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「ジャーナリストを目指すうちにな、一回危ない目に遭ったんだ。
本気で死にかけた。
コンクリートで膝まで固められたんだ、実際に。
東京湾に沈められるっての、あれ、漫画やドラマの中の話だけじゃあないんだな。
それから俺は、護身に気を遣うようになった。
手始めにスタンガンだな。
定番中の定番。
本当はガスガンが良かったが、一八歳になってないからまだ買えなかった。
で、今年の一八の誕生日だ。
従兄にあらかじめ頼んどいた改造ガスガンをもらったんだ。
試し撃ちは公園でやった。
木を狙ったけど思ったより難しくて、ほとんど命中しなかった。
そうこうしていうるうちに幼稚園くらいの男の子が親を連れて公園に入ってきたから、俺は帰ろうと思った────でも、ふと、俺の中で魔が差したんだ。
護身用だったら、撃つのは人間じゃないか、と。
気付いたら男の子は泣いてて、細い足から血が出てて、俺は逃げ出してた。
一人撃ったくらいでこのザマだったら、大勢に囲まれた時にどうする?
俺は考えた。
──人を撃つことに慣れた方が良い。
今思えば、本当にどうかしてる。
でも、その時はそう思ったんだよ。
だから、登下校中とかに、人ごみに紛れて撃った。
雨の日はどうせ当たらないし大人しく家に帰ったよ。
気付けばガスガンで人を傷付けることに楽しみを見出している自分がいて、世間で『鎌鼬』だのなんだの騒がれてるのは俺なんだ、って思うとなんだかすごいことをしている気分になって、俺はますます人を撃つようになった。
でも昨日、お前のお姫様に犯行現場を見られた。
だから一計を案じたのが──まあ失敗に終わったわけだが、しーちゃんを『鎌鼬』にしてしまうことだった。
いやまさか、お前に、いやお前らに、こうまで事件の真相を見抜かれるとは思わなかったよ。
去年も同じクラスだったけど、正直見くびってた。
お前ら二人、ホント探偵みたいだぜ、マジで。
羽生、首、ごめんな。
あと、皆も。
謝って許されることじゃないのはわかってるけど、でも、謝らないことで得する誰かもいないんだ。
本当にごめん」
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