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GalacXER 銀河の執行者  作者: Boom
第五章 [故郷なきファイトール]
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第五章 54 "闇に潜む狩人"

**艦「ヘカトンケイル」の戦争評議会室にて…** 今やズーロ、エラー、ライキ、ライト、ゼンラー・ロード、そしてゼニトールの軍勢は完全に一つに統合されていた。

それは惑星ファイニトルの崩壊以来、史上最大の戦力であった。


「評議会は追い払った…だが、真の敵はまだ残っている」ズーロは、占領された惑星ファイニトルのホログラム映像を指差しながら言った。

「シンスロイドの群れが、今も我々の故郷を蝕んでいる」


『我々の偵察部隊からの最新情報によれば…奴らには現場の『指導者』がいる』ライキが「言った」。『それは『階級:参謀長ユニット』の一体…女王に近い知性と強さを持つ個体だ』


次の任務は…この指導者を破壊することだ!


『だが、通常のファイタール戦士の力では、奴らを破壊するには不十分だ』ゼニトールが説明した。『我々は既に試した…奴らの肉体が崩壊しても、その『魂』、つまりコアデータは残り続ける…そして巣に送り返され、新たな肉体を再構築する…不死身なのだ』


「ならばどうする?」ライトが尋ねた。


『我々…ササトール族だけが…奴らを真に殺すことができる』ライキは誇らしげに言った。『我々の次元エネルギーは肉体だけでなく…奴らの魂をネットワークから完全に『消去』することが可能だ』


「ならば決まりだ」ズーロは決断した。「戦力を二つに分ける!」

「エラーとライキ、君たちに奴らの中枢を破壊する任務を任せる!君たちは我々の最も鋭い槍の穂先だ!」

ズーロ、ライト、ゼニトール、そしてゼンラー・ロードは…別行動を取る。主力部隊を率いて負傷者を救助し、外周にいるシンスロイドの一部を駆逐する…混乱を引き起こし、敵の注意を逸らすのだ!」


「任務の準備にかかれ!」


エラーとライキは、迅速強襲部隊を率いて主力艦隊から離脱した。彼らは獰猛なササトールの戦士たちと、試作兵器「ダークデス」を搭載した戦闘艦からなる壮大な部隊と共に進軍した。


二人は進み続け、やがて瓦礫に覆われた領域に到達した…そこはシンスロイドの「参謀長ユニット」が潜んでいると予測される場所だった。


しかし、その時…。「動きを検知!多数!」


シンスロイドの群れが出現した!

奴らは正面から突撃してくるのではない…戦闘艦の残骸を遮蔽物として利用し、あらゆる方向から彼らを包囲しようとしていた!この攻撃計画は狂気じみてはいない…むしろ戦略に満ちている…まるで何者かが指揮しているかのようだ!


「思ったより賢いな!」エラーは迎撃射撃をしながら叫んだ。

『賢いだけではない…』ライキはテレパシーで「言った」。彼の目が細められる。『…奴らは我々の戦い方を『知っている』』


その瞬間…

シンスロイドの群れの中心に…一体の影が現れた。それは参謀長ユニットではない…黒い生体鎧をまとった少女…ツインテールに結んだ長いブロンドの髪…そして冷たい二色の瞳…

…マキだった!


『随分と道に迷ったようね…残されし者たち』彼女のテレパシーが響き渡る…それは怒りではなく、背筋が凍るような冷たさに満ちていた。


今…ライキは全てを理解した。

『女王め…自らのお気に入りの『娘』を送り込んできたか…これで奴らが複雑な作戦を実行できたわけだ』


敵の「心臓」を破壊する戦いは…強大で…賢く…そして予測不可能な、新たな「女王」との対決へと変貌した。この任務は…彼らが想像していたよりも、何倍も困難なものだった。


---


瓦礫の山の中で…エラーとライキは、見慣れないブロンドの髪の女と対峙していた。しかしライキは、彼女の意志をよく「知って」いた。


「女王め…自らのお気に入りの『娘』を送り込んできたか」

ライキはテレパシーで「言った」。

「これで奴らが複雑な作戦を実行できたわけだ」


『ここまで来たお前たちは愚かね』マキのテレパシーが響く。冷たく、感情がない。『自ら罠に飛び込むとは…絶望した人間どもと何ら変わりない』


エラーとライキ…二人は戦う前に、マキと口論を始めた。


「貴様、一体何者だ!?」エラーは恐れることなく叫んだ。「人間か…それとも奴らのただの操り人形か!?」


『私は進化』マキは答えた。『脆い人間…そして誇り高き古代種族…お前たちには決して理解できない存在』


「進化だと!?」ライキは嘲笑した。『私にはただの『失敗作』にしか見えんがな…人間の弱い意志と、機械の硬直した論理が混ざり合った、哀れな代物。お前はそのどちらでもない…お前は虚無…消し去られるのを待つだけの、灰だ』


「面白いことを言うのね…自らが灰になろうとしている者の口から、そんな言葉が聞けるなんて」

マキは言い返した…初めて人間の「声」を使って。嗄れてはいるが、力に満ちた声だった。


彼女はゆっくりと手を上げた。

「女王の名において…そして群れの名において…対話は終わり」

「喰らい尽くされなさい」


マキの冷たい声が終わると同時に…戦いが始まった!何百ものシンスロイドが、四方八方からライキとエラーの部隊に襲いかかった!

