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GalacXER 銀河の執行者  作者: Boom
第五章 [故郷なきファイトール]
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第五章 45 "石板の謎"

ズーロは、決意した。彼は、与えられた地位を、好機として、利用する!彼は、彼を侮蔑の目で見る高等評議会の上級士官たちも含め、全ての部隊長を、招集した。


「北部の鉱山地区で、さらに三つの生存者グループを探知した」ズーロは、命令した。「私は、『フェニックス』及び『テュポン』部隊に、即時、彼らの救出に向かうことを、命じる」


「指揮官殿」年老いた上級士官の一人が、抗議した。「高等評議会からの命令は、アンフリンにて、戦力を保持し、防衛線を強化することです。今、戦力を送り出すのは、あまりに危険すぎる行動です」


「危険だと?」ズーロは、冷徹に言い返した。「我々の同胞が、死んでいくのを、見過ごすこと。それこそが、私が、受け入れられぬ、リスクだ」彼は、その士官の目を、深く見つめた。「これは、現場指揮官としての、私の命令だ。行け」


不満に満ちながらも、その士官たちは、やむなく、命令を受け入れた。名目上の権力もまた、権力なのだ。


--- **闇への旅路** ---


全員が任務へと散開した後、ズーロは、彼の私室へと戻った。彼は、ピラミッドから得た、秘密の地図を開いた。それは、戦闘地図ではなく、この惑星の、古代の設計図だった。


「もし、あの記録が、真実ならば…」彼は、自分に囁いた。「…ここには、ネメシス計画の、予備の『動力炉心』が、隠されているはずだ」


今、ズーロは、誰にも知られぬ、秘密の任務へと、向かおうとしていた。彼は、一人で行かなければならなかった。彼は、エラーにも、誰にも、告げなかった。なぜなら、この任務は、誰かを助けることに関するものではなく、全てを破壊しうる、「兵器」に、関するものだったからだ。誰かと、共に背負うには、あまりに重すぎる、秘密だった。


彼は、古いマントを制服の上に羽織り、レーザーブレードを掴み、そして、アンフリンの、秘密の通路へと、消えていった。「指揮官」の地位を、後に残し、そして、再び、孤独な「戦士」として、闇の中心へと、旅立つのだ。


---


生存者救出任務を、全部隊に命じた後、ズーロは、その準備の、混沌と喧騒を、隠れ蓑にした。彼は、司令部から、密かに抜け出した。誰も、まだ、完全には信頼されていない、「指揮官」の、失踪に、気づかなかった。


彼は、エラーにさえも、告げなかった。今、彼は、秘密の謎を解き明かすために、一人で、遠くへ、旅立たなければならなかった。


彼は、ステルス用に改造された、小型の偵察艇を操り、惑星の荒涼とした地表を、低空で飛行した。古代の記録に隠された、座標を、目指して。


コントロールパネルの上に、彼は、二枚の「鍵の石板」を置いた。すると、石板は、光を放ち始めた!一枚は青く、もう一枚は赤く。それは、地図を表示するのではなく、彼の船を、真の目標へと導く、目に見えないエネルギーの波を、送り、彼を、「誘導」していた!


彼の船は、何もないように見える、深い渓谷へと、到着した。しかし、彼が近づくと、二枚の石板が、まばゆい光を放った!崖の、幻影の背後に隠された、「扉」を、映し出して!


彼は、そこへ、入っていった。そこは、封印された、古代の格納庫だった。そして、その中央に、「ネメシス計画」の、秘密の研究室への、入り口があった。


ズーロは、静寂の通路を、歩いていった。ここには、罠も、守護者も、いなかった。ただ、時間の、静寂と、塵だけがあった。そしてついに、彼は、最後の広間へと、たどり着いた。


その中央で、彼は、探し求めていたものを、見つけた。


ネメシス計画の、予備の「動力炉心」。


それは、巨大な、漆黒の水晶の球体で、空中に、静止していた。その内部では、歪んだ、次元エネルギーの嵐が、渦巻いていた。それは、解き放たれる日を待つ、純粋な、破壊の力だった。


