表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/140

第五章 80 "禁断のピラミッドへの旅"


「私と共に行く者は、誰だ?」




ズーロの挑戦的な問いが終わると、会議室に、気まずい沈黙が訪れた。誰も、名乗り出なかった。戦士たちの眼差しは、躊躇に満ちていた。「神聖なるものへの畏怖」と、「戦争への絶望」との間の、葛藤。




ズーロは、その光景を見て、理解した。彼は、怒りも、失望もしなかった。だが、彼は、これまでの指導者たちとは、違うことをしなければならないと、知っていた。




「諸君の恐怖は、理解できる。そして、諸君の信仰にも、敬意を払おう」ズーロは、落ち着いた声で言った。「だが、古き規則に固執するがために、我々が、緩やかに死んでいくのを、見過ごすことはできん」




彼は、忠実だが、恐怖に満ちた戦士たちを見た。「ならば、誰にも、強制はしない」




「諸君の、今の任務は、ここの防御を、最大限に固めることだ。そして、私の帰りを待て」彼は、一瞬、言葉を切った。「だが、3日が過ぎても、私が戻らなければ、もはや、待つな。散り散りになった我々の同胞を救出し、当初の計画通り、都市アンフリンにある、奴らの基地を、攻撃しろ。私の犠牲を、無駄にするな。それが、私の、最後の命令だ」




ズーロは、踵を返し、一人、去ろうとした。




「待て!」エラーの声が、響き渡った!彼は、戦士たちの中から進み出て、ズーロの隣に立った。「一人で、楽しもうというのか?私も、行く」




ズーロは、彼の戦友の顔を見て、ゆっくりと頷いた。「では、先に行く」




その言葉を最後に、二人の若き戦士の姿は、荒涼とした砂漠の中へと、消えていった。禁断のピラミッドを目指して。




---




ズーロとエラーは、荒れ果てた砂漠を、禁断のピラミッドへと向かって、旅をしていた。しかし、その道中、彼らは、戦闘の痕跡に、遭遇した!




ある狭い渓谷で、彼らは、何十体ものシンスロインの群れが、誰かを包囲しているのを目撃した。しかし、その包囲の中心にいたのは、弱き犠牲者ではなかった。優雅で、威厳のある、一人のファイトールの女戦士だった。彼女は、サイキック、魔法、そして武器を、驚くほど巧みに組み合わせて、戦っていた!片手で、機械犬の群れを薙ぎ払う、サイキックの鞭を創り出し、もう一方の手では、レーザーピストルで、ドローンを正確に撃ち落としていた!




「誰だ、あれは?」エラーが、囁いた。




「高等な戦士だ。あの、装甲の紋章を見ろ」




しかし、状況は、悪化した。「リーパー」が、三体、崖の上から、戦場へと、飛び降りてきたのだ!女戦士は、一瞬、動きを止めた。その隙を、シンスロインの群れは見逃さなかった!




「エラー!右の奴を!俺は、左をやる!」ズーロが、咆哮した!




ズーロが放ったサイキックウェーブが、左のリーパーの動きを止め、エラーは、ぼやけた影と化し、右のリーパーに、二本のレーザーブレードで、襲いかかった!女戦士は、中央のリーパーへと、向き直った!




激しい三つ巴の戦いが始まり、そして、彼らの勝利で、終わった。




その女戦士が、彼らに近づいてきた。彼女の名は、ヴァルキリー。高等評議会の、護衛戦士だった。




「やるではないか、所属なき戦士にしてはな」彼女は、傲慢な声で言った。「私はヴァルキリーだ。助けには、感謝する。もっとも、私一人でも、片付けられたがな」




「名誉は、戦争に勝たせてはくれん。そして、戦友を侮辱することも、同様だ」ズーロは、彼女の目を、深く見つめた。「お前が高等評議会から来ようが、泥の中から来ようが、我々は皆、生き残るために戦っている、同じ種族の、兄弟だ」




その、率直で、恐れを知らぬ言葉に、傲慢だったヴァルキリーは、初めて、言葉を失った。




---




「貴方の任務とは?」ヴァルキリーは、司令官としての本能から、尋ね返した。




「我々の任務は、奴らを永遠に狩り続ける必要がなくなる、『道』を探すことだ。我々の故郷を、取り戻すための、任務だ」




ズーロは、踵を返し、禁断のピラミッドの方向へと、歩き出した。「もう、十分な時間を、無駄にした。エラー、行くぞ」




ヴァルキリーは、去りゆく二人の若き戦士の後ろ姿を、見つめていた。彼女は、彼らの、特にズーロの、その勇敢さと決意に、驚愕していた。(彼は、ただの戦士ではない。彼には、指導者の目がある)彼女は、心の中で思った。(そして、彼の言う任務とは、一体、何なのだ?)




好奇心と、彼女自身にも理解できない、ある感情が、その誇り高き女戦士の心に、芽生えた。彼女は、合流ポイントへは戻らず、彼らの後を、影の中から、「追跡する」ことを、決意した。




---




数時間後、ズーロとエラーは、古代の遺跡で、休息を取っていた。




「まだ、疑問に思っている。なぜ、お前が、私と共に来たのか」




「言ったはずだ。私は、お前の決断を信じている、と」




「だが、お前は、高等評議会の、王室兵士だ」ズーロは、反論した。「誰よりも、その伝統に、忠実なはずだ。神聖な場所を、『冒涜』しようとしている者に、従うなど、理に合わん」




「私の信仰は、まだ残っているかもしれん、ズーロ。だが、その信仰を『導く者』への信頼は、もう、崩れ落ちたのだ」彼は、ズーロを見つめた。「貴方は、覚えていないかもしれない。だが、私は、貴方の、生徒の一人だった。貴方がまだ、軍で、魔術師の教官をしていた頃の」




その言葉に、ズーロは、驚愕した!「私は、最後の期の、生徒の一人だった。貴方が、高等評議会の体制を好まず、普通の生活を送るために、辞職する前のな。貴方は、我々に、型にはまらない考え方を、教えた。真の力は、規則からではなく、適応から、生まれるのだと。そして、フィニトールが崩壊した日、私は、貴方が教えたことが、真実であったことを、知った」




彼は、心からの尊敬に満ちた眼差しで、ズーロを見つめた。「私は、『冒涜者』に従っているのではない。私は、私の『師』に、従っているのだ。命じられたことではなく、正しいことを、為す勇気を持った、唯一の人物に」




その時、遠く離れた崖の上で、ヴァルキリーが、遠距離盗聴器を通して、その全ての会話を、聞いていた。彼女は、理解できなかった。だが、彼女は、そこから、目を離すことができなかった。「ズーロ」という名の、謎は、彼女が想像していたよりも、遥かに、複雑で、そして、魅力的だった。




---




「過去のことは、忘れろ」ズーロは、沈黙を破るために、言った。




「私にとって、貴方は、常に師です。だが、教室の中だけではない」エラーは、真剣な眼差しで、ズーロを見つめた。「フィニトールが崩壊した時、私は、見たのです。高等評議会の者たちが、混乱した命令を出している間に、貴方は、負傷した戦士を助けるために、真っ先に、戦場へと、飛び込んでいった。貴方は、我々と、肩を並べて戦う、戦友でもあった」




「真の名誉とは、伝統に従って、愚かに死ぬことではない。生き残った、兄弟たちの命を守るために、もがき苦しむことだ。それこそが、貴方が、今、為そうとしていることです」




ズーロは、彼の戦友の顔を見て、そして、ここ数日で、初めて、心からの、理解と友情の笑みを、浮かべた。二人は、夜が明けるまで、語り合った。今や、彼らは、共に、全てに立ち向かう、誓いを交わした、兄弟となっていた。




---




新しい朝が来た。二人は、旅を再開した。彼らの目の前に、禁断のピラミッドの、巨大な影が、横たわっていた。




「あれが、我々の、最後の希望か」ズーロは、呟いた。




しかし、彼らが近づくにつれ、その希望は、絶望へと変わった。ピラミッドの麓は、既に、シンスロインの基地によって、包囲されていたのだ!巨大な生体金属の「巣」が、ピラミッドの周りに、外壁のように、築かれていた。奴らは、そのピラミッドを、「研究」し、「侵入」しようとしていた!




