第五章 53 "ゼニトールの審問"
艦「ヘカトンケイル」の戦争評議会室にて…評議会の高官たちがワープで包囲網から脱出した後…
重苦しい緊張と不確実な空気が立ち込めていた。
「奴らは逃げた…ゼニトールと共に」静寂を破り、ズーロが口を開いた。
エラーがホログラムスクリーンに最新情報を表示する。
「しかし、今も惑星にはあなた様のために死ぬ覚悟のある反対派が数多く残っています。ですが…高官たちも馬鹿ではありません。我々のスパイからの最新情報によれば…彼らの軍勢は巨大で、まもなく『ジュピター』という名の秘密の古代兵器を起動させようとしています。一撃で艦隊を丸ごと破壊できる浄化の光線だと言われています」
「我々の『ダークデス』はどうだ?」ライトが尋ねた。
「ダークデスの方が恐ろしい」ズーロは答えた。「武器の面では我々が有利ということだ」
「しかし、闇雲に撃つわけにはいきません!」エラーが即座に反論した。「ゼニトールの安全も考慮しなければ!我々が侵攻すれば…奴らは彼を人質に取るでしょう…最悪の場合…即座に殺害するかもしれません」
「ならば…全面戦争は不可能か」ライトは結論付けた。「計画を変更する必要があるな」
ズーロは頷いた。彼は評議会の拠点の設計図を睨みつけた。「正面からの突撃が不可能なら…我々は影に紛れて潜入する」
彼は周りにいる精鋭たちに向き直った。「最高の小規模作戦チームが必要だ。我々は忍び込む…戦争のためではない…二つの任務を遂行するためだ」
「一つ、ゼニトールを救出する」
「…そして二つ、『ジュピター』を発射される前に破壊する」
「これが計画だ」
ズーロは、評議会が拠点として使用している惑星のホログラムマップを開きながら言った。そこは鬱蒼としたクリスタルの森に覆われた惑星だった。
「現在、奴らの軍は惑星上にいる…だが、さらに恐ろしいことに…奴らは砲台で防衛線を築いているのではない…シンスロイドを『自然の防壁』として利用している」
彼は映像を拡大した。何十万ものシンスロイドの群れが、評議会の拠点の周りをうろついているのが見える。「高官たちはシンスロイドと戦ってはいない…奴らを外周エリアに『放置』し、誰も近づけないようにしているのだ!今回の潜入は…極めて困難だ。奴らにたどり着く前に、我々がシンスロイドに殺される可能性すらある!」
「では…あなたの計画とは?」エヴァ司令官が尋ねた。
「正面からは行かない」ズーロは答えた。「『内部の者』を利用する…つまり、惑星上に残る我々の忠誠者たちだ。私の地下組織に連絡を取り、内部から混乱を引き起こさせる…高官たちとシンスロイド、両方の注意を逸らすためだ」
「そして、その隙を突いて…我々の強襲チームが潜入する」彼はライトに目を向けた。「奴らが弱体化すれば…我々は司令部を制圧し…再び惑星上に我々の基地を設立する」
「だが、そこまでたどり着くには…専門家の助けが必要だ」
ズーロはライトの目を真っ直ぐに見つめた。「お前の『幻影』チーム…シンスロイドとの戦闘と潜入において最高の部隊だ。お前たちに『先鋒』になってもらいたい…あの獣の群れを突破する道案内を」
「ライト…勇気ある人間よ、力を貸してくれ」
ライトはズーロの顔を見つめた。かつては見下していたかもしれない種族に助けを乞う、誇り高き戦士。その瞳の中に、確固たる決意と…そして絶望が見えた。
「わかった」ライトは力強く頷いた。「俺のチームが、あんたたちの道を切り開こう」
ズーロは大きな武器ケースを持ってライトに近づいた。
「これは我々からの贈り物だ」彼は箱を開け、新たに製造された『ダークデス』キャノンを見せた。「緊急時にこの『ダークデス』キャノンを使ってくれ。高官たちの精鋭兵とは、あなた方だけでは分が悪いだろう」
ライトはその恐ろしい武器を見つめた。
「ライキは?」
「ライキはどこかへ消えた」ライトは答えた。
「奴は自分なりの『狩り』を始めると言っていた…だが今は…お前のような人間に頼るしかない」ズーロはそう言って、ライトの肩を軽く叩いた。
「よし!任務を開始する!」ズーロの声が格納庫に響き渡った。
