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第一章 5 "失われた希望(3)"

**高セキュリティ収容所「アストレア07」、惑星サム軌道上**


暗闇、沈黙、そして鋼鉄の冷たさ。


それが今、ライトが感じることのできる全てだった。


彼は、狭い独房の隅で膝を抱えて座っていた。かつて炎で燃え上がっていた瞳は、今や虚ろで、目的もなく金属の壁を見つめていた。


連邦兵に繰り返し殴られた傷の痛みはまだ残っていたが、それは、心の痛みとは比べものにならなかった。


(終わった…全て、終わった)彼は、繰り返し思った。(正しいことをしようとした…しかし、結局は何も変わらなかった。裏切り者、犯罪者の烙印を押されて…)


灯ったばかりの希望は、あまりにも早く燃え尽き、絶望の灰だけが残った。


だがその時、静寂の中、


ドォン!!!


収容所のどこかから響き渡った爆発音が、彼の独房全体を揺るがした。


ライトは驚いて飛び起き、パニックに陥って顔を上げた。独房の前の通路に、赤い警報灯が点滅し始め、耳をつんざくようなサイレンが鳴り響いた。


「何事だ!暴動か!」彼の独房の前で見張りをしていた連邦の看守の声が、焦って響いた。


そして、彼はすぐに独房ブロックから走り去った。


次の瞬間、看守が走っていった方向から、ブラスターの音が鳴り響いた。


激しい銃撃戦の音と、爆発音、そして連邦兵の苦痛に満ちた叫び声が、交互に聞こえてきた。


ライトは、独房のエネルギーゲートに這い寄り、小さな覗き窓から外を見ようとしたが、遠くでレーザーが明滅しているのが見えるだけだった。戦闘は数分間、激しく続いた後、突然、全てが静まり返った。


不気味な静寂が、取って代わった。


ライトは息を呑んだ。


鎧の、重々しい足音が、徐々に近づいてくるのが聞こえた。しかし、その歩き方は、彼が慣れ親しんだ連邦兵のものではなかった。


そして、その影が、彼の独房の前に現れた。


オリーブグリーンのコンバットアーマーに身を包んだ兵士。


彼の肩の紋章は、翼と交差する剣…インワン・フリーダム!


その兵士は、一言も発しなかった。


彼は、扉の横の制御パネルに電子機器を差し込み、エネルギーゲートは、かすかな音と共に開いた。


彼は、手の中のライフルを独房の中に向けた。「出ろ。まだ生きていたいならな」


ライトは、戸惑いと、自分の目を信じられない気持ちで立ち上がった。


外に出ると、インワン・フリーダムの兵士たちが、他の独房からも囚人たちを解放しているのが見えた。


そして、彼らはただの囚人ではなかった。ライトは、ニュースで見たことのある顔を、何人か覚えていた。


連邦に危険な理論を広めたとして捕まった量子物理学の教授、占領の日に降伏を拒んだ元惑星サム軍の女性将軍、反体制派の政治家、そして、反旗を翻す勇気のあった、多くの知識人たち。


ここは、ただの牢獄ではない。反乱分子の「頭脳と心臓」を収容する場所だったのだ。


「あなたたちは誰だ…なぜ、我々を?」ライトは、彼を解放した兵士に尋ねた。


「我々の任務は、革命において最も価値のある資産を救出することだ」


その兵士は、淡々と答えた。「そして、それには、敵の司令部を爆破する勇気のあった、元第7部隊の隊員も含まれている。ジャック司令官が、あなたにお会いしたがっている」


その瞬間、ライトは悟った。彼の、絶望的で、無謀に見えた行動は、失敗に終わったのではなかった。


それは、始まりだったのだ。


彼が想像していたよりも、はるかに大きな解放戦争の。


ライトは、今や小規模な戦場と化した収容所の通路を、インワン・フリーダムの兵士について行った。


彼の周りは、迅速かつ激しい戦闘の痕跡で満ちていた。


壁にはプラズマ弾の焦げ跡、連邦の看守の亡骸が至る所に転がり、いくつかの場所では、ステーションの外壁に穴が開き、広大な宇宙空間と遠くの星々が見えていた。


彼は、解放部隊の兵士たちの動きを見た。


彼らは、戦争機械のように、整然と、そして効率的に動いていた。


心と憎しみで戦うサムの反乱グループとは違う。


この兵士たちは、訓練された戦術と規律で戦っていた。


他の元囚人たちは、静かについてきていた。一人一人の顔には、安堵、信じがたい気持ち、そして、新たに灯された希望など、様々な感情が浮かんでいた。


「船に乗れ!急げ!」


彼らが緊急用のドッキングベイに到着した時、一人の兵士が叫んだ。


インワン・フリーダムのドロップシップが一隻、既に待機していた。


後部のランプが、宇宙の闇へと開かれている。ライトと他の者たちは、急いで中へと乗り込んだ。


最後の男が乗り込むと同時に、ランプは閉じられた。外の戦闘音は即座に消え、船内には、エンジンの微かな唸りと、薄暗い赤い照明だけが残った。ライトは、冷たい金属の壁にもたれて座り込んだ。