ズーロは、その前に、立ち尽くした。彼は、その、恐るべき力を、感じていた。戦争を、終わらせることができる、しかし、使用者自身をも、破壊しかねない、力を。


彼は、震える手を、伸ばし、それに、触れようとした。しかし、その時、彼が、これまで聞いたことのない、囁き声が、彼の頭の中に、響いた。それは、「ウォッチャー」の声ではない。この計画の、「創造主」の、最後の記録だった。


**<…この力を求める者よ、知るがいい。汝は、『兵器』を制御するのではない。『器』と、なるのだ。虚無のための…>**


今や、真の決断の時が、始まった。彼は、危険を冒し、最後の希望となるのか、それとも、彼の種族の、最大の災厄と、なるのか。


---


**<「…汝は、『兵器』を制御するのではない。『器』と、なるのだ。虚無のための…」>**


創造主の、最後の囁きが、ズーロの頭の中に、響き渡った。漆黒の動力炉心に触れようとしていた彼の手は、空中で、止まった。ズーロは、今、それを使うことを、決断しなかった。彼は、ゆっくりと、手を、引いた。


「制御できぬ力は、もう一体の敵と、同じだ」彼は、自分に、囁いた。


「ならば、我々が、ここへ来たのは、無駄だったというわけか」エラーが、失望して、言った。


「いや」ズーロは、首を振った。「我々は、正しい道にいる。ただ、我々が、まだ、その全てを、理解していないだけだ」


彼は、手の中の、二枚の「鍵の石板」を見た。一枚は青く、もう一枚は赤い。「この石板は、ただの武器ではない。『鍵』だ。そして、鍵があるのなら、それが、開けるべき、『扉』か、『部屋』が、必ず、あるはずだ」


今、ズーロは、次の謎を、探さなければならなかった。彼の目標は、もはや、ネメシスの力を、手に入れることではない。彼の祖先が、他に、何を隠したのかを、見つけ出すこと。そして、この石板こそが、その答えだった。


彼らは、秘密の研究室を、後にし、再び、ピラミッドの、奥深くへと、進んでいった。彼は、ピラミッドの中心、最後の広間へと、たどり着いた。そこは、巨大な、球形の部屋だった。天井は、透明な水晶のドームで、絵画のように、きらめく星々が、見えていた。そして、床には、巨大な、三次元の星図が、深く、刻み込まれていた。


その地図の中心に、古代の、制御台座があった。そして、その上には、「石板」を、はめ込むための、いくつかの、窪みがあった。


ズーロは、彼らが持つ、二枚の石板を、その窪みに、慎重に、はめ込んだ。すると、ピラミッド全体が、振動した!床の星図が、まばゆい光を放ち、エネルギーの線が、様々な星々を、結びつけていった!それは、隠された、「航路」を、示していた。遠く離れた、他の星系へと、繋がる、航路を。


しかし、地図は、まだ、不完全だった。まだ、多くの航路が、暗闇に、包まれていた。そして、制御台座の上にも、まだ、石板をはめ込むための、空の窪みが、いくつも、残っていた。


「このピラミッドは…」ズーロは、驚愕に、呟いた。「…ただの武器庫ではない。ここは、『図書館』だ。『地図』だ。銀河の、至る所に、散らばって隠された、真の力へと、我々を導く、地図なのだ」


今や、彼は、理解した。彼の旅は、まだ、本当に、始まったばかりだったのだ。そして、彼が探し求めていた、全ての答えは、この星だけには、なかった。


---


石板の謎を知った後、ズーロの任務は、まだ、遥か遠くにあることを、彼は、即座に、理解した。「このピラミッドは、武器庫ではない。地図だ」彼は、自分に言った。「この石板は、銀河中に隠された、秘密兵器の、断片へと、我々を導く、『鍵』なのだ」