「我々は惑星ファイニトルへ向かい…共に地獄を乗り越えるのだ!戦士たちよ!同胞たちよ!」
「今こそ…二度目の奪還の時だ!この作戦は絶対に失敗できない!ゼニトールこそが、この絶望的な状況を打開できる唯一の希望なのだ!」
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**潜入**
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ステルス艦「ラッティカーン」と、ファイタール族の強襲艦数隻が…ファイニトル惑星の軌道への潜入に成功した。彼らは評議会の主要拠点から離れた廃墟の都市区画に着陸した。
「エリアをスキャンしろ」ライトが命じた。
「ゼニトールが監禁されていると推測される地下牢獄『タルタロス』周辺に…厳重な防衛ラインを検知しました」ライラが報告した。
ズーロがドローンからの映像を拡大すると…彼は眉をひそめた。最前線には…多数の高官派の精鋭兵が陣取っている。そして、その先頭に立ち、全てを指揮しているのは…煌びやかな銀色の鎧をまとった女戦士…ワルキューレが軍を率いているのが見えた。
それを見たズーロは瞬時に激昂した!「くそっ!」彼は吐き捨てた。「全ての計画が露見したのは…あの女のせいだ!」
裏切られた怒り…かつて命を救った相手と戦わねばならない苦痛…ズーロの心の中でそれらが爆発した。救出任務は…今や個人的な復讐の任務へと変貌していた。
「亡霊たち」の電撃作戦は見事に成功した!ライトと「幻影」チームは、シンスロイドの群れと評議会派ファイタール軍が混在する着陸妨害の防衛ラインを破壊…首都郊外のエリアを解放し、一時的な「安全地帯」を確保した。
それは、エラーとズーロの軍が着陸するための道を開くものだった!
敗走したファイタール族のドロップシップや輸送艦が、確保されたばかりのエリアに次々と着陸する。今やズーロとエラーの軍は着陸を完了し、陣形を整えた。
彼らは迅速に防衛線を構築し…次なる戦いに備えた。
しかし、戦いは地上だけで起こっているのではなかった。暗黒の軌道上では…ゼンラー・ロードの艦隊が、最も恐るべき支援部隊と化していた。
今…ゼンラー・ロードの艦は、シンスロイドが占拠する一部のエリアを「浄化」していた。
彼の母艦から放たれる純白の光線は…爆発を引き起こすのではない。それは触れたものすべてを「消去」し、霧散させていた。
遠く離れたシンスロイドの巣が、彼の力によって一つ、また一つと排除されていく。
見捨てられた者たちの共闘が、真に始まったのだ。
ライトは、策略を用いて突破口を開く「槍の穂先」。
ズーロとエラーは、制圧し支配する「軍隊」。
そしてゼンラー・ロードは、天空から支援する「守護神」。
彼らは、崩壊した故郷の惑星に、最初の足がかりを築くことに成功した。
「全部隊、突撃!!!」
今や主力部隊の指揮を任されたエラーが、軍を率いて評議会の防衛ラインに正面から突撃した!最も激しい地上戦の火蓋が切って落とされた!
禁術によって強化されたズーロの兵士たちが、評議会に忠誠を誓う親衛隊と狂ったように激突する!
一方、ズーロは…最前線で軍を率いてはいなかった。
彼は「狩り」をしていた。彼の標的はワルキューレ…彼が「復讐」し、真の栄誉とは何かを証明したいと願う、誇り高き女戦士!
そしてライトと彼の「幻影」チームは…内戦には参加していなかった。
彼らは自分たちの任務を遂行していた。つまり、惑星上に未だ残るシンスロイドの「巣」の破壊…そして時には、捕らえられたファイタール族の市民を救助し、「恩」を売り、人間が真の同盟者であることを示していた。
そして上空では…
ライトの母艦「ヘカトンケイル」が、地上戦を支援するために砲撃を行っていた。ズーロ側と評議会側、シンスロイドと戦う者すべてを!
戦争は…極限の混沌に満ちていた!それは複雑な三つ巴の戦い…
ズーロ派は評議会派と戦い、
評議会派はズーロ派とシンスロイドと戦い、
シンスロイドは全員と戦い、
そしてライト派は…シンスロイドと戦い、行く手にいる者すべてを助けていた!
