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小説家人形  作者: 五島タケル
三章
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非業 

「やあ、やっと目覚めたっすか?よかったっす」

部屋のふすまの陰から声がしたかと思うと、そこには安西さんが立っていた。


「あっ・・・・、良かった安西さんか。ってことはここって?」

「あっそうです。ちょっと迷ったんすけど、五島さん一人置いとくのもアレなんで

私の部屋に連れ込んじゃいました。すいませんっす」


 起きてすぐに状況を受け入れられていることに不思議な安心感と、なんとなくあの作戦を彼女に話した時点で、どこかこうなることを予感していた気さえした。


「えっといやっ謝るのは僕の方だよ。こんな女性の部屋に転がり込んでゴメン、君のベッドだよね?すぐ、すぐ帰るから。・・・・・っいてっ!」


「あっダメ!無理しない方がいいっすよ五島さん。脚撃たれて病院で筋繊維を縫合する手術して、2週間程度は安静って言われてるんで」

「あっそうか、そうだ僕・・・・・、あの時撃たれたんだ」


 状況を思い返すと少し恐怖感が蘇り、自分のやったことが夢のように思えてきた。ただあの後どうなったのだろう?被災地は、他のシールド隊員たちは?

当然の疑問がよぎり、気がかりが不安となって押し寄せてくる。


「五島さんはあの後仁村さんに連れられて病院に直行したっす。すぐに彼から私の方にも連絡がきました。そこで緊急手術になって麻酔を打たれて、丸一日ぐらい眠ってましたみたいっすよ。そこでいったん目を覚ましたんすけど、五島さん覚えてないっすか?」


「えっ覚えてないな。・・・・・記憶にないけど、本当に?」


「はい。小説書きたいから早く退院させてくれっ~安西、安西~!って女の看護師さんに抱きついて、パニックみたくなったらしくて、そこでしょうがなく私が呼び出されて、頬をブッて眠らせたんですよ、すんません。でもホント大変でそれからまた眠ったまま病院で2日過ごして、私の家に連れてきて1日ほど経って、ようやく今目が覚めたって感じなんすけど」

「そんな、ウソ!?それはほんとゴメン。ほんと色々迷惑かけたみたいだね」


「いや全然私は頼ってもらえていいんすけど・・・・・、あっ、あの後どうなったか知らないっすよね?今ちょうどニュースやってるんじゃないっすかね。見てみます?」

 

 そう言って安西さんがテレビをつけて、ニュース番組にチャンネルを合わす。


≪―南海トラフ大地震に見舞われた○○半島の被災地域における、敵性工作員との衝突事件の続報です―――。

当初から救援隊を装った集団の不審な動きに気付き、独自に追跡調査を始め、果敢に交戦までおこなった地域衛生保全部隊、通称C3隊員たち――。

その結果、不運にも尊い犠牲となってしまった彼ら5名の隊員たちの通夜葬儀が、昨夜しめやかにとり行われました―――≫


「犠牲!・・・・・・、葬儀ってまさか!?」


「そうっす、ショックっすよね。彼ら、五島さんと同じシールド任務にあたっていた人たち、みんな亡くなっちゃって・・・・・、ホント五島さんもかなり危なかったってことっすよね」

 何故か安西さんが申し訳なさそうな顔をして、下を向く。


 私と共に外国勢力と思しき救助隊への調査活動任務をおこなっていたシールド隊員たち、その私以外の全員が、敵国のスパイだった奴らとの交戦で命を失ったという情報が流れる。


「確かあの時羽村くんのことは危ないと心配していた。けど彼はレーザーガンで撃たれて、あれは敵によるものじゃなかったはずだ・・・・・」

 思い返してもまさかそこまで深刻な事態になっていようとは、今更ながら自分の行ったことへの後悔が湧き起こる。


「ええ、彼は五島さんたちの仲間の誰かに撃たれたみたいっす。でもそこで五島さんが相手をすぐ撃って、そこから残りのシールド隊員たちは相手との交戦状態に入ってたみたいっすよ。そりゃ相手はモノホンのプロっすから、残念だけど装備にも劣る我々では勝てる相手ではなかったっすよ。あの作戦を考えた人が悪いっす」

「そんなバカな、何でそんなことに」


 その後ニュースを見ながら彼女の補足情報も聞いているうちに、現在の状況が分かってくる。


 あの後、我らシールド隊員を皆殺しにした敵国工作員を撃つために、密かに控えていた我が国の警察組織や、国家防衛隊が動員され、あの半島全域を対象としたスパイを一掃するための駆逐作戦が開始されたという。


 現在はまだ作戦途中段階だが、既に十数人もの敵国スパイを発見し、散発的に衝突が繰り返され、その被害は概ね相手国の工作員に出ているという。

彼らがアジトにしていた場所もいくつか発見し、順調に壊滅させていってるとのことだった。



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