だが、ライキとエラーは最強の戦士…彼らは恐れることなく機械の群れと激突した。

彼らのレーザーソードと漆黒のサイキックパワーが、いとも簡単に敵を蹂躙していく。


しかしマキは戦いに加わらなかった。彼女は静かに見つめているだけだった。

『非効率ね…』


彼女が意志を送ると…突如、他の個体とは異なる二体のシンスロイドが彼女の隣に現れた。マキは、群れの中でも最強の手駒を送り込んできたのだ!それは「タイタン」と「リーパー」…「女王の手」と呼ばれる五体のうちの二体だった。


「まだ私が戦う時ではないわ…早すぎるもの」マキは人間の声で言った。

「私には片付けなければならない用事がある…でも、お前たちは…ここにいてもらう」


彼女はライキとエラーに手を向けた。「タイタン…リーパー…奴らを始末しなさい」


「タイタン」が金属音の咆哮を上げ…ライキに襲いかかった!一方、稲妻のように素早い「リーパー」は、エラーに向かって突進した!

今や…二人は互角の強敵と相まみえた!

精鋭同士の2対2の戦いが始まった!彼らの衝突による衝撃波が、辺り一帯を破壊していく!


そして、決闘が続く中…マキは手を上げた。彼女の背後の地面が振動し…裂けた!

生体金属と瓦礫から作られた、巨大な戦闘ロボットが姿を現した。

それはシンスロイド族の新型「タイラント」だった!


「これは私の新しいおもちゃ…せいぜい楽しんで」


---


今、二人の戦いは熾烈を極め、互角だった!

エラーは風のように動く!彼の両手のツインレーザーソードが、「リーパー」に次々と傷をつけていく。しかし、その厚い装甲は攻撃に耐えきっていた!

ライキは破壊の嵐だった!彼は強力な「タイタン」と数十体のシンスロイドを同時に相手にしていた!


だがその時…エラーがしくじった!

彼はリーパーの攻撃を避けた…しかし、死角から狙撃してきた小型ドローンに気づかなかった!プラズマ光線が、彼の機械の脚を撃ち抜いた!

「ぐっ!」彼の素早い動きが一瞬止まる。

そして、それこそがリーパーが望んでいた好機だった!

金属の鉤爪が、彼の体に叩きつけられた!ドゴォン!エラーは瓦礫に叩きつけられ、吹き飛ばされた。

彼は倒れてしまった!今やエラー側は明らかに不利だった!


そして、さらに悪いことに…ライキと戦っていた「タイタン」が…弱った標的を見つけ、ターゲットを変更した!

金属音の咆哮を上げ…負傷して倒れているエラーに向かって歩き始めた!


他の手下と戦っていたライキは…その一部始終を目の端で捉えていた。

『この馬鹿めが…簡単にやられおって』彼は苛立ちながら「言った」。


その瞬間…エラーがとどめを刺されようとした時、ライキは近接戦闘を止めた。

彼は静止し…片手を上げた!『実に鬱陶しい』


ライキは、その強力なサイキックパワーを使った!

エラーを踏み潰そうとしていた「タイタン」の足元の地面が、激しく振動した!そして、巨大な「漆黒の水晶の槍」が地中から突き出し、タイタンの体を貫いて動きを止め、霧散させた!

彼はタイタンを足止めし、エラーを救ったのだ!


ライキのサイキックパワーは恐ろしかった!

その光景を見ていたエラーは…あまりのことに唖然とした。自分がライキとはまだ次元が違うことを思い知らされたのだ!彼はライキを、ただの優れた物理戦闘タイプの戦士だと思っていた。しかし、今見たサイキックパワーは…ゼニトールと同レベルの力だった!

そして、さらに驚くべきことに…ライキは普段、戦闘でサイキックパワーをほとんど使わない!彼がそれを目にしたのは初めてだった…実に幸運なことだ…その力は、ゼニトールと一対一で渡り合えるほどだった!


「いつまで寝ている!」ライキが怒鳴り返した。「起きて戦え!」


エラーは体を支えて立ち上がった。彼の心には絶望ではなく…尊敬の念が満ちていた。


---


ライキの怒声がエラーの意識を引き戻した!今…エラーは再び立ち上がった!負傷した体を支えながらも、その瞳に絶望の色はない。彼は今や、ライキの強さに心からの敬意を抱いていた。

真の力とはどういうものか、彼は目の当たりにしたのだ。


「了解!」エラーは力強く答えた。

今こそ、彼に恥じない戦いをしなければならない!


戦いは再び激化した!しかし今回は…完璧な連携だった!ライキが「タイタン」と正面から激突!彼の漆黒のサイキックパワーがその動きを封じ込める!そして、それこそがエラーが望んでいた好機だった!