それは完全なる破滅の光景…
味方と敵が刻一刻と入れ替わる…
そして惑星全体の運命が、一本の糸にかかっていた。
今、ズーロはワルキューレを探していた。彼はもはや大局的な戦いには関心がなく…混沌とした戦場を駆け抜け、その瞳はただひたすらに、誇り高き親衛隊の戦士の姿を探し求めていた。
そしてついに、彼は彼女を見つけた!
ワルキューレはリーパーの残骸の上に立っていた。彼女の手に握られたエネルギーソードが燦然と輝いている。周囲には破壊されたシンスロイドの残骸が散らばっている。彼女は美しく…そして危険だった。
それは間違いなく、互いの尊厳を懸けた一対一の戦いになるだろう。
ズーロは影から姿を現し…彼女と直接対峙した。
「この卑怯者め…」最初に口を開いたのはワルキューレだった。その声は侮蔑に満ちていた。「ここまで落ちぶれるとは思わなかったわ…お前はファイタール族の誇りなき者。その罪…幾千回死んだとて、到底償えるものではない」
ズーロは苦々しい笑いで返した。「誇りだと?フン!今となっては実にくだらん」「無価値な死のために戦う誇り…か。お嬢さん」
彼は周囲の戦場を指し示した。そこでは、彼らの同胞たちが次々と倒れていく。
「今の状況が分かっていないようだな!我々の故郷は滅びかけている…終焉は近い!それなのに、評議会の浅はかな言葉だけを信じることが…常に正しいとでも思っているのか!?死んでいった同胞を見ろ!全ては、一度も戦場に足を踏み入れたことのない者たちの命令のせいだ!」
ワルキューレも自らの忠誠を守るために反論した!「所属不明のお前に、言いたい放題言わせてなるものか!」彼女は怒鳴り返した。「私は評議会の方々が信頼する戦士!今日まで私を育ててくださった方々だ!彼らが与えてくれた栄誉こそが…私を支えるものなのだ!」
「ではお前の栄誉とは!?死にゆく同胞に背を向けることか!?」
「もういい!」ワルキューレは咆哮した。彼女はエネルギーソードを構えた。「お前の言葉に価値はない…裁きの時だ!」
ズーロもまた、自らの剣を抜いた。「かかってこい…本当の『誇り』というものが…どんな顔をしているか、見せてやる」
決闘が…始まろうとしていた。
混沌とした戦場の真ん中で…双方の戦士たちは動きを止め…円形に空間を開けた。
この最も重要な戦いに、全てを委ねるかのように!
ズーロは剣を固く構えた…だが、禁断の魔力は内に秘めたままだった。まだ使わない…これは決闘であり、殺戮ではない。彼は殺意なく戦う…自分自身を証明するため…そして、目の前にいる誇り高き戦士を、誤った信念から「目覚めさせる」ために。
「来い!」
先に動いたのはワルキューレだった!
彼女の銀色のエネルギーソードが、教科書通り完璧で美しい太刀筋を描く!
ガキン!ガキン!ガキン!
二人の剣の衝突は…空気を震わせるほどの巨大な衝撃波を生み出し、周りの戦士たちをさらに後退させた!
「これが新しい『指導者』の全力か!?」ワルキューレは戦いながら嘲るように言った。「お前の剣筋は型がなく、迷いに満ちている!お前は偶然力を手に入れただけの臆病者にすぎない!」
「真の栄誉の意味など…お前に分かるはずもない!」
だが、ズーロは…冷静さを失わなかった。彼はその侮辱の言葉に反応せず…ただ受け流し、避け、必要最低限の反撃をするだけだった。
(彼女は強い…そして速い)彼は心の中で思った。(だが、彼女の剣筋は…あまりにも『完璧』すぎる…動きが読める)
彼は「戦って」いるのではない…彼女の動きを「読んで」いた。待っていたのだ…ほんの一瞬の好機を。真の戦士とは…教本で戦うのではなく…本能で戦うのだということを、彼女に見せつけるための好機を。そして彼の本能が…
戦いは拮抗していた!
ズーロとワルキューレの剣は数え切れないほど衝突した!しかし、戦えば戦うほど…ワルキューレは、ズーロの「型のない」剣筋が、予測不可能で極めて危険であることに気づき始めた!
