惨劇ノ夜
「うおおおお‼」
パチンッ‼
オレは残った最後の駒を動かす。
「な、なんだと⁈こんなことが・・
こんなことが・・・」
ベラはガタッと椅子を倒して立ち上がる。その表情はとても困惑に満ちていた。
「うぅ・・・・こんなことが・・」
「おい‼オレは駒を動かした‼
さあ、お前の番だ!」
オレはいつのまにか目の前に置かれていた紅茶をいっきに飲み干す。
「コウスケ・・・大丈夫?」
陽歌はハンカチでオレの汗を拭いてくれていた。
「ふふ・・・・・」
ベラは下を向いて俯いていた。
よほど、あの一手がこたえたのだろう
「ふふふ
フハハハハハッ‼」
ベラは突然、笑い始める。
「残念でした‼まんまとハマってくれたなぁ⁈
これで、あんたが大魔女以上の魔力を持つバケモノという事実が明らかになったわ
あっひゃっひゃっひゃっひゃ‼」
ベラはこれ以上ないような憎たらしい声でゲラゲラと笑う。
「コウスケ・・・」
「クソッ‼オレは罠にハマったのか。」
まるで、登るだけ登らせられて突き落とされた感じだった。
「お前だけじゃないぜ?
ほら、ムゲンノセカイのセカイを見てみな、あんたが動かした駒が面白いことになってるぜぇぇ‼」
ベラはオレの頭を鷲掴みにするとゲーム盤に頭を押し付ける。
「これが、お前の一手だ。あっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ!」
ームゲンノセカイー
「周りにはどうせまだ魔法陣を隠してるんだろう。だから、こう追い詰めて
罠にはめようしてるんだな。」
ナツメは戦いの勘で罠を見抜く。
「ブラボー‼よく我の罠に気がついた。
流石キメリエスの兵隊だ。」
ベラはパチパチと手を叩く。
「お前らが余りにつまんねーから
遊んでやろうかと思ったが気付いちまうんだからなぁ。」
ベラは指を鳴らす。
すると無数の隠れていた魔法陣が姿を現し中から色々な悪魔が姿を現す。
ナツメに戦う気力は残ってはいない。
かと言って右も左も逃げ道はない。
そう、アルバも諦めた完全なチェックメイトの状態だった。
「右も左も逃げ道はない。なら!」
ここからが、コウスケが駒を動かしたところである。
ナツメは空をチラリと見る。
空には魔物は一切いない。
ただ黒い月があるだけである。
ナツメは最後の魔力を振り絞って
バズーカを装備する。
「ほほう、最後に何匹か倒そうとするか。兵士の心意気には只々感服するなぁ。ククッククク。」
ベラは笑い声を押し殺しながら嘲笑う。
「最後?笑わせるな!コイツの使い方はこうだ!」
ナツメは地面に向かいバズーカを放つ。
そして、その爆風で空へと飛び上がる。
「じゃあな。ベラ=マリルート!」
「じゃあな。キメリエスの兵士よ。
永遠に。」
ベラはニタァと笑う。
うまくいったと思った瞬間、意識が朦朧となる。
身体が軽い?と感じる その前に身体が動かない。
身体を見てみる。
胸より下がすっかり無くなっていた。
「あ・・・う・・・ぁ」
声も出ない。仰向けの状態で今度は落ちて行く。
ぼんやりとした意識の中で最後に見たのはふたつの月だった。
一つは紅く染まった月そして、もう一つはニヤニヤと邪悪に笑う黒い月・・・
そして、黒い月の口には千切られた私の身体があった。
そうか、私はコイツに殺されたのか
そこで、完全に彼女は息を引き取った。
ドシャッ‼
地面に上半身だけのナツメが落ちてきた。ベラはドラゴンから降りてナツメに近づくと靴で頭を踏みつけ始めた。
そして、高らかに笑っていた。
ー夢幻ノセカイー
「ひでぇ、酷すぎる‼」
「そなたが動かしたのだろうが。」
ベラは淡々と言う。
しかし、口元は笑っていた。
「なんで、あんな惨い殺され方をされなきゃなんねーんだ?」
「それをそなたが動かしたからだ。
アルバは助からないとわかって放置したのだ。それが1番安らかに眠れるからな。しかし、貴様はくだらぬ情に流され、あやつに最悪の最後を与えたのだ。」
「いや、別に責めてるワケじゃないんだぜ?だって、あのほうが楽しかったからなぁ⁈煉獄の破壊王“攻城の月”も
楽しそうだったからなぁ。」
オレは何も言えない。すべて、オレに責任があるのだから
「さぁ、鑑賞会は終わりだ。ソナタ等にはまだ、ルフと遊んで貰わないといけないからなぁ。
あっひゃっひゃっひゃっひゃっ‼」
意識が遠くなる。これが元のセカイに戻る合図だ。
ームゲンノセカイー
きがつくと目の前にはあの黒い怪鳥がいた。
魔女は夢幻ノセカイでチェックを宣言した。