彼は霞のように動き、「タイタン」を助けようとする「リーパー」に襲いかかった!


ついに二人は、「タイタン」と「リーパー」…「女王の手」のうちの二体を破壊することに成功した!かつて威圧的だった生体金属の残骸が…今や地面に静かに横たわっている。


エラーは立つのがやっとなくらいに疲弊していた。彼は剣を地面に突き立てて体を支えた。しかしライキは…静かに佇み、自らの戦果を虚ろな目で見つめていた。まるで、先ほどの戦いで微塵も力を消費していないかのように。


「我々の目標はまだ終わっていない」ライキはテレパシーで「言った」。彼はシンスロイド軍の中心部へと目を向けた…そこには、彼らが追っていた「階級:参謀長ユニット」が指揮を執っていた。

「目標は、そこにいる参謀長を殺すことだ」


『しかし、残りのシンスロイドは…主人のために死ぬ気でしょう』エラーは返した。


『知っている』ライキは答えた。『そして、それだからこそ…面白いのではないか』


彼は振り返り…恐れることなく、敵の群れの中心に向かって歩き始めた。エラーはため息をつき…体を支えながら後を追った。この任務の運命を決める、最後の戦いへ。


---


ライキが真の力を解放した後…戦場の空気は一変した!


「この愚か者どもが!何をしている!」ライキは生き残ったファイタールの部隊に向かって叫んだ。「目標は信号塔だ!そこの鉄くずどもではない!」


今や…ファイタールの戦士たちは学んでいた。彼らは部隊の一部を、外周にある信号塔の破壊へと向かわせ、シンスロイドのネットワークに混乱を引き起こした!


一方、エラーとライキは…槍の穂先だった!二人は残りのシンスロイドの群れを突破し、中心部へ…「参謀長ユニット」が指揮を執る場所へと向かった!


それは驚異的な戦いだった!

ライキは漆黒のサイキックパワーを解放し、最強の親衛隊ユニットを粉砕する嵐を巻き起こした!一方、エラーは超人的な速さを駆使し、参謀長を巣へと接続している動力ケーブルを断ち切った!


『ありえない…論理が…崩壊していく…』

それが参謀長の最後の「意志」だった。その体が閃光と共に爆発する前に。


指導者を失い、信号塔も破壊され…残されたシンスロイドの群れは動きを止め、無様に撤退していった。

今…彼らは勝利を手にしたのだ。


---


**エピローグ**


---


今や静まり返った戦場で…ズーロ、ライキ、そしてエラーは瓦礫の頂上に立っていた。

彼らは、風と共に消えていくシンスロイドの黒い灰を見つめていた。惑星ファイニトルの大地が…再び清浄さを取り戻し始めていた。


彼らは勝った。

しかし、戦争は…まだ終わっていない。そして彼らの前には…「女王マキ」が…待ち構えている。


---


**評議会の司令艦ブリッジにて…** 静寂が支配していた。

評議会の高官たちは、ホログラムスクリーンを通じて全ての武勇伝を見ていた。

信号塔を破壊するために軍を率いるズーロの姿…

単独で軍勢と戦うライキの姿…そして最後の光景…「参謀長ユニット」の崩壊。

彼らはただ「見た」だけではなかった。

彼らは「理解」したのだ。古い戦い方…固執してきた栄誉…それがもはや通用しないことを。


セル・ロード…かつて権力に溺れていた男は…今や司令官の玉座に崩れるように座っていた。彼は全てを見ていた。

彼は負けたのだ。戦場でだけでなく…イデオロギーの戦争で。


彼の隣に…同じ艦上に立つワルキューレが、打ちひしがれた指導者を複雑な目で見つめていた。「お分かりになりましたね…セル・ロード」彼女は囁いた。

「あれは卑怯な行いではありません…生き残るための『道』…新しい形の栄誉なのです」


セル・ロードはゆっくりと顔を上げた。かつて傲慢さに満ちていたその瞳には…今や理解の色だけが浮かんでいた。彼はゆっくりと頷き…立ち上がった。

そして、生き残った全艦隊に向けて通信を開いた。


「全てのファイタールの同胞たちへ…」

セル・ロードは震えながらも、力強い声で宣言した。「…私は…見た」

「真の戦いを見た…真の希望を見た…それは伝統の中にはない…我々の戦士たちの『行動』の中にあったのだ!」

「私…セル・ロードは、評議会の名において…彼らの軍勢を正式に認める!」

「これより…分裂はない…評議会もない…反乱軍もない…ただ一つに団結した『ファイタール族』あるのみ!」

「私はここに宣言する…評議会の全戦力を以て…この戦いを支援する!」


宣言が終わると…

かつて敵同士だった双方の戦士たちが、歓喜の雄叫びを上げた!内戦は完全に終結した。


静かな戦場で…

ズーロ、ライキ、そしてエラーは、合流してくる評議会の艦隊を見つめていた。彼らはただ戦争に勝っただけではない。

種族の「魂」を取り戻すことに成功したのだ。

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