混乱
「ひっ人違いです! 私は……」
「何を仰るのですか。貴女様はどこから見ても、スフィーリア=ネロー様ではありませんか。私は騙されませんよ」
よほど、私は似ているのかシャダイさんは私が、スフィーリア=ネローさんでは無いことを認めようとはしない。
そもそも、私の話を聞かずに勝手に話を進めてしまっている。随分と我が強いようだ。
「そんな茶番はこれまでにしましょう。改めてまして、私の名前はシャダイ=アレスターといいます。スフィー様に仕えさせて頂くものです」
シャダイさんは、私に大きくお辞儀をした。
真面目なのかなんなのか、挨拶は何回目かわからない程。
「では参りましょう」
彼は私の腕を掴みどこかへ連れ去ろうとする。
反射的に振りほどいた私を不思議そうに見つめる。
普通に考えておかしいでしょ。
「あの、どこにいくのですか! えと……シャダイさん」
「どこにって、ソラルド伯爵の屋敷に決まってるではありませんか」
そんなことなぜ聞くのかわからないかのように、彼は私を見つめる。
だが、私はスフィーリア=ネロー様ではなく城田泉。わかるわけもなく。
「ソラルド伯爵って誰ですか! ちゃんとしっかり説明してください!」