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第三章 69 "偉大なる原動力(2)"

--- **死への演説** ---


ジャック司令官のホログラム映像が、優雅な「ウィンターズ・クレスト」から傭兵の戦闘艦に至るまで、全ての艦の艦橋に映し出された。


「連合軍の勇敢なる兵士諸君!」ジャックは、力強く、希望に満ちた声で、宣言した。「今日、ケイレン将軍の勇敢さと卓越した戦術により、連邦の主力防衛艦隊は、全て、破壊された!首都惑星『ブラッディ・プラネット』への道は、開かれたのだ!」


多くの艦から、歓喜の雄叫びが上がった。


「これこそが、我々の最後の任務だ!連邦の首都を侵略するという、名誉ある任務を、遂行せよ!我々は、突入し、そして、何十年もの間、我々を、虐げてきた、圧政体制を、打ち倒すのだ!」


「奪われた故郷のために、戦え!亡き戦友たちのために、戦え!そして、これを、終わらせるのだ!そうすれば、我々、全員が、真の、自由を、手に入れることができる!」


「新しき夜明けのために!進軍せよ!!!」


その宣言が終わると、連合艦隊全体が、咆哮した。彼らは、ケイレンの計画に従い、進軍を開始した。自らが、「囮」の、位置へと、入っていることに、気づかぬまま。


--- **嵐の中心の静寂** ---


しかし、「ヘカトンケイル」の艦橋には、歓声はなく、ただ、冷徹な静寂だけがあった。ライトと、彼に忠実な仲間たち、「幻影ファントム・ストライク」チーム、レックス中尉、アリステア司令、そしてエヴァ司令は、その、偽りに満ちた演説を、虚ろな目で見つめていた。


「奴は、我々全員を、死地に、送るつもりだ」アリステア司令が、憎悪を込めて、囁いた。「あの、クソ野郎め…」レックスが、小さく、悪態をついた。


ライトは、何も言わなかった。彼は、ただ、嘘によって、人々を、扇動している、ジャックの映像を、見つめていた。彼は、エララの姿を、ステラ王女の姿を、それぞれ、別の艦の上で、死の罠へと、向かっている、姿を、思い浮かべていた。


**<「ジャック司令官は、『ヴィンディケーター』へと、向かい、軍を率いるようです。ケイレン将軍もまた、自らの指揮艦へと、戻っていきます」>** ライラの声が、プライベートコムリンクに、割り込んできた。


ライトは、彼のチームを、見渡した。全員の眼差しは、全てを賭ける、決意に、満ちていた。


---


首都惑星「ブラッディ・プラネット」の軌道上。ジャックの、今や主力となった艦隊が、生き残った連合軍を率いて、連邦の最後の防衛艦隊と、対峙していた。戦いは、ケイレン将軍が、立案した計画通りに、進んでいるように、見えた。それは、完璧な、芝居だった。


しかし、その舞台裏では、全く異なる、真実が、進行していた。


戦場から遠く離れた、影の中に隠れた、「ヘカトンケイル」の艦橋で、ライトと、彼の仲間たちは、これから起ころうとしている、災厄を、食い止めようと、絶望的に、試みていた。


「ダメです!」ライラが、悔しそうに叫んだ!「ジャックが、通信防御システムを、敷いています!彼の、妨害のカーテンを、突破して、我々のメッセージを、送ることができません!」


彼らは、「囮」になろうとしている、連合艦隊に、ジャックの、邪悪な計画を、警告しようと、試みていた。だが、ライトは、死んだと、信じ込まされていた。


「サラダーの艦隊も、罠へと、入っていきました」エヴァ司令が、緊迫した表情で、報告した。「彼らの、最高司令官は、私よりも、地位が上だ。私には、彼らを、後退させる、権限がない」


状況は、絶望的だった。彼らは、ただ、仲間たちが、屠殺場へと、歩いていくのを、座して、見ていることしか、できなかった。


「もし、我々が、彼らに、警告できないのなら…」ライトが、静寂の中、口を開いた。「…我々が、彼らを、助け出しに行くまでだ」


全員が、彼を見た。ライトの、眼差しに、もはや絶望はなかった。そこには、冷徹な決意だけがあった。だが、その奥深くには、まだ、マキを失った、悲しみが、あった。その傷が、彼の全ての躊m躇を、鋼鉄の、覚悟へと、変えていた。


「我々に、ジャックの計画を、止めることはできない。だが、可能な限りの、命を、救うことは、できる」


彼は、ジャックの作戦図を、開いた。「これが、ジャックの計画だ。だが、今や、これは、我々の計画でもある」


「ライラ、まだ中立を保っている、海賊たちの、システムに、ハッキングしろ。戦場から、極上の、『お宝』が、こぼれ落ちてくると、伝えろ。脱出してきた船を、『掃除』するよう、雇うんだ」「レックス、『ウォー・ハウンド』の、準備を。我々は、戦闘部隊ではなく、救助部隊として、機能する」「アリステア、エヴァ、あの艦隊にいる、貴官らに、まだ忠実な兵士たちと、密かに、連絡を取れ。混沌を、作り出し、『寝返る』準備を、整えさせろ」


「そして、私は…」彼は、巨大な「ヘカトンケイル」を見つめた。「…この船を、我々の、『ノアの箱舟』とする」


---


「囮」として、使われた、連合艦隊は、連邦の、主力防衛艦隊と、激しく、衝突した!そして、ケイレン将軍の、奇襲部隊が、計画通り、連邦の、指揮艦を、破壊した!