今や…彼女は劣勢に立たされ始めていた!
「これで終わりだ!」彼女は咆哮した!サイキックパワーで自らの身体能力を強化する!
彼女の体は金色のオーラに包まれた!
その速さと力は爆発的に増大した!
ズーロも負けてはいない!だが、その圧倒的な力に押され、後退を余儀なくされた!長引く戦いの末…今や二人はサイキックパワーによる直接対決に移行していた!ワルキューレの金色のエネルギー波が、ズーロの紫色のバリアと激しく衝突する!
ズーロは長くは持たないことを悟り…決断した。彼は勝負を決めるために「禁断の力」を使った!
漆黒の次元エネルギーが彼の体から爆発した!
それはワルキューレの力と直接ぶつかるのではなく…彼女の周りの次元そのものを「歪めた」のだ!彼女の力は無効化され、体勢が崩れる!その一瞬のうちに…ズーロは彼女の目の前に現れ…その剣先を、崩れ落ちた彼女の喉元に突きつけていた。
戦いは終わった。ワルキューレは目を閉じ…死を覚悟した。しかし、ズーロは剣を下ろした。
「周りを見ろ、ワルキューレ」彼は静かに言った。「我々の戦いは…損失を増やすだけだ…なぜ同胞同士で殺し合わねばならない?」
彼は、同胞たちが倒れていく戦場に目を向けた。「故郷は飲み込まれようとしている…同胞は滅びようとしている…だが評議会は、私を『裁く』ためにお前を送り込んだ。これが、お前の言う栄誉か?」
彼は向き直り…彼女に手を差し伸べた。
「我々と手を組め。生き残るために戦え…まだ残っている同胞たちのために。我々全員を殺そうとしている、古い慣習のためではなく」
その後、ズーロは答えを待たずに…彼女に背を向けた。彼はより重要な目標…ゼニトールを解放するため、戦場へと戻っていった。
ワルキューレは、自分を打ち負かし…命を助け…そして痛々しい「真実」を突きつけた男の背中を見つめていた。彼女はゆっくりと、震える自分の手を見つめ…
…そして彼女は決断しなければならなかった。
粉々に砕かれた自分の栄誉と…これからどう向き合っていくのかを。
ズーロとエラーの軍は、優れた戦術とネメシス計画の兵器を駆使し…評議会軍をじわじわと追い詰め、ついに奴らの最後の司令部である城塞の前にたどり着いた!
「司令官!」一人の戦士が報告した。「信号を検知!現在、城塞の中心部で…ゼニトールが裁かれようとしています!そして奴らは『ジュピター』を起動させようとしています!」
「時間がない!」ズーロは叫んだ。「エラー!部隊を率いて突入しろ!独房を破壊し、一刻も早くゼニトールを救出するんだ!」
「私は…『ジュピター』を始末する!あれを破壊できれば…評議会など、もはや恐るるに足らん!」
最後の突撃が始まった!
それは悲痛な光景だった…この戦は…血を分けた同胞が殺し合う戦い。ファイタールの戦士たちが、サイキックパワーと剣で互いに激突した。
そしてついに、彼らは成し遂げた!
エラーと彼のチームは審問の間へ突入し…処刑されようとしていたゼニトールを、まさに最後の瞬間に救出した!
ズーロは禁断の力と「石の鍵」を使い…「ジュピター」キャノンのエネルギーコアに干渉し、破壊した!
勝利の雄叫びが城塞に響き渡った。
だが、それは束の間の勝利だった。評議会の残存部隊が、彼らを完全に包囲していたのだ。
全ての扉は固く閉ざされ…そして、勝者の笑みを浮かべたセル・ロードのホログラムが現れた。
『愚かな若造め…全てを破壊して、やすやすと逃げられるとでも思ったか?この城塞が…貴様らの墓場だ』
彼らは戦いには勝った…
だが、戦争には敗れようとしていた。逃げ場のない、完璧な罠の中に囚われてしまったのだ。
ズーロとその仲間たちは、評議会軍の包囲網の中にいた。
状況は完全に絶望的だった。
セル・ロードがホログラムで現れる。彼の顔は勝者の笑みに満ちていた。
「フン…ズーロ…ついに本性を現したな!反逆者ゼニトールを解放するために、独房まで破壊するとはな!?」
「降伏しろ!さすれば『公正な』裁きを与えてやろう!」
そして、彼らを包囲していた評議会軍が動き始めた。
だが、その瞬間…
彼らの頭上の空が暗転した。何百もの漆黒のワープゲートが空間を引き裂き、開かれた!ササトール派の巨大な艦隊が出現した!
