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第二章 47 "インワンの悪魔を全て狩り尽くせ(1)"

マキが去った後、ライトとステラ王女の間にあった暖かく、共に計画を練っていた雰囲気は、気まずい沈黙に取って代わられた。


「私のパートナーの非礼を、お詫びいたします、王女殿下」ライトが、沈黙を破った。「彼女は、ただ、少し、率直すぎるだけで」


「彼女は、ただ、任務に、献身的なだけですわ」ステラは、わずかに悲しげな笑みを浮かべて、答えた。「よく、存じております」


二人は、再び、計画の話に戻ろうとした。だが、会話は、途切れ途切れだった。先ほどまで、通じ合っていた、感覚は、断ち切られてしまったのだ。


しばらくの間、沈黙だけが、支配した。ステラは、ライトを見ていた。もはや、「キャプテン」や、「兵器」としてではなく、多くの痛みを、背負った、一人の男性として。彼女が、癒やしたいと、願った、男性として。彼女は、危険を冒すことを、決意した。


「キャプテン…ライト…」彼女は、彼の名を、小さく、呼んだ。


「この、危険な任務に、赴かれる前に、私が、貴方にお伝えすべきだと、感じる、ことがあります」


彼女の顔は、わずかに、赤らんでいた。「私たちが、この庭で、出会った日から、そして、貴方の物語を知ってから、私は、気づいたのです。私が、抱いている、この想いとは…」


彼女が、勇気を、振り絞り、その心の内を、告白しようとした、その時。


ビーッ!ビーッ!


ライトの手首の通信機が、無情にも、鳴り響いた!スクリーンに、メッセージが表示される。<全指揮官レベルの士官へ:最終任務ブリーフィング「作戦名:ホームカミング」に参加せよ>


ライトの目は、見開かれた!彼は、時計を見た。07:58!


「まずい!」


兵士としての本能が、彼の体を、支配した!彼は、反射的に、直立した!「王女殿下!大変申し訳ありません!時間を完全に忘れておりました!最終ブリーフィングに、今すぐ参加しなければなりません!」


彼は、最も重要な瞬間を、台無しにしたことに、全く気づいていなかった。


「ええ…もちろんですわ、キャプテン」ステラは、失望を笑みの下に隠した。「任務が、最優先ですものね」


「また、お話ししましょう。私が、戻った後に、王女殿下」ライトは、慌ててそう言うと、素早く敬礼し、バイオドームを駆け去っていった。


一人残されたステラは、彼の消えた背中に向かって、口にすることのできなかった言葉を、虚空へと、囁いた。「…私が抱いている想いとは、貴方に、無事な『未来』が訪れてほしいという、願いですわ…」


--- 旗艦「ヴィンディケーター」最高作戦司令室にて ---


ライトが会議室に足を踏み入れると、張り詰めた空気が彼を迎えた。ジャック、ベアトリス提督、ウィリアム王子、エヴァ司令。連合の最高指導者たちが、惑星インワンのホログラムを囲んでいた。


「ちょうどいいところに来た、キャプテン」ジャックが言った。「全ての準備は整った。これが、最終作戦計画だ」


彼は、惑星インワンの地下深くに隠された、巨大な地下構造物を指し示した。「これが君たちの目標、『サイクロプス・プライム』。キメラ計画の主司令部にして、全ての機械の群れを制御する『エレクター=カイ』の所在地だ。そして、ステーション・ケルベロスから逃れた『スペクター』が、インワンの防衛最高司令官に任命された。奴は、そこにいると見て間違いない」


「ライトキャプテン、君は『幻影ファントム・ストライク』とレックス中尉の『ウォー・ハウンド』を率い、この強襲作戦の主力となる。目標はただ一つ。エレクター=カイを破壊し、毒蛇の頭を断ち、この宇宙を解放することだ!」


「行け、君たちの任務を、果たすのだ!」


ライトは、彼の故郷であり、そして、忘れ得ぬ墓場である、惑星インワンのホログラムを見つめた。彼は、彼のチームを見た。誰もが、全てを賭ける覚悟のできた、決意の眼差しをしていた。彼は、直立し、そして、力強く、敬礼した。「拝命いたします、司令官」


--- ジャック司令官執務室にて、作戦開始数時間前 ---


ライトは、ジャックに個人的に呼び出されていた。部屋の闇の中には、マキもいた。


「この任務は、ただの強襲ではない、キャプテン」ジャックは、元老院議員カイアスの映像を映し出した。「君とステラ王女が分析した件、我が情報部が動いた。エヴァ司令率いる別動隊が、宇宙ステーション『オアシス』へ向かっている。君が火をつけた、もう一つの戦争、情報戦だ」


「つまり、私は…」「その必要はない」ジャックは返した。「君には、それよりも、重要な任務がある」


彼は、再び惑星インワンの地下を指した。「君の主目標は変わらない。エレクター=カイの破壊だ」


「だが、そこへ帰るということは…」ジャックは、ライトの目を、深く見つめた。「…君自身の墓場へ、足を踏み入れるということだ。私は、孤児院のことも、『リーナ』のことも、そして君が仲間を見捨てなければならなかった戦場のことも、全て知っている」


「私は、君に過去に囚われたまま任務に行かせたくはない。痛み、憎しみ、君を形作ったその全てを、武器として使え。今回の君の任務は二つ。一つはエレクター=カイの破壊。そして二つ目は、君自身の過去の謎を、全て解き明かすことだ」


「インワンの、あの司令部には、古いデータファイルが、残されているはずだ。連邦の幼年計画に関するデータ、孤児院のデータ、そして、おそらくは、『リーナ』という名の少女に関する、データが」


彼は、闇の中に立つマキを見た。「これは君だけの任務ではない、キャプテン。彼女の任務でもあるのだ」


「私は、君に死ねと命じているのではない、ライト」ジャックは、最も真剣な声で言った。「私は、君に、もう一度『生きろ』と命じているのだ」


「己の悪魔と対峙し、真実を探し出し、過去の鎖から自らを解き放て。そして、君を待つ三人の女性に、どう向き合うべきかを、見つけ出してこい」


--- 「ナイトフォール」艦橋にて、7日後 ---


「全部隊、ワープ開始!」


ジャックの号令と共に、何千隻もの連合軍艦が、次元のトンネルへと消えていった。次の瞬間、彼らは惑星インワン星系に到着した。軌道上は、即座に激しい戦闘の光と爆発で満たされた!


「我々の合図だ!」ライトが命じた。「ライラ!降下するぞ!軌道上の戦闘を目くらましに利用しろ!」


「ナイトフォール」は、戦場を突き抜け、オレンジ色の大気圏へと突入した。


(ジャック…奴は、本当に、全てを計画していたのか…奴は、解放者か、それとも、連邦よりも、巧みな、ただの人形遣いなのか?)


しかし、今は、任務が、何よりも、重要だった。


「ナイトフォール」は、主戦場から離れた深い渓谷に、静かに着陸した。


「全員、聞け」ライトは、最後のブリーフィングを行った。「我々の最初の目標は、この渓谷に残存する連邦の外部防衛線を排除し、『サイクロプス・プライム』への接近ルートを確保することだ!」

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