傷の痛みと疲労が、再び彼を襲った。


一人の兵士が、小さな注射器を持って彼に近づいた。


「興奮剤と鎮痛剤だ」彼は、淡々と言った。


「司令官の命令だ。旗艦に到着するまで、あなたの状態を維持するように、と」


ライトは何も答えず、ただ頷き、その兵士が腕に注射するのを許した。


血管に沿って冷たさが走るのを感じ、やがて痛みが急速に和らいでいく。これは、思いやりによる手当てではない。


ただの、「資産のメンテナンス」に過ぎなかった。


彼は、船の小さな窓から外を覗いた。


目にした光景に、彼は息を呑んだ。


何百隻ものインワン・フリーダムの戦闘艦が、威圧的に陣形を組んでいた。


炎上する宇宙収容所の残骸を取り囲み、そして、その遥か向こうには、


惑星サムが見えた。今や、その赤褐色の地表に、時折、小さな赤い点が明滅している。それは、地上での戦闘の光だった。


ドロップシップは、最大の戦闘艦へとまっすぐ向かった。


他の艦が小さく見えるほど巨大な、旗艦。


広大で、兵士や技術者が忙しく働く格納庫に着艦すると、ランプが再び開いた。


「ついてこい」


同じ兵士が、ライトに言った。「ジャック司令官が待っている」


ライトは、深く息を吸い込み、後について歩き出した。彼はドロップシップを降り、真の革命軍の中心部へと足を踏み入れた。


彼の前には、固く閉ざされた巨大なブラストドアへと続く、長い通路があった。


この戦争の伝説であり、未来でもある男と、彼を隔てる扉。


彼の過去は、あの独房で終わった。


しかし、彼の現在と未来は、この扉の向こうで、始まろうとしていた。


---


### **第1章 エピローグ**


インワン・フリーダム旗艦「ヴィンディケーター」のブリッジにて。


張り詰めた安堵感が、その場を支配していた。


数十人の士官が、静かに、しかし効率的に、自らの任務をこなしていた。


中央のメインホログラムスクリーンには、軌道上から見た惑星サムが映し出されており、最後の輸送船に生存者を乗せている、緑色の友軍のシンボルが表示されていた。


「ヴァレリウス司令官より報告」


地上司令官の声が、通信システムを通じて響いた。


「民間人およびサム解放戦線の兵員の避難、完了。最後の輸送船が、現在、上昇中です、司令官」


「了解した」


巨大なホログラムスクリーンの前に立つ男が、応じた。彼こそが、「ジャック」だった。


完全装備の司令官服に身を包み、彼の眼差しは、眼下の惑星を見つめながら、静かだった。


「我々の損害は?」


「予測よりも少ないです。しかし…」ヴァレリウス司令官は、言葉を区切った。


「分析チームより、憂慮すべき報告が上がっています」


突如、情報部の士官の一人が振り返った。


「司令官!奴らのエネルギーパターンの解読に成功しました。その結果は…」


ジャックは、目を細めた。


「言え」


「我々が地上で交戦した機械化部隊は…全て、最低レベルの偵察ユニットに過ぎませんでした、閣下」


士官は、震える声で報告した。


「惑星サムの地殻下で、巨大な生体および機械エネルギーが拡大しています。奴らは、惑星全体を、内側から『喰らって』います」


ホログラムスクリーンは、エネルギースキャンの映像に切り替わり、急速に成長する菌類のように、惑星全体に広がる燃えるような赤い繊維状のものが表示された。


沈黙が、ブリッジを支配した。


彼らが先ほど手にしたばかりの勝利が、今や、一瞬にして無意味なものに見えた。


ジャックは、その光景をしばらく静かに見つめていたが、やがて、断固として決断を下した。


「命令だ。全艦に、惑星サムの軌道から即刻撤退するよう伝えろ。予備の集結ポイントへ向かえ」


「しかし、閣下…」


「『しかし』はない」ジャックは、静かだが、断固とした声で言った。「惑星サムは、終わった。我々の任務は今、一人でも多くの生存者の命を守ることだ。即刻、避難せよ」


---


**一日後**


インワン・フリーダムの全戦闘艦は、安全な距離まで後退し、遠距離望遠鏡を通じて、惑星サムを見つめていた。


三世紀近くにわたり、人類の故郷であった惑星は、今や、完全に様変わりしていた。その赤褐色の地表は、怪物の心臓のように、ゆっくりと脈打つ、漆黒の生体金属の殻に取って代わられていた。


奴らは、惑星サムを、完全に占領したのだ。


旗艦「ヴィンディケーター」にて、治療を受け、完全に意識を取り戻したライトは、ジャック司令官が待つ会議室へと、歩いていた。


彼が、自らが守るために戦い、自由を犠牲にした惑星が、もはや存在しないことを、知らずに。

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