三 得体の知れないもの
「危ない」
そんなふうに割ってはいったのがいけなかった。
平穏無事を祈って遠くから見ていればよかった。
でも僕にはそんなことができなかった。
考えるよりもはやく体が動き出していた。
その得体の知れないものの攻撃から光を守るために…。
その得体の知れないというものは、真っ黒い塊だった。
人とか生き物という風には、感じなかった。
というより生きているという気がしなかった。
そいつらが出てきたとき辺りに少しずつ闇が広がってきた。
まるでそいつらが引き連れてきたかのように。
同時に冷たい空気も漂ってきた。
最初は気のせいだと思った。
現実にこんなものが存在するなどありえない。
僕のなかにある常識がそううたいかけていた。
がそれが間違いだとすぐに思った。
実際にある威圧感・恐怖それらがすべてを物語っていた。
もはやおばけとか怪物とかいった類のものとはレベルが違う。
冗談まじりのそんな話とは違う。
何かにつけて圧し掛かってくる重圧がそううたいかけていた。
そしてなによりもそいつらの引き連れてきた闇によって辺りが暗闇にされた。
もはや疑う余地は残ってなかった。
そしてそいつらは、あきらかな敵意を持って光を狙っていた。
目がどこにあるかわからないが光を取り囲むように集まっていく。
光は、そいつらに囲まれても怖がらないようだった。
僕の目がおかしくなったのか光の回りが本物の"光"に覆われていくようにみえた。
辺りに広がった闇や冷たさは、その光に触れて消えていく。
温もり暖かさ何か心を揺さぶられるような光だ。
じわじわと黒い塊が光に向かって近づいていく。
その中の一匹が光に向かって飛び掛かった。
そのときだった。
僕は光に向かってくる黒い物体にむかって僕は飛び掛かったのは。
がしかし僕の体当たりは、むなしく空を切った。
あったはずの存在。
触れるはずだった存在。
その存在は、彼女の回りにある光りに触れると同時に消えてしまった。
なぜ消えたのだろうか僕にはわからなかった。
「君…どうして」
彼女は、かなり唖然としていた。
途中で言葉は終わってしまった。
が続きははっきりと分かる。
ここにいるの…だ。
ここにいる理由。
それを聞かれると困るので僕は、先手をうって話し掛けた
「あいつら一体なんなんだ??」
「えっ」
彼女は、さらに不意をつかれたようだった。
「それは…危ない」
話に気を取られていた。
後ろから迫ってくるあの得体の知れないものに気が付かなかった。
振り向いたらもう目と鼻の先にそいつはいた。
がそいつが僕に当たったと思った瞬間またそいつは、消えてしまった。
彼女の回りに漂っている光に掻き消されたように。