ライキの威圧的な母艦がそれを率いていた!今や…評議会の艦隊が完全に包囲されたのだ!
「そこまでだ、賢者殿」ライキの冷たく、威厳に満ちたテレパシーが戦場に響き渡った。
「軍を引け…そして、ゼニトールには指一本触れさせるな。まだ生き長らえたいと願うのなら…即刻、全てを止めろ!」
セル・ロードは怒りに目を見開いた!
「光に背を向けたファイタール共と交渉などするものか!反逆者どもよ…皆殺しだ!!!」
ライキはテレパシーを通じて、静かに「笑った」。
『貴様らの旧弊な伝統と思考が…その目を曇らせているのだ、セル・ロード』
『貴様らが無意味な内戦に没頭している間に…真の敵は刻一刻と力を増している!我々が殺し合うたびに…それはシンスロイドの勝利となるのだ!貴様らが作り上げた幻想の勝利は…奴らの『群れの長』を強化し、その目的を早めるだけだというのに!』
「光を冒涜し、侮辱する貴様に何がわかる!」セル・ロードは吼え返した。
『光だと?』ライキは冷ややかに返した。
『評議会の諸君…知識と経験について語りたいのか?私は宇宙の最も暗い隅々まで旅をしてきた。光が尽きようとしている恒星や太陽を見てきた!貴様らが想像もつかない脅威によって、いくつもの帝国が滅びるのを見てきたのだ!』
『セル・ロード…貴様が戦う理由…栄誉、権力、伝統…それは全て幻影にすぎん!そして権力にしがみつく政治家たちの評議会は…まもなく最も暗い悪夢と対峙することになる…貴様らが想像してきた、あらゆる悪夢を掃討するほどの悪夢とな!』
「ならば証明してみせろ!」セル・ロードは挑発した。
「よかろう」
その声が終わると同時に…ライキの漆黒の戦闘艦の一隻が、禁断の兵器を解放した。
黒い光線が評議会の偵察艦の一隻に突き刺さり…爆発音すらなく、それを現実から「消去」した。
静寂が訪れた。
評議会派は…撤退を余儀なくされた。彼らはワープゲートを開き…姿を消した。ゼニトールと全ての生存者を後に残して。
内戦は終わった。
「反逆者」の烙印を押された者たちの勝利によって。しかし、ライキの…「来たるべき悪夢」についての警告は、皆の心に深く響き続けていた。
評議会の艦隊が撤退した後…静寂が…再び血塗られた戦場に戻ってきた。
だが、それは痛みに満ちた静寂だった。
司令部城塞の廃墟の中心で…ライト、ズーロ、エラー、ライキ、ゼニトール、そしてゼンラー・ロード(意志を通じて)が再び集結した。彼らが立っているのは勝利の場ではなかった…
同じ種族の同胞たちの死体の山の上だった。
「終わった…のか」エラーが疲弊しきった声で呟いた。
「いや」ズーロは静かに答えた。「始まったばかりだ」
彼は追撃を命じなかった…祝賀を命じなかった。
生存者たちの真の指導者としての彼の最初の命令は…
「全員…今から負傷したファイタール族の救護にあたれ…敵味方の区別なく、彼らを助けろ」
最も感動的な光景が繰り広げられた。
ズーロ派の戦士たちが…武器を置き、かつての「敵」…負傷した評議会の兵士たちを助け始めた。彼らはもはや敵同士ではなかった…同じ「生存者」だった。
内戦は、今、終わった。
しかし、彼らの目の前には、かつて美しかった故郷が…自らの手によって炎と瓦礫と化した姿があった。
『これが、傲慢の代償だ』ゼニトールが、悲しみに満ちた声で「言った」。『これが、分裂の代償だ』
『この光景を忘れるな、若者たちよ』ゼンラー・ロードの声が意識に響いた。『真の敵との戦いは…まだ終わってはいないのだからな』
誰もが空を見上げた。
そこでは、惑星ビトナリーとシンスロイドの群れが、まだ彼らを待ち構えていた…




