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入部初日は絵の具で歓迎

 翌日のHR終了後、見覚えのある女子が僕に話しかけてきた。

「じゃ、部室に行こッ!」

 ───…名前、何だっけ?

 少し金髪気味の茶髪というか、光のあたり具合では完全に金髪に見える髪に、少し色素の薄い目─。

 ───駄目だ。思い出せない…。

 「一二三四」で「ひふみよ」だっけ?

 ……違うな。

 また嫌な顔をされるだろうが、しかたない。

 これで何度目だろう?そう思いながらも、僕は四ノ三八に名前を───四ノ三八?そうだ、四ノ三八だ…!

 何故だろう、名前がわかると途端に気分が良くなった。

 少しニヤケ顔になりながら歩いていたら、四ノ三八に「気持ち悪い」と言われたがそんな事もどうでもよくなるほど、珍しく上機嫌だった。


**


「ここが部室だから」

「ここ…が?」

 そこは、校舎から少し離れた所にある、何年か前まで使われていた体育館だった。

 確かに、うちの美術部はいろんな意味で凄いらしい。いろんなってところが少しひっかかるけど…。

 でもだからって、こんなに大きい体育館が部室って──。

「さあ入って!手続きはできてるから」

 うちの高校には「文化系の部活動をする生徒は美術科に通わなければいけない」という校則がある。四ノ三八が言っている“手続き”とは、僕が普通科から美術科へ移動するための手続きのことだ。

 そしてここで矛盾点が表れる。

 どうして四ノ三八は普通科に通っているのか。と、ここへ来るまでに聞いてみたが、後でわかるの一点張り。

 問いただすつもりは無かったから、それ以上は聞かなかったけど……やっぱり気になる。


 ───ガチャ。

 そうこう考えているうちに、四ノ三八が扉を開けた。

 ────ベチャッ!

 その瞬間、僕の顔に大量の絵の具が飛んできた───。

「入部おめでとう!」

「…はぁ?」

 “おめでとう”なんてふざけてる。

 何なんだ、ここの美術部は…。

 ───ああ、身体中ベトベトで気持ち悪い。

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