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紬ちゃんは驚かせたい  作者: ミズヤ
第一章
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第9話 なんだかんだ言って心配してくれる空さん

 次の日。今日はいつもより早く目を覚ました。


 すると珍しい光景を見ることができた。


「……幽霊って……寝るんだなぁ」

 俺の横で紬ちゃんが寝ていた。


 幽霊だから俺が起きるまでずっと何してるんだろうと思ってたら、横になって器用に床から少し浮いた状態で寝ていた。

 まぁ、今日の朝は驚かされなかっただけマシか。


「……しかし可愛いな」

 寝顔がいつも可愛いのに更に可愛さを引き立てている。

 なんと言うか保護欲が湧いてくるというか。でも保護と言ったって紬ちゃんを誰から保護するんだ?


 そして少し頬を人差し指でつついてみる。すると「ふへへへ」と擽ったそうな声を出した。可愛い。

 何この可愛い生物。俺だけが触れられるんだぜ? まぁ、触れられるからってどうと言うことは無いけどな。


 まぁ、楽しむのはこれくらいにして準備するか。

 そして自分のタンスから服を諸々取り出して着替え始める。


 その時、紬ちゃんが「ふみゅ〜」と言う声を出しながら起き上がった。起きたようだ。

「おはよう」

 挨拶すると紬ちゃんも目を擦りながら「おはようございますぅ」と寝起きだからだろうか。昨日よりも自然な甘い声を出しながら挨拶してきた。


 そして一回中断した着替えを再開すると──

「んにゃっ!? 才間さん何やってるんですか何脱いでるんですか!? や、やっぱりペドマさんだったんですか!? 触れるからって脱いで私に何をするつもりなんですか!? ゆ、幽霊だからって犯罪なんですよ!!」

「何もしねーよ! 俺はただ着替えをしようとしていただけだ。変な勘違いすんな!」

 俺は幼女には興味ねーからな!? 俺は性犯罪者じゃないからな!? もう一度言う。俺はロリコンじゃね〜〜っ!


「まぁ、必死に否定するところは怪しいですが、なんでそんな服着てるんですか?」

 小学生には見慣れない服なんだろう。

 だって俺は今、学校の制服(・・・・・)を来ているのだから。

 なぜなら今日から学校が始まるからである。


 本当なら引越しの疲れもあるからもうちょっと休みたい所なんだがな……。まだ開けてないダンボールもあるし。

 ゲーム機や一部の服なんかは取り出したがまだ開けてないのもある。

 そのゲームだって昨日茅良木さんとやったゲーム以外は取り出していないし。

 まぁ、最近は忙しかったから積み上がったダンボールのひとつしか開封してないからな。


 今でも積み上がったダンボールは部屋の隅で存在感をアピールしている。

 テーブルなんかは元からあったが、テレビは高校の入学祝いに父さんが買ってくれた。「友達と遊ぶなら外よりお前は内でゲームしてる方が好きだろう?」と。

 その後「まぁ、お前に友達が出来ればの話だけどな」と言われてカチンときた。

 俺にだって友達くらいいるから。しかもこっち来て早々に可愛い女の子と友達になったからな。絶対もっと作って見返してやる。


 まぁ話が脱線していたが、俺はそんな訳で制服に着替えている。

「今日から学校なんだよ。俺は高校生だからな」

「そうなんですか。じゃあ着いていって良いですか?」

「なんのために?」

 着いてきてもいい事は無いだろうに。

「暇なので、高校生の勉強を見てみたいんです」

 まぁ、幽霊だから何にも触れられなくて暇なんだろうな。


「多分問題ない。視認されないモードになっとけよ」

「分かりましたっ!?」

 紬ちゃんはビシッと敬礼のポーズを取る。

「よろしい」

 そう言って紬ちゃんと話しながら支度してた俺は支度が終わり、玄関から外に出る。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 このアパートは俺の通う学校に近くて学校に通うには便利なんだ。

 徒歩で10分もかからずに学校に着く。そんな距離だ。


 すると同時に家を出た人が一人。

 お隣さん。つまり空だ。

「あ、海ちゃん! おはようございます!」

 笑顔を浮かべながら空の事を海ちゃんと呼んで挨拶する。


「……え? 海ってのが空の本名なの?」

 そこでやっと海ちゃんの意味を察せた。

 多分紬ちゃんはずっと空の事を呼んでいたのだろう。


 するとやはりラグがあるようで、数秒時間が空いた後「ちっ」と舌打ちが聞こえてきた。

「なぁなぁ海ちゃん。そうなんだろ海ちゃん?」

 何度も海ちゃんと連呼すると空は数秒してドスの効いた声で「うざい」と言い放ったあと、何かのコントローラーを持ち出してスイッチを押した。


 すると空の背負ったリュックからグーの形をしたアームが飛び出し、俺の顔面を思いっきり殴った。

「いって!」

 アームの勢いに負け、そのまま背後に倒れて尻もちをつく。


「調子にのらないで」

 この子、あんな可愛い顔して背中に凶器仕込んでんのかよ。

 このご時世、何があるかわからないもんだな。


「……悟ったような表情をしてますけど才間さんが完全に悪いです」

 紬ちゃんにも言われてしまった。

 確かに今のは自分でもうざいなと思ってしまった。


「同じ学校」

 空はそう呟いた。

「早く立たないと遅刻する」

 そう言い放ってから空はゆっくりと歩いていった。


 なんだかんだ言って心配してくれてるのかな?

 まぁ、実際にそんなこと聞いたら「調子に乗らないで」と言ってもう一発与えてきそうだから聞かないがな。


「んじゃ俺らも行くか」

「はいっ!」

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