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意味がわかると怖い話、にせもの

作者: フジリナ
掲載日:2026/06/22

意味がわかると怖い話。

始まります。解答編はあとがきにて。

 私はとある田舎に暮らす、女性です。

 車で移動しないと、目的地に着くのがとても面倒です。その田舎は、最近は新興住宅地で、ショッピングモールができたりしている、とても盛っている地域です。


 ◇


 ある日のこと。私はいつものように、仕事から帰り、家に入り、そして荷物を片付けた。

 荷物を片付けてシャワーを浴びた後に、鏡を見た瞬間。

「―――みつけた」

 とヒヤリとする感覚が。

「…誰?」

 後ろを振り返る。―――誰もいない。


 私が鏡を見ると、映っているはずの『私』がいない。

「なんで」

 『私』はどこに行ったのか。鏡から出てきた、あいつはどこだ?

 いつの間にか、私は『双子』になってしまったみたい。

 

 私は意味がわからないまま、寝に入ることにした。けれど、あの時の一瞬の出来事が忘れられない。

「みつけた」

 と、私のようで私じゃない声。

 あの女は一体、誰なんだ。そんなこともあって、私はあまり寝付けられなかった。


 梅雨の朝。私が何気なくSNSを見ると、地元の同級生らしき投稿が、目に映った。

「ねえ、昨日の夜にA奈見なかった?A奈さ、いつもの短髪で、メガネ姿だったけど。」

「夜にあまり出歩くような子じゃなかったよね」

「本人に聞いてみるか」

 私は地元の同級生に、「この時間は、家にいて寝ていたよ」と言うも、

「マジ?A奈さ、オレが話しかけたときさ、『あなたはシステムの歯車でしかないんだから。あの子と一つになることで、「わたし」は揺るぎなくなるの』って意味わからんことを言うんだよ」

「私もさ。A奈さ、こんな事言うのかなって思ったの。『あなたは家には帰れないわ』って」

 全く持って聞き捨てならん、哲学ぶっているようで、絶望を煽るようなことばかり言う。確かに、私は世の中に諦念を持っているけれど、そこまで友人に対して過激なことを言うのはなかった。

 過激なことを言うと、両親に叱られるし、先生にも叱られるからやらないのに。


 私は仕事帰りに近くのショッピングモールに向かった。ただ、閉店間際だったので、誰もいなかった。

 女子トイレ内で泣いている声が。私が向かうと、そこにいたのは、

「もうひとりのわたし」だった。

 女子トイレと洗面所。やはり共通していたのは、『鏡』があることだ。ショッピングモールなどのトイレに向かうと、鏡が反射しあって、虚像の回廊と呼ばれるような、そんな現象が起きるから、いつ異界への扉が開いても仕方ないと思えた。

「何を泣いているの?」と私。

「気がついた?…私はいつも、理性に抑圧されているんだ。そう、こういうふうに振る舞わないといけないし。私は、他所の地域の学校でいじめられたんだし。そんな怒りを、抑圧してもいいの?私はいつも泣きたいんだ。怒りを吐き散らしなよ」

「かわいそうに。」と私。「…復讐は何も産まないんだよ。それでもいいの?感情に忠実なままでいいの?」

「そうだよ。前の会社でもいじめられたんじゃない。気に食わないからって」

「―――それは、相手の問題だよ。手を取って」


 

 ◇


 後に、もうひとりのわたしを連れて、近所のお寺へ。若い住職が迎えてくれた。

 それで、服をよく見たが、鏡らしく反転している文字が。私はよく動物や文字のプリントTシャツを着ているが、まさに鏡文字の服を着ている。

「A奈さん、来てくれてありがとうございます」と若い住職。

「彼女は、もうひとりのわたしなんですが、よく見てみたら、過去のトラウマで『泣いている』んですよ。」と私。

「…あなたの、抑圧されていた、悲しみの念が鏡を通して、具現化されたんです。ですが、その過去の残滓は、川の流れのように、流していきましょう。」と若い住職。

 若い住職は御経を唱えた。すると、もうひとりのわたしはいなくなった。


 

 ◇


 その後、彼女はいなくなった。

 私は仕事をしながら、たまに鏡を見つめている日々。すると、鏡の私は私に向かってにこりと笑っていた。

 で、仏壇には亡き祖母と祖父の写真。そしていつしか撮られていた、鏡の私。

「…これからも、私は私自身を大切にしなきゃ」 

 亡き祖母は、4月に亡くなった。今は6月だ。

さあ。A奈さんは鏡の自分が出てきて、地元の人達を巻き込んで、ショッピングモールで手を取り合って、お寺へと向かい、鏡の自分を成仏させました。

で、鏡の自分の隣には、亡き祖父母の写真。実は、この鏡の自分は、単なるA奈さんの悲しみの残滓ではありません。そう、亡き祖母が、あまりに孫のA奈さんのことが心配で、わざわざ彼女の鏡の姿で、この世に現れたということです。6月ということは、そう、関東地方において盂蘭盆会が行われる、一ヶ月前ということです。

意味がわかると怖い話、また短編として書いておきますので、またお会いしましょう。

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