇだろ、俺は握力30ちょいだが宇宙の1つや2つくらいぶっ壊せるぞ」
「さすがに俺もそこまで出来ねぇんだけど……つまり何が言いたいんだよ」
「チートの意味履き違えてるお前に、チート使いを名乗る事への撤回要求だ」
「あ、うん、撤回する」
「よし、じゃあな、永遠にグッバイ」
「あ、ちょっと! あんた何者なんだよ!」
「それについては、この短編のあらすじに書いてるから気になるならチェックしてみてくれ」
しれっと言っていたが、あの男は全ての神が束になっても勝てないと思われる力を持っている。
死後初めて出会った自分より強い存在は、以降俺の前に姿を見せる事はなかった。
そう、あの時までは──
つまり何が言いたいのかというと、自分が思うチートはこんな感じなんだと言いたいだけの短編でした。
読んでくださりありがとうございます!!