今、彼は、残された謎を、全て、解き明かし、秘密兵器を、作り上げ、そして、シンスロインを、根絶やしにするために、旅を、続けなければならない。


しかし、今、それを、することは、できなかった。彼の同胞が、待っている。戦っている。彼は、秘密の研究室と、地図の部屋を、後にすることを、決意した。


(今は)謎の探索を終え、彼は、砦へと、急いで、戻らなければならなかった。この新たな希望を、皆に、持ち帰るために。


帰りの旅は、緊張に、満ちていた。**<「ズーロ!どこにいる!?応答しろ!」>** エラーの声が、コムリンクから、響き渡った!


「俺だ」ズーロは、返した。「何が、あった!?」


**<「高等評議会だ!奴らから、また、メッセージが!奴らは、貴方が、任務を放棄した、裏切り者だと、宣言するつもりだ!奴らが、全指揮権を、掌握しようとしている!」>**


「クソが!」ズーロは、悪態をついた。彼は、船の速度を、最大まで、上げた!彼は、間に合わなければならない。彼が、ようやく、まとめ上げた、軍勢が、再び、政治ゲームによって、崩壊する、前に。


--- **砦「エル=シレス」にて** ---


ズーロは、最後の瞬間に、帰還した!彼の船が、集会場の中央に、着陸した。そこでは、高等評議会に忠実な、上級士官たちが、彼に忠実な、新世代の戦士たちと、対峙していた!


「帰ってきたか、裏切り者め!」年老いた上級士官の一人が、叫んだ!


「俺は、裏切り者ではない!」ズーロは、叫び返した!彼は、船から降り、その手には、淡い光を放つ、二枚の「鍵の石板」が、握られていた。


「俺こそが、未来だ!」


彼は、石板を、掲げた!「これこそが、高等評議会が、恐れるものだ!これこそが、奴らが、隠そうとしてきた、力だ!これこそが、我々を、真の勝利へと、導く、道なのだ!」


「貴方たちは、我々を、死地へと送る、綺麗事を、信じるのか、それとも、この、目の前にある、触れることのできる、『証拠』を、信じるのか!?」


全ての戦士が、古代の石板を、そして、ズーロを、見つめた。ファイトールの運命を、決定づける、最後の決断が、今、この場所で、下されようとしていた。


---


ズーロが、禁断のピラミッドから、「鍵の石板」と共に、帰還したというニュースは、野火のように、砦中に、広まった!高等評議会に忠実な、上級士官たちは、即座に、彼と、彼の仲間たちを、包囲した!


「高等評議会の名において!」かつて、ズーロと対立した、年老いた上級士官が、叫んだ。「貴様、ズーロ!神聖なる場所を、冒涜し、祖先の、宝を、盗んだ!貴様は、裏切り者だ!」


状況は、一触即発だった!ズーロに忠実な、新世代の戦士たちが、武器を構えた!内戦が、勃発しようとしていた!


しかし、ズーロは、動じなかった。彼は、最も巧みで、洗練された方法で、その場を、収めた。彼は、ゆっくりと、二枚の「鍵の石板」を、床に置き、そして、両手を、上げた。「私は、盗んではいない。そして、冒涜しても、いない」


「目の前の証拠を、否定するのか!?」


「否定はしない」ズーロは、続けた。「だが、真実を、理解していないのは、貴方たちの方だ」彼は、年老いた上級士官の目を、深く見つめた。「貴方は、私が、ただの、一介の戦士が、何千年もの間、閉ざされていた、扉を、自力で、開けられると、思うか?高等評議会さえも恐れる、罠と、古代の守護者を、私、一人で、生き延びられると、思うか?」


その問いに、全ての士官たちが、息を呑んだ。


「私は、扉を、『開けた』のではない。扉が、私を、『受け入れた』のだ」ズーロは、続けた。その声には、威厳が、満ちていた。「私は、守護者を、『打ち負かした』のではない。奴らが、私を、『認めた』のだ」


