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光り  作者: 桜桃 ユメ
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一 月夜の少女

月が朧げに見える夜。

池の中央。一人の少女が静寂の中たたずんでいる。少女の悲しげな顔が水面に映る。夜も遅いせいか池の周りには、人っ子一人いない。辺りには、人工的な明かりはない。だから月以外彼女をてらすものはない…はずだった。しかし彼女の“立って”いる所だけは、光っていた。そのせいか少女は幻想的に見える。そうまるで絵本から飛び出した妖精のようだ。その光は、ほたるのようだった。いやそれは、まさにほたるそのものだった。だがそれは、池から集まってきたものではなかった。少女の手のひらからひとつまたひとつとでてきているものだった。それの姿は、さながらマジシャンのようだった。それは、ハトを次から次へとだすように軽やかに出てくる。少女が軽く手を閉じ自分の顔の前に手のひらを持っていく。まぶたをゆっくりと閉じ、手に少し力をいれる。そして手をゆっくりと広げると…雪がゆっくりゆっくり落ちてくるように…そのほたるたちは、少女の手のひらから少女の足元へと落ちていく。一回で出せる量が決まっているのかしばらくすると…同じ動作を繰り返す。少女の足元に落ちていき、雪が積もるようにダンダンと重なっていく。 そして一定量集まると…ほたるたちは、大きさと光りをまし少女の周囲を自由に飛び始める。まとまりのなかったほたるたちは、次第に少女の体を覆うようにあつまりだす。まるで光のかべを少女の周りに作るかのように…。あと少しで少女が光のかべで覆われそうというとき…少女は、小さな声でそれでいてはっきりと発音して

「始まる。そして終わりにしよう」

といった。その瞬間…強力なプレシャーが辺りを覆いつくした。そして周りにあった木々を押し倒して何かが少女に向かって迫ってきた。それは、波動のようなものだった。風が切り付けるかまいたちによく似ていた。ただ破壊力はそれの比ではなかった。押した倒された木々が物語っていた。とうとう少女の体全体が光りに覆われた。その次の瞬間それは、少女を覆いつくした光に衝突した…そしてほたるたちが四方に飛び散った。するともうそこには、少女のすがたはなかった……

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