「奴らも、ここのことを!」エラーが、 напряженным声で言った。




「いや、まだだ」ズーロは、答えた。「見ろ。奴らは、まだ、中へは入れていない」彼は、ピラミッドを覆う、淡い青色のエネルギーバリアを、指差した。




しかし、その時、地面が激しく振動し、巣の前の砂地が、爆発した!地中から、何かが、姿を現した!それは、伝説に語られていた、「古代の機械兵」だった!岩と水晶でできた、三階建てのビルのような、巨体。その目は、まばゆい青い光を、放っていた!




「グオオオオオオオ!!!」




それは、咆哮し、最も近くにいたシンスロインの群れに、即座に、襲いかかった!




今や、戦場は、三つ巴の混沌と化した!ズーロとエラーは、狂乱した「古代の守護者」と、非情なる「異星からの侵略者」との、真ん中に、閉じ込められていた!




---




「エラー!俺に、隙間を作れ!」ズーロが、咆哮した!




彼は、目を閉じ、全サイキックパワーを、集中させた!紫水晶色のアメジストの、サイキックの稲妻の嵐が、広範囲に爆発し、周囲のシンスロインの群れを、「浄化」した!




その隙を突き、エラーは、シンスロインの巣の防衛線へと、突進した!彼の二本のレーザーブレードが、嵐のように舞い、防衛線を、一つ、また一つと、破壊していく!彼は、プラズマ爆弾を、ズーロを狙っていた砲台へと投げつけた!




しかし、爆弾は、的を外れ、そして、偶然にも、巣の中心にある、「信号塔」に、直撃した!




ドォン!!!小さな火の玉となって、信号塔が、爆発した!そして、その瞬間、奇跡が起こった!古代の守護者と戦っていた、何百ものシンスロインの群れが、動きを止め、そして、一斉に、床へと、崩れ落ちたのだ!




「エラー、見たか!?」ズーロが、驚愕と興奮に満ちた声で、言った。




「ああ、見た」エラーは、答えた。「あの塔が壊れたら、奴らは、止まった!」




それは、彼らが、これまで知らなかった、最大の発見だった!




「全員、聞こえるか!」ズーロは、コムリンクで叫んだ!「我々の目標は、奴らではない!信号塔だ!全ての塔を、破壊しろ!」




今や、彼らは、生き残るためではなく、勝利と、奪還のための、「狩り」を、始めようとしていた。




---




戦いの後、ズーロは、破壊された「信号塔」の残骸の上に立っていた。彼の目の前には、もはや、彼らの行く手を阻む、化け物の軍隊は、いなかった。




「やったな」エラーが、疲労困憊だが、安堵に満ちた声で、言った。




「これは、第一歩に過ぎん」ズーロは、答えた。「奴らは、また、戻ってくる」




彼は、生き残った戦士たちに向き直った。「諸君の働きは、見事だった。だが、今、我々の任務は、変わった。砦へ戻り、戦力を再集結し、そして、この発見を、我々の全ての同胞に、知らせるのだ」




「貴方は?」




「私とエラーは、先へ進む」ズーロは、ピラミッドを見た。「我々の目標は、変わらない。その中には、この戦争を、真に、終わらせるための、答えか、あるいは、武器が、眠っているかもしれん」




戦士たちは、心からの尊敬に満ちた眼差しで、ズーロを見つめていた。彼は、もはや、「冒涜者」ではない。希望を、取り戻した、「解放者」だった。




ズーロとエラーは、再び、旅立った。血みどろの戦場を背に、彼らの種族の、最も古い謎の中心へと。ピラミッドへの扉が、彼らを、待っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