新しい世界?
二話目です。
話のペース遅いです、、
気がつくと、そこは一面真っ白の世界。
「私は……」
と覚えている限り最も新しい記憶を引っ張りだそうとした。
とりあえず思い出せたのは、【自転車 転倒 トラック】のみであった。
「……これ多分死んだやつじゃないの?」
自問自答してみる。
思い出せる事は少ないが、なんとなく想像できた。
恐らく自転車に乗っている時に転倒し、そのまま轢かれた―と。
「ハァ… つまんない人生だったなぁ…」
小さい頃、家族に囲まれて幸せそうに天国に行った祖母を見て
「私もどうせ死ぬなら、こんな風に幸せに死にたい!」って思った。
二十代前半で素敵な男性と結婚。
子供も二人くらい欲しいなー。
苦労の末、子どもたちも立派に成人して、社会人になって、結婚して元気な孫の顔見せてくれる。
最後に
「私はいつも天国でみんなのこと見守っているから。
だからそんなに泣かないで…」
とか言いたかった。
…けどなにこれ?
見届ける人が家族どころかトラックってなに?
もはや人ですらないじゃん、鉄じゃん。
鉄に囲まれて死ぬって何よ?
どんだけ鉄好きなのよ。
しかも私に至っては囲まれてすらないじゃん。
一台じゃん。
「たまたま通りかかりましたー」
的なテンションじゃん。
お通夜とかどーすんのよ?
なに?お坊さん一人で合唱させんの?
新手のいじめですか?
そんなに嫌われてんすか?私。
スドォォォォォン!!!!!!!!!
「!!!!????」
そんな霊花の目の前に落雷の様な音と同時に何が落下した。
立ち昇る煙、えぐれた地面。
霊花は驚きながらも、自分が生きていることに安堵した。
「…いや、でも私ってもう死んじゃったんだっけか?」
そんなことを考えていた霊花の前に一人のかなり小柄な老人が一歩踏み出した。
その老人は長髪かつ白髪、目は開いているのかいないのか、わからないほど細い。
白いローブををまとい、聖人とも称されそうな雰囲気である。
恐る恐る霊花は尋ねた。
「あのぉ… どちら様でしょうか?」
「え?」
あれ?きこえなかったのかな…?
「えーと、あなたは誰ですか?」
「ほぇ?」
耳悪いのかな…?
「お名前は…?」
「はぁ…?」
聞こえないから何言ってもいいや。
「おいクソチ…」
「だれがクソチビじゃ!このアマァ!!」
怒られたわ。
やっぱりきこえてんじゃん…