彼は、二枚の石板を、指差した。「これは、『盗まれた宝』ではない。これは、祖先が、私に、託した、『責務』だ!彼らは、待っていたのだ!高等評議会が創り出した、『恐怖』を、乗り越える勇気を持つ者を!最も絶望的な日に、我々の種族を、守るための、真の力を、取り戻す者を!」


「真の信仰とは、古びた規則に、頭を下げることではない!我々の、同胞を守るための、『行動』だ!そして今日、祖先は、私を、その行動を、為す者として、選んだのだ!」


彼の、その、行動を否定せず、しかし、その意味を、完全に、「再解釈」する、言葉は、高等評議会に忠実な、士官たちの、信念を、激しく、揺さぶった!彼らは、反論できなかった。なぜなら、誰も、ズーロが、どうやって、生き延びたのかを、説明できなかったからだ。


今や、彼は、もはや、「容疑者」ではなく、多くの戦士たちの目には、「選ばれし者」と、映っていた。


---


その時、**<「緊急警報!都市『コロセフ』より!我々は、攻撃を受けている!」>** という、途切れ途切れの救援要請が、ズーロの、臨時司令部に、届いた!コロセフは、生き残ったファイトールにとって、最大の商業都市、経済の大動脈、そして、何十万もの難民の、避難所だった。そして今、それが、崩壊しようとしていた。


シンスロインの、新たな群れが、都市を、攻撃していた!奴らは、地表からではなく、大気圏内に、直接、「ワープ」してくるという、誰もが、予期しなかった、戦術を、用いていた!


「撃て!奴らを、中へ入れるな!」都市の防衛司令官が、叫んだ。彼らの任務は、高等評議会の、主力艦隊が、到着するまで、時間を、稼ぐことだった。


しかし、今回の敵は、より強く、より賢かった。奴らは、狂ったように、突撃するのではなく、飛行ユニットで、遠距離から、主砲を破壊し、その間に、掘削ユニットが、地下から、侵入するための、トンネルを、掘っていた!


「司令!西側の防衛線が、破られそうです!」「増援を送れ!何としても、持ちこたえるんだ!」


それは、命と引き換えの、時間稼ぎだった。そして、遠く離れた、高等評議会の指揮艦で、ゼル=ロスは、その破壊の光景を、冷たい目で、見つめていた。「メッセージを送れ。名誉のために、死ぬまで戦え、と」


指導者が、名誉を語る間、彼らの民は、粉砕されようとしていた。そして、奴らに勝つための「道」を知る、ズーロの、小規模な部隊だけが、いた。だが、彼らは、間に合うのか。


---


ズーロが、コロセフを救うための、計画を練っていた、その時。高等評議会から、再び、緊急ホログラム通信が、届いた。


「ズーロ指揮官!」ゼル=ロスが、挨拶もなしに、言った。「高等評議会は、コロセフへの攻撃報告を、受け取った。これは、許容できん、状況だ!」


「高等評議会は、決議した。貴官に、全軍を率いて、即刻、コロセフへ、向かうよう、命じる!貴官の任務は、可能な限り、長く、シンスロインの戦力を、食い止めることだ!」


「この砦は、どうするのです?」


「評議会は、検討済みだ」ゼル=ロスは、言い切った。「我々は、エラーと、彼の護衛部隊を、ここの防衛に、派遣する」


それは、軍事的な論理を欠いた、しかし、政治的な策略に、満ちた、命令だった!彼らは、ズーロを、民を救うためではなく、自分たちの「資産」を守るために、送り出すのだ!そして同時に、彼から、最も信頼する戦友、エラーを、引き離し、彼を、弱体化させる!


ズーロは、固く、拳を握りしめた。だが、彼に、他に、選択肢はなかった。


「拝命いたします、賢者殿」


彼は、再び、旅立たなければならなかった。革命の指導者としてではなく、忌まわしき、政治の盤上の、「駒」として。最も信頼する友が、そばにいない、絶望的な戦場へと。

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