しかし、地上では、連邦の防衛が、予想以上に、堅固だった!連邦の、主力艦隊が、混乱し始めた、その時、ブラッディ・プラネットの、地表から、巨大な、砲口が、現れた!イオン・キャノンだ!


巨大な、エネルギービームが、地上から、放たれた!それは、ケイレンの艦隊ではなく、「囮」の、役目を、果たしている、連合艦隊へと、狙いを、定めていた!


--- **「ヴィンディケーター」艦橋にて** ---


「素晴らしい、素晴らしいぞ、将軍」ジャックは、ケイレンのホログラムを、称賛した。「貴官は、奴らの、宇宙艦隊を、破壊することに、成功した」


**<「計画通りです、司令官。ですが、奴らの、地上砲は、データよりも、強力です。我々の、囮艦隊が、甚大な、被害を、受けています」>**


ジャックは、砲撃される、連合艦隊の、映像へと、向き直り、そして、満足げに、微笑んだ。「問題ない。彼らの、犠牲は、無駄には、ならん」


彼は、絶望的な戦いを続ける、連合艦隊全体への、通信チャンネルを開いた!「勇敢なる、兵士諸君!敵の、宇宙艦隊は、壊滅した!残るは、地上防衛のみだ!」


「次の任務は、地上拠点の、確保だ!全地上戦闘部隊を、降下させ、首都を、包囲しろ!あのイオン・キャノンを、破壊するのだ!」


それは、何十万もの兵士を、死地へと送る、命令だった。


--- **「ヘカトンケイル」艦橋にて** ---


「あの、クソ野郎…」レックスが、吐き捨てた。「奴は、奴ら全員を、死なせるつもりだ!」「彼を、止めなければ!」アリステアが、焦燥に駆られて言った。


「彼を、止めることはできない。だが、彼らを、助けることは、できる」ライトが、平坦な声で言った。


彼は、指揮官の、玉座へと、歩み寄り、そして、反逆の、最初の命令を、下した。


「ライラ!我々の、全ての降下艇の、システムに、侵入しろ!彼らに、新たな、着陸座標を、送信するんだ!イオン・キャノンから、遠く、離れた、座標を!」「レックス、ギデオン、サイラス!君たちの、チームの、準備を!我々も、そこへ、降下する!」


「何を、なさるおつもりです、キャプテン?」エヴァが、尋ねた。


ライトは、全員を、見渡した。その眼差しは、決意に、満ちていた。


「我々は、ジャックが、為すべきだったことを、為しに行く」


「…我々が、あの防衛線を、我々自身の、手で、破壊するのだ」


---


地上の、防衛線が、破壊され、軌道上での、戦争が、終わった時、そこに、広がっていたのは、祝賀すべき、勝利の光景ではなかった。連合軍の、艦船は、甚大な被害を、受けていた。


その、残骸の、ただ中を、ほとんど無傷の、ジャックと、ケイレンの、主力艦隊が、合流し、無防備となった、首都を、占領するために、降下を開始した。


--- **「ウィンターズ・クレスト」の視点** ---


「我々は、20隻近い、巡洋艦を、失いました」ベアトリス提督が、疲弊した声で、報告した。「我が軍の、兵士、数万人が、死亡。その全てが、ケイレンが、敵の頭を、断つための、道を、開くために」


「それは、勝利のために、必要な、犠牲だった」ウィリアム王子は、そう、言おうとしたが、彼自身、その言葉を、信じてはいなかった。


「これは、勝利では、ありません、兄上」ステラ王女が、涙を浮かべ、小さく言った。「これは、生贄です。ジャック司令官は、我々の艦隊を、『囮』として、利用したのです。彼らは、我々の兵士を、戦友としてではなく、いつでも、切り捨てられる、ただの、盤上の駒としてしか、見ていなかったのです」


--- **辺境の火花** ---


その頃、辺境の、宙域で、エララたちの一団が、彼らの、任務を、遂行していた。


「サトウ!あの、補給ステーションの、通信システムに、侵入できた!?」エララが、叫んだ!「ガー、ボルク!突入準備!サトウが、防衛システムを、停止させたら、即座に、奴らの、補給艦を、奪取するわよ!」


彼らは、後方から、連邦の、補給路を、断つ、「攪乱」任務を、行っていた。


「首都惑星での、戦闘に関する、断片的な、報告が、入ってきています」サトウが、言った。「どうやら、我々の方が、勝ったようですが、被害も、甚大です…」


「キャプテンは!?」ガーが、焦って、尋ねた。「キャプテンの、知らせは、ないのか!?」


「何も…」サトウは、静かに、答えた。「全ての、通信は、ジャック司令官の、指揮艦によって、管制されています。我々は、完全に、切り離されているのです」


--- **だが、その裏では** ---


ジャックは、勝利を、宣言した。「同志諸君!今日、我々は、不可能を、可能にした!」


彼は、生き残った兵士たちに、首都を、包囲するよう、命じた。


しかし、その裏で、彼は、ケイレンと、ヴァレリウスに、彼の、真の計画を、語っていた。


「地表に、残った、兵士どもは、全く、問題ではない」


彼は、極秘に、保管されていた、「エレクター=カイ」の、ホログラム映像を、映し出した。


「なぜなら、奴らは、『我々』と、戦うのではないからだ」


ジャックは、その、最終兵器の、映像を、見つめていた。「私は、奴らが、互いに、戦い、疲弊するのを、待つ。そして、機が、熟した時、私は、私の、『真の軍隊』を、送り込み、全てを、『掃除』させるのだ。連邦も、そして、もはや、不要となった、弱体化した、『同盟』もな」

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