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召喚士リルナのわりとノンキな冒険譚  作者: 久我拓人
冒険譚その4 ~ノロイの魔女とノロイのサムライ~

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30/304

~ノロイの魔女とノロイのサムライ~ 1

●リルナ・ファーレンス(12歳)♀

 召喚士 レベル1

 心:普通 技:多い 体:少ない

 装備・旅人の服 ポイントアーマー(肩&左胸)マント 倭刀(非装備)

 その日、サー・サヤマ城下街の商業区の一角、冒険者の店『イフリート・キッス』の食堂にて、リルナ・ファーレンスは腕を組んで悩んでいた。

 先輩冒険者たちが出かけたり休息を取る中、午前中という時間帯もあってか、ちらほらと客は居るものの、まだ客足はお酒へと向いていない。昨夜のアルコールの匂いは漂っているが、それは香りだけ。エールや果実酒はカウンターよりこちら側には並んでいなかった。

 一階の食堂にはリルナ一人だけ。カウンターの向こうでは宿の主人であるカーラが片腕で頬杖を付いている。いつも通りの二日酔いを気力と根性で強制的に回復させているらしい。彼女に魔法の心得があるならば解毒の魔法を真っ先に取得するに違いない。


「う~ん……」


 リルナが腕を組み考える、そのテーブルには少し大き目な皮袋。その中には、四百枚のギル硬貨が詰め込まれていた。

 その銀色の硬貨はパペットマスターの情報だけで手に入れた報酬であり、リルナにしてみれば、いまいち実感の沸かないお金だった。降って沸いたお金、ではなく、霧のように漂っていたお金、とでも言えるだろうか。大きすぎる金額の上、さして苦労して手に入れた訳ではないので、どうにも持て余してる感が強かった。

 その使い道を考えるのが、ここ数日のリルナの日課にもなっている。


「ウチに寄付しない?」

「それでもいいですけど……」


 イフリートキッスの一日分の宿泊代は500ガメル。ガメル硬貨は銅貨であり、1000ガメルで1ギルとなる。400ギルあれば、800日間、宿泊できる計算だ。

 ちなみに500ガメルで泊まれるイフリートキッスが異常なだけで、他の冒険者の店はおよそ1ギルか2ギルだ。普通の宿となるともう少し高く、5ギルや7ギルとなる。


「あ、寄付したらシャワーとか付かないですか?」

「う~ん……そりゃ難しい話だな。取り付ける時に、あんた達を全員追い出さないといけないからねぇ。こんな事なら最初に付けとけば良かった」


 カーラはそういって苦笑した。

 それならば近くの小川に女性専用の小屋を建てた方がマシなのかもしれない。もっとも、リルナ自身、そんなボランティア精神に溢れている訳でもないので、寄付する気なんて更々に無かった。


「どうしようかな~」

「素直に預けたらどうだ?」

「それも勿体無い気がする……」

「まぁ気持ちは分からんでもない」


 冒険者の店では、所属している冒険者の所持品やお金を預かることもしている。ちなみにお金は経営に回されているので、タイミングが悪いと返してもらえなかったりする。お店とケンカして所属を離れる冒険者も少なくはない。どこの国でも、お金と女性でもめた結果は、言わずもがな、だ。イフリートキッスにおいては女性問題は起こらないが。


「じゃ、いっその事、高い買い物をしたらどうだ?」

「高い買い物?」


 リルナが聞き返した時、カーラはニヤリと